31日(現地時間)、FRBは利下げを決定したものの更なる利下げに関しては明確さを欠き、米国株式は急落した。
株安の一因は、ジェローム・パウエルFRB議長がまず初めに追加の利下げがないことを示唆し、その後あることを示唆するなど、投資家を混乱させる発言をしたことにある。ただし彼の初めの発言は株安を引き起こす十分な材料となり、ダウ平均株価は一時478ポイントも下落した。
S&P 500は1.09%安、ナスダック総合は1.19%安、ダウ平均株価は1.23%安となった。ナスダック100のうち、上昇した銘柄はわずか13であった。
最も大きい上昇も見せたのはアップル(NASDAQ:AAPL)で、約2%の上昇となった。30日発表された決算報告が堅調であったことが影響したとみられる。同社はJPモルガン(NYSE:JPM)、ファイザー(NYSE:PFE)、ダウ・ケミカル(NYSE:DOW)と並び、本日4つしかない上昇したダウ平均株価の銘柄の1つであった。
7月を通してS&Pは1.3%高、ナスダックは2.1%高となり、一方でダウ平均は1%下落となった。
また、今回の株安の一因として、パウエル氏による利下げ理由の説明が投資家にとって満足のいくものでなかったことが挙げられる。
利下げ発表後の記者会見で、パウエル氏は国内経済が堅調に推移している中で利下げを行う必要性について説明するのに苦慮していた。同氏はこれについて、事業投資、世界成長、貿易問題への懸念が高まったからだと述べた。特に貿易問題については、投資の縮小を招いていると述べた。
パウエル氏の発言は多くの混乱を招いた。まず初めに彼は利下げが一度きりのもので、「サイクル中盤での調整」に過ぎないと述べた。しかしその後同氏は更なる利下げを示唆し、会見の終わりには追加利下げ案が議題に上がったと述べた。ただ同氏がその詳細について語ることはないだろう。
一方で、トランプ米大統領は利下げ幅が小さすぎるとツイートした。このことも株安の一因となったと考えられる。
インベスティングドットコムの米国政策金利モニターツールでは、57%の確率で9月に誘導目標レンジ1.75%-2.00%への利下げが行われ、37%の確率で12月に利下げがされることが示されている。
S&P 500の11セクターはいずれも下落した。ただ、この内エネルギーセクターは最も小さい下落となった。
生活必需品、材料、ハイテクセクターは大きな下落を見せた。ハイテク銘柄の下落は特に大きかったが、これは30日発表されたアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の決算報告が低調であったことを受けてものだと考えられる。AMD(NASDAQ:AMD)は10%下落し、 ダウ平均の構成銘柄であるインテル(NASDAQ:INTC)は2.2%下落した。
一方でノードストローム(NYSE:JWN)は大幅な上昇となった。同社の創業者一族が同社への出資比率を約3分の1から50%超えにまで上げることを検討しているとウォールストリートジャーナルが報じたことが影響したとみられる。
S&P 500 値上がり/値下がり率ランキング
ノードストローム、自動車部品メーカーのアプティブ(NYSE:APTV)、ユーティリティ企業のエジソン・インターナショナル(NYSE:EIX)がS&P 500の中でも特に大きな上昇を見せた。
そしていずれもハイテク企業であるAMD、マキシム(NASDAQ:MXIM)、ミクロン・テクノロジー(NASDAQ:MU)が特に大きな下落となった。