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株式市場は景気減退を織り込みつつあり、今後も激しく値動きするだろう
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ロシアイラン間は膠着状態で、原油安の責任を押し付け合っている
軟調な経済指標や予想以上に長引いて実施される社会的距離の措置などが、市場に下押し圧力を加えている。3日、S&P500やNYダウ平均株価、ナスダック総合はそれぞれ1.5%以上の下落となった。
また、COVID-19は依然として解決しておらず、執筆時点で全世界120万3,000人以上の患者が確認され、約6万5,000人が死亡している。新型コロナウイルスの蔓延が止まらない限り、市場の激しいボラティリティは今後も継続するだろう。
失業者数と原油価格
米国の雇用市場は明らかに打撃を受けている。2日に発表された米新規失業保険請求件数は前週の330万件を上回り665万人件、3日に発表された3月の非農業部門雇用者数は70万人減となった。直近2週間だけで1000万人近い米国人が失業保険を申請しており、今後失業率は上昇し続ける可能性が高い。イタリアやイギリスは景気への影響を最も注視しているが、感染がさらに拡大する場合、景気は大打撃を受けるだろう。
3日のS&P500は、新規失業保険申請件数を受けて下落した。週次では2.1%安となった。エネルギーセクターは原油市場に連動してアウトパフォーム(+5.29%)した一方、公益事業セクターはアンダーパフォーム(-6.99%)となった。
テクニカル分析の観点では、S&P500は30%の急落の後、下降フラッグを形成している。
また、MACDとRSIは、ショートカバーや押し目買いにより下降フラッグ内でさらに上昇する可能性を示唆している。一方で下方ブレイクする場合、爆発的な下落が予想される。
米10年国債は下降フラッグを形成した後、2週後に下方ブレイクした。
この下方ブレイクでは、2月12日から3月9日の間の79%安と同水準の下げ幅まで、下落が続く可能性が高い。
米ドルは先週、5日間の内4日間で上昇した。3月27日を境に上昇トレンドとなっている。
金先物は先週の8.9%高の後、反落した。
テクニカル分析の観点では、金先物は上昇フラッグを形成しており、強気相場となっている。上方ブレイクした場合、2012年ぶりの1700ドル台に到達し、さらに上昇する可能性がある。
先週の原油市場は、乱高下の激しい値動きが続いていた。サウジアラビアとロシアの間で減産合意に達するとの期待感から、WTI原油は週次で32%高となった。WTI原油は2日に25%近く急騰した後、3日には13%高となり、わずか2日間で40%近くも上昇している。
しかし、世界経済成長率の急激な低下を示唆する経済指標に加え、ロシアとサウジ間での減産合意に関する不透明感が、前向きな見通しを曇らせている。ロシアとサウジは、ここ数十年で最悪の状態にある原油市場についてお互いを非難し合っており、予定されていた4月のOPECプラス会合は、延期日が決定されないまま延期となった。
テクニカル分析の観点では、30ドルの抵抗ラインに肉薄している。