[ワシントン 10日 ロイター] - 米国の銀行業界は以前に比べて政治献金が減少し、その中では相対的に民主党向けの比率が高まっている。超党派の政治資金監視団体「センター・フォー・レスポンシブ・ポリティクス(CRP)」が集計したデータの分析や、複数の業界関係者およびロビイストからロイターが話を聞いて分かった。
CRPのデータは、連邦選挙委員会が9月22日時点として公表したデータに基づくもの。ロイターがこれを分析したところ、商業銀行の政治行動委員会(PAC)は今年、国政選挙候補者に献金した総額は約740万ドルで、2020年の選挙戦期間から43%減り、過去10年平均も39%下回った。
2007─09年の金融危機以降は、民主党が銀行規制強化に積極的だったことから、これまで業界としては国政選挙で共和党を応援する傾向が強かった。
しかし今年は献金額のうち40%が民主党向けと、2010年の選挙戦期間以来最も高い比率を記録した。また銀行のPACによる献金受け取り先を見ると、金額トップ20の半分の10団体が民主党系で、20年の6団体、18年の3団体、16年の1団体から着実に増えている。
大手行ではバンク・オブ・アメリカとモルガン・スタンレーが今のところ共和党よりも民主党への献金額が多い。シティグループはこれまでで初めて、共和党と民主党向けの献金額が均等になった。JPモルガン・チェースは引き続き共和党への献金額の方が多いものの、民主党向けとの差はこの10年で最も小さい。
複数の関係者の話では、昨年1月の連邦議会議事堂襲撃事件後、多くの銀行は実際に資金を拠出する従業員から共和党への献金を減らすよう圧力を感じているようだと明らかにした。