1日、ユーロとポンドを除く全ての主要通貨は米ドルに対して下落し、中でも豪ドルは最も大きな下落を見せた。
オーストラリア準備銀行(RBA)は今年3回目の利下げを行い、金利を過去最低値となる0.75%にまで引き下げたものの、重要視されているのは短期的なドル高である。米ドルはNYセッションに入ってから堅調に推移し、特にユーロに対しては数年ぶりの高値を一時つけたが、米ISM製造業景気指数発表後には反落した。同指数は49.1から47.1へと下落し、2ヶ月連続で景気後退を示す結果となった。さらに生産指数は10年ぶりの低水準にまで落ち込んだ。
このような結果を受け、市場では世界経済の減速が米国経済、ひいては労働市場に悪影響を与えているのではという懸念が持ち上がっている。また製造業雇用者数は4日発表される雇用統計とは別問題ではあるものの、雇用指数が2016年以来の低水準にまで下落したという事実は米国の経済と雇用のいずれにとっても危機的な意味を持つ。3日に発表予定の米ISM非製造業景気指数が公開されれば更なる詳細が明らかとなるが、米ISM製造業景気指数の結果を受け同指数が軟調な結果となるという予想が高まり、ドル安の動きに繋がることとなった。
また米国債利回りは低下し、ダウ平均株価は300ポイント以上の下落を見せた。もしも本日発表の米ADP非農業部門雇用者数が予想を下回る結果となれば、更なるドル安が進行し、ドル円が107.50を下回る可能性も生まれてくる。
ドル安の影響もあり、近いうちにユーロも底値を打つ可能性がある。またEUはバックストップ問題の譲歩となる「期間設定」を検討しているという報道の後、EUの報道官によって否定されたが、これはユーロ安のトレンドを変えるまでには至らなかった。ただ独製造業PMI(9月)が上方修正されたことを受け、4日発表の米非農業部門雇用者数に先立ってショートカバーが発生する可能性も存在する。製造業セクターは依然として低調だが、短期的見ればユーロドルは下降トレンドから転換することなく1.10まで上昇する可能性がある。
豪ドルはRBAが今年3回目となる利下げを行った影響で、最も低調な通貨となった。同行は金利を過去最低にまで引き下げ、「必要に応じて更なる利下げを行う用意がある」と述べた。
また同行はインフレ圧力がしばらく落ち着くと予想した上で、消費の見通しについて懸念を表明した。豪準備銀行のロウ総裁は「雇用とインフレの伸びが想定よりも鈍い」としており、今後雇用成長が鈍化する可能性は高い。
我々は同行が今年更なる利下げことはないと見ているが、1日発表された声明は市場予想よりも強いハト派姿勢を示す形となった。RBAが利下げを行ったことでNZ準備銀行は利下げ圧力を受けたため、NZドルは4年ぶりの低水準にまで下落した。
カナダではGDP成長が予想を下回り、原油価格は下落したものの、USD/CADでは売りが進んだ。この動きは完全にドル安によるものだと考えられる。下落は2週間のレンジ内に留まったものの、週の最安値でNYセッションを終えたため、レンジが突破される可能性は十分存在する。
もしUSD/CADが1.32を下回ることとなれば、1.3150までは一気に下落することも考えられる。またポンドドルは横ばいとなった。英製造業景気指数こそ予想を上回る結果となったものの、焦点はやはりブレグジットである。もしEUがバックストップ条項について譲歩した場合、GBP/USDは高騰するだろうが、そうならない限りポンドの動きは限定的となるだろう。