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EU離脱(ブレクジット)合意が近いがなぜポンドは弱いのか?

発行済 2018-09-13 10:05
更新済 2023-07-09 19:31

ポンドのボラティリティーが激しい日であった。日次GBP/USDの取引を見てみると、少なくとも50から80pipsの3つの予期しない急騰があった。ポンドはたいてい他の通貨と比べて激しいが、このような大きな上げ幅を3分から5分でするのはめずらしい。

  1. 強いイギリスの 賃金の成長
  2. EUのミシェル・バルニエ氏は8週間以内でEU離脱合意は現実的だと述べた。
  3. イングランド銀行のカーニー総裁2020年まで続投が決まった。

イギリスの指標は予想を上回り、EU離脱の期限に間に合うと見られている新規失業保険申請件数は先月より少ない増加であり、失業率は変わらずだった。そして最も大切である月曜の貿易収支は改善され、7月のGDP成長率は予想より高かった。経済指標だけを判断基準にすると、火曜日はポンドにとって良い日になるはずだ。また、EU側の交渉人のバルニエ氏とアイルランドのレオ・バラッカー首相がEU離脱(ブレクジット)合意は数週間以内に終わるとコメントしたので、ショートカバーを招き上昇するはずである。そして、イングランド銀行・カーニー総裁の2020年までの続投もポンドの上昇材料のはずだ。なぜならこれらはポンドに対するリスクを打ち消したのだから。EU離脱の不確実性の中、イングランド銀行の総裁が変わることは、ポンドトレーダーにとって一番望んでいないことだろう。

さらにポンドを下落させる理由

  1. 木曜日、イングランド銀行は利上げを据え置くと考えられている。
  2.  良好な米国の経済指標は連邦準備制度理事会(FRB)の 利上げを招くだろう。
  3.  10年債利回り3%近い。

ポンドのショートが解消されない理由は、イングランド銀行が利上げを今年中にしないと見られており、特にEU離脱(ブレクジット)交渉が上手く進む中で、金融政策委員会 - MPC 議事録やイングランド銀行の声明はタカ派であることである。

一方で、連邦準備制度理事会(FRB)は今月末に利上げの見込みだ。先週の火曜日の米非農業部門雇用者数 小規模事業楽観視数の発表はアメリカ経済の好調を示し、利上げ予想を強めている。8月の小規模事業楽観指数は、設備投資や雇用の増加計画が積極的に行われており、過去最も高い数値であった。

10年債利回りも上昇し、USDを支えている。これらを考慮に入れると、イギリス経済は回復しており、EU離脱(ブレクジット)の合意が近いこによって私達は GBP/USD が1.32に達することに期待している。ポンドは JPY, AUD and NZDに対し強さが際立つはずである。

利上げ、強い小規模事業楽観指数と貿易摩擦への懸念の中で、火曜日の米ドルは他の通貨に比べて高い水準で取引された。水曜日、経済の改善が見込まれている米地区連銀経済報告を背景に、米ドルが高い水準で取引されると予想される。 生産者物価指数も上がると予想されており、木曜日のCPIへの期待を強める。結果的に、今週末USD/JPYは112に上昇する可能性がある。.

ユーロ は、ロンドン市場が始まった時に1.1644まで上昇したが、その後は上昇は見られなかった。イタリア債が下落し、2年債が7月以来最低水準まで下落したが、投資家はイタリアへの懸念は少ないようだ。これはイタリア政府が予算をEUの財政基準を満たすものであることを約束し懸念が後退したためである。投資家にとってドイツや欧州経済の良い見通しがほしい中で、ZEW調査は予想を上回っている。しかし、ユーロ/米ドル(EUR/USD)は今週の欧州中央銀行の政策金利の発表を警戒し、1.1600を下回り終値を迎えた。

一方USD/CADは、トランプ大統領とカナダとの貿易交渉は上手くいっていると述べた後に下落しその日を終えた。原油価格は2.5%以上上昇したが、カナダドルの現在の問題はNAFTAである。もしアメリカがカナダと今週末に合意するのなら、USD/CADは1.30まで戻ると考えられる。もし、また交渉が長引くことがあるようならば、米ドル/カナダドル(USD/CAD)は1.31より上で、合意まで推移すると考えられる。

米ドルに対し、豪ドル と、NZドルは数年来の安値に達しているが、両通貨の動きは限定的だろう。両通貨は、貿易摩擦の懸念があるためさらなる下落となりやすい。WTOにアメリカへ制裁を課す承認を中国が求めたニュースは、トランプ米大統領によるさらなる制裁を招く可能性がある。米中の報復合戦が予測され、これらは豪ドルにとって悪影響となるだろう。

貿易摩擦の加熱のリスクだけでなく、中国とオーストラリアの経済に直接影響がでるだろう。月曜日の夜に発表された 企業信頼感指数によって、指数が2016年10月以来の最低水準まで下落し、国内企業の状況が悪化していることが示された。最近の住宅ローン利率の上昇は、支出と成長のリスクとなりえるだろう。また、小売売上高は停滞し、サービス業指数も低迷した。住宅ローン利率の上昇と、貿易摩擦の懸念、 弱い人民元は、オーストラリアの見通しを悪くさせている。豪ドル/米ドル(AUD/USD)は、好調な米国経済指標による利上げによって、70セントまで下落する可能性がある。

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