[メキシコ市 8日 ロイター] - 中米訪問中のハリス米副大統領は8日、メキシコのメキシコ市でロペスオブラドール大統領と会談した。移民問題への対応でメキシコは米国のパートナーだと述べ、両国の経済的関係を強化するとともに、中米の状況改善に向け投資することで合意した。
バイデン米政権は、中米諸国からメキシコと米国の国境地帯に押し寄せる移民への対応に苦慮している。バイデン氏は不法移民対策をハリス氏に任せている。
就任後初の外遊となったハリス氏は、ロペスオブラドール氏との会談で、安全保障や新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)、ワクチンの問題などについて意見交換した。
会談後ハリス氏は記者団に「こうした問題の多くで米国はメキシコをパートナーだと考えていることを明確にした」と述べ、「新たな時代」に入った二国間関係を歓迎した。
ロペスオブラドール氏は、会談は「好ましく有益なもの」だったと評価した。
米国は、メキシコの労働者の権利向上を支援するため、3年間で1億3000万ドルの追加支援を確約。メキシコ南部で2億5000万ドル規模の投資などを計画していると明らかにした。
9月にハイレベルの経済対話を行い、投資の促進や新たな通商協定の最大限活用について協議する。両政府が声明を発表した。
米国のトランプ前政権は、移民問題を巡りメキシコに強硬な姿勢を取っていたが、ロペスオブラドール大統領はそれでもトランプ氏と共に取り組んでいく関係を構築。ハリス副大統領に対し、米政府と良好な関係を維持する姿勢を示した。
今年1月のバイデン政権発足以降、国境地帯で身柄を拘束される不法移民の数は20年ぶり高水準に達している。ハリス氏が今回の会談でメキシコに対し、中南米から米国を目指す不法移民の身柄拘束強化を求めたかは現時点では不明。
会談に先立ちハリス氏とロペスオブラドール氏は、両国の開発機関の中米における活動に関する覚書(MOU)の署名に立ち会った。
ハリス副大統領は7日にグアテマラを訪れ、ジャマテイ大統領と不法移民や汚職への対応策について協議した。