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1月の総括:利上げが迫っていることを受けて株式は下落、市場の注目はFRBに集中

発行済 2022-02-03 09:18
更新済 2020-09-02 15:05

米国連邦準備制度理事会(FRB)と呼ばれる巨大な組織が目を覚まし、今の経済状況を気にかけている。コロナ禍によって引き起こされたインフレとそれがエネルギー価格と世界のサプライチェーンに及ぼす影響を懸念しているのである。米国の前年同期比の消費者物価指数は12月に7%に達した。

つまり少なくとも現時点では、パンデミックを乗り切るために政策金利をゼロに引き下げた後、2年ぶりに利上げを行うかもしれないというFRBの動向に注意する必要がある。

賢い投資家は、利上げが始まる前からすでに近々起きるものと考えて行動に移しているが、利上げの過程で様々な波及効果が生じる可能性があるため、いずれにしてもFRBの動きをより長期的に注視し続けることになる。1月26日にパウエル議長が「最初の利上げはおそらく3月になるだろう」と語り、「インフレ率が下がるまでFRBは対応し続ける」と発言し、多くの投資家が面食らう展開となった。

実際、市場全体がインフレ加速に本格的に注目し始めたのは、2021年11月に非常に泡沫的な米雇用統計が出た直後である。11月8日から、Russell 2000S&P Midcap 400S&P 600 Small Cap Indexなど、多くの株価指数が最高値を迎えていた。時価総額で最大の暗号資産であるビットコインは、11月10日に68,925ドルとピークに達していた。

それでも、米国内経済全体としては、パンデミックの逆風に耐えることができたようだ。しかし、副作用もあった。

  • 消費者物価の上昇、特に食料品、自動車、建材、その他の生活必需品の価格上昇だ。さらに、住宅価格も上昇した。

  • 原油l価格は1バレル90ドルに達し、米国の一部の地域ではガソリン価格が1ガロン4ドルに迫っている。

  • 特に2020年と2021年には、異常な低金利に後押しされ、株式市場が熱狂した。

株式市場は2021に栄華を誇ったが、足元はようやく一息つき、2022年1月には米国の主要株価指数がすべて下落に転じた。

NASDAQ 100 300 Minute Chart

NASDAQ CompositeNASDAQ 100は、2008年以来最悪の1月の下落を味わった。S&P 500ダウ工業株30種平均は2009年2月以来最大の月次のマイナス・リターンとなった。

しかし、1月28日の金曜日から今週にかけて、株価は1月の下落を取り戻すように大きく上昇している。2月も強い上昇で始まり、火曜日の取引時間外にはAlphabet (NASDAQ:GOOGL)とAdvanced Micro Devices (NASDAQ:AMD)が良好な決算を発表した。一方で、PayPal (NASDAQ:PYPL)、General Motors (NYSE:GM)、Starbucks (NASDAQ:SBUX)の決算およびその後の見通しガイダンスはやや軟調なものであった。

また、Alphabetは1株につき20株の株式分割を発表した。これを受け株価は取引時間外に10%以上上昇した。

もちろん、これらの好調な業績がFRBの今後の動きの影響を相殺すると考えるのはまだ時期尚早だ。EVトラック・SUVメーカーのRivian Automotive (NASDAQ:RIVN)など、売られすぎていた銘柄にトレーダーが食いついただけということもありえる。

RIVN 300 Minute Chart

Rivian Automotiveの株価は、月曜日に15.1%、火曜日に5.9%それぞれ上昇した。しかし、これらの上昇は、1月に36.6%も暴落した後のものである。

これらの上昇は、先週あったApple (NASDAQ:AAPL)やMicrosoft (NASDAQ:MSFT)を含む大企業からの好決算報告によって促進された側面もある。

そしておそらく市場は、今週金曜日に発表される雇用統計に関して、雇用は堅調に伸びているが、賃金の上昇圧力は弱まるとみている。

このように、1月は市場の下落圧力が強かった一方で、いくつかの好材料もあった。

エネルギー関連銘柄がまずは挙げられるだろう。原油価格の上昇(2021年に34%上昇した後、1月に15%上昇)に後押しされたものである。2月も株は高位な水準で推移しそうだ。

ウクライナをめぐる緊張が薄れても、高止まりトレンドは続くだろう。Baker Hughes社によると、米国のリグ稼働数は2020年8月の244の低水準から先週610まで150%上昇したが、今世紀のピークである2031からはまだ長い道のりである。

Halliburton (NYSE:HAL)、Schlumberger (NYSE:SLB)、Occidental Petroleum (NYSE:OXY)が1月のS&P500銘柄の上昇上位銘柄となった。Exxon Mobil (NYSE:XOM)は2021年に48.5%上昇した後、1月単月で24%値上がりした。Chevron (NYSE:CVX)は11.9%上昇し、1月のトップ・パフォーマンス銘柄となった。

同様に、Energy Select Sector SPDR® Fund (NYSE:XLE)は1月に19%上昇、これは2021年には46%の上昇に続くものだ。Exxonは同ETFの保有銘柄の約24%を占めている。

金融株は先月横ばいで推移したが、セクター全体のパフォーマンスはS&P500の他のほぼすべてのセクターよりも優れていた。金利が上昇すると、金融機関は価格決定力が増し、収益が向上するため、有利になると多くのアナリストは考えている。

高配当株もここに名を連ねる。2021年9月から、S&P 500企業のうちで、配当株は無配当株をアウトパフォームしている。1月、配当株は2.9%の下落に留まった一方で無配当株は9.5%下落した。Standard & Poor'sのシニア・インデックス・アナリスト、Howard Silverblatt氏によると、配当株と無配当株のパフォーマンス差は6.58%で、これは2004年以来最大の水準だ。

逆にパフォーマンスが劣後したものには下記のものが挙げられる。

コロナ関連株がまずランクインする。コロナワクチンを開発するModerna (NASDAQ:MRNA)など、パンデミックに反応して高騰した銘柄だ。Modernaは、他の多くの企業が抗COVIDワクチンを開発していることもあり、反落している。もう一つの下落銘柄は、ストリーミング動画大手のNetflix (NASDAQ:NFLX)で、新規顧客加入の成長ペースが鈍化しているのではないかとの懸念から30%近く下落した。

直近IPOした銘柄も残念な状況にある。過去2年間に上場した企業の株で、特に2021年のハイテクやヘルスケア企業はほとんど利益を出していない。最近も、このような全く利益が出ない、あるいは十分な利益が出せていない企業は下押し圧力にさらされている。Spotify (NYSE:SPOT)は2021年に25.6%下落した後、1月も16.1%下落した。オーディオ・ストリーミング・サービス企業の下落のほとんどは、手掛けるサービスが直面している現在の問題よりかなり前の昨秋に起こったものである。Zoom Video Communications (NASDAQ:ZM)は、2021年全体の45%下落の後、1月にも16.1%値下がりしている。こちらは2019年に上場した銘柄だ。

小型のバイオ・テクノロジー株に関しても触れたい。これらの企業の多くは、研究の認知度を高め、できれば資金を提供してくれる懐の深いパートナーを引きつけるために上場している。足元、多くの企業は過去52週間の高値水準の50%かそれ以下で取引されている。 NASDAQ Biotechnology Index は1月に11.9%下落した。

利上げの回数

投資家にとって利上げが目前に迫っている今、重要なのはFRBが今年、どれくらいのペースで利上げを行うかである。

つい最近まで、市場コンセンサスは2022年内に2~3回の利上げであった。現在のところ、インフレ率が芳しくないので、今年は4回以上と言われている。銀行大手の Goldman Sachsは2022年に5回の利上げを行うと予想する。Bank of Americaのグローバル経済リサーチの統括責任者であるEthan Harris氏は7回になると考えている

もし同氏が正しければ、そしてそれぞれの引き上げが0.25%であると仮定すれば、年末までに政策金利は2%に達するだろう。そしてFRBは2023年にも利上げを継続することを決定するかもしれない。

利上げが経済全体に浸透するには時間がかかることから、最初の利上げは、消費支出、住宅購入、消費者物価にあまり影響を与えないかもしれない。株価は上昇を続ける可能性もあるが、多くのアナリストは市場にて高位なボラティリティが続くとみている。

しかし一連の利上げは、住宅ローン、自動車ローン、自動車などの企業在庫のコストを押し上げることになる。また、FRBがあまりに積極的で目標から行き過ぎてしまった場合、結果として経済的なストレスが生じる可能性にも注意が必要だ。

2003年6月、9.11テロと2000-2001年のドット・コム不況からの回復で経済が勢いを増したときに何が起こったかを振り返ってほしい。FRBは2006 年 6 月、FFレートを1%から5.25%に引き上げた。

そうなると、借入期間30年の住宅ローン金利は8%になり、消費者金融や企業向けローンの金利が上昇するのは言うまでもない。

積極的な利上げを行っていた翌年、S&P500が史上最高値を更新している最中にあっても、5.25%と高位な政策金利は金融市場および事業会社の活動にストレスを与えていることは明らかだった。金利の上昇は、住宅の差し押さえを急増させ、米国内外の多くの銀行や金融機関の財政状態の不安定さを露呈させた。

その末路は世界恐慌以来最悪の金融危機だ。

1月の不安定な市場動向はともかく、株式や株式ファンドを買い続けるのは良いことかもしれない。大きなキャッシュ・フローを持つ大企業は、依然として投資家に報いるだろう。サプライ・チェーンの問題も緩和されるはずだ。世界的な地政学的緊張も緩和されることを期待したい。

しかし、投資をする際にはFRBから目を離さないようにする必要がある。利上げのペースに注意し、規律ある売り計画も設けておこう。

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