今週は大企業の決算報告が続くが、中国のコロナウイルスによる死者は56人にのぼり、中国国土外でも13カ国・地域で患者が確認され、投資家の注目がコロナウイルスに奪われている。
この新型肺炎による経済鈍化の懸念が嫌気され、先週金曜日のダウ平均株価の終値は170ドルの大幅安となった。ナスダックとS&P500も反落となり、米国の主要株価指数が毎日最高値更新する株高勢いに歯止めをかける形となった。
とはいえ、投資家が無視できないほど重要な決算報告はまだたくさん残されている。以下は、今後も米国株の上昇を支えることができるかを判断する材料になるような今週注目のテクノロジー大手3企業である。
1. アップル(Apple)
アップル (NASDAQ:AAPL)は、2020年第1四半期決算(10-12月期)を1月28日(火)の引け後に発表する。
アップル株はここ最近急騰している。新しいiPhoneの需要回復や、事業多角化が功を奏し直近過去1年で株価は2倍となっている。今回の第1四半期決算では、ホリデーシーズンの売上や、引き続き強い成長率を維持するかどうかがアナリストによって注目されている。
アップル株は、サービス部門の成功が上昇を後押ししている。iCloudのストレージやアップルミュージックなどのサービス部門は同社の収益に安定性を加え、アナリストの目標株価は軒並み押し上げられた。またここ数週間で、今週の決算のアナリスト予想もアップルサプライヤーの調査を基に上げられている。
アップルの2020年度第1四半期決算の市場予想は、売上高883.8億ドル、EPS5.54ドルとなっている。アップルは先週金曜日に一時323.33ドルをつけて史上最高値を記録している。
2. フェイスブック(Facebook)
フェイスブック (NASDAQ:FB)も2019年度第4四半期決算(10-12月期)を1月29日(水)の引け後に発表する。市場予想では、289億ドルの売上高、2.52ドルのEPSとなっている。
フェイスブック株も同様に、今月に史上最高値を記録した。2018年では、個人情報流出で多額の罰金などのネガティブな材料が相次ぎ株価は大きく下落したが、2019年では上昇軌道に戻ってきた。先週金曜日の終値は、0.8%安の217.94ドルとなった。
フェイスブックが抱える問題が解決するには程遠く、マーク・ザッカーバーグCEOは「厳しい年」が来ると警告しているものの、決算では回復を示し続けている。第3四半期決算では、同社のアプリの新規ユーザーの伸びは素晴らしく、各サービス全部合わせた月間利用者数は28億人と発表している。
今週の決算報告は投資家にとって重要だ。ザッカーバーグCEOは今年後半に行われる大統領選においてのリスクや、規制強化にかかるコストが同社の利益にどのように影響を与えているかが語られる可能性がある。
3. マイクロソフト(Microsoft)
マイクロソフト (NASDAQ:MSFT)の2020年度第2四半期決算(10-12月期)も1月29日(水)の引け後に行われる。市場予想では、売上高357億ドル、EPS1.32ドルとなっている。
マイクロソフトは、技術の研究開発への投資に注力していることや、Office製品の強い売上によって、今回の決算報告でも良い成長勢いを示すと考えられる。
先週火曜日では、史上最高値となる168.19ドルをつけた。先週金曜日ではその価格をやや下回る165.04ドルとなった。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOのもと、成長戦略を信じた投資家は報われる結果となっているだろう。
マイクロソフトで特筆すべき点として、AzureやOffice365などのクラウド事業が好調であることである。
しかし、Azureの直近3四半期のクラウド事業の成長を見てみると、73%、64%、59%となっており、好調であるものの緩やかに鈍化している。もし、今週の決算報告でもこのクラウド事業の成長の鈍化が見られる場合、株価の上昇も鈍化することになるだろう。