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天然ガスの強気筋は、天候と貯蔵量の変化に伴い、9ドルへの復帰を目指す

発行済 2022-05-19 18:49
更新済 2020-09-02 15:05

天然ガスは、2週間前の9ドルの高値に戻る準備ができているだろうか。

ここ数日、天候が需要期待を強める傾向にあり、天然ガス価格は、今月初めに14年ぶりの高値を切り上げたレンジの上限に戻された。

しかし、全体的な需給はもう少しバランスが取れている。

天然ガス価格 日次チャート

今後数週間は暖かさが続くため、本格的な夏の暑さを前にした「ショルダーシーズン」と呼ばれる需要の弱い時期となり、米国の天然ガス貯蔵庫への注入が増えるタイミングである。

水曜日のセッションで、ニューヨークのヘンリーハブの天然ガス先物は、トレーダーが今後の天候の変化による影響を考慮し、両極端に大きく動いた。結局、相場は小幅高で推移し、3日連続の値上がりで上昇基調を維持した。

しかし一部では、市場は変曲点にあるようにみえる。天候の変化、冷房需要および発電需要による天然ガス価格への影響、およびそれに伴う週単位の貯蔵量の増加によって、いずれにせよ、近いうちに急動意が生じる可能性がある。

2週間前までは、ヘンリーハブの上昇は10ドルに達するまで止まらないとの見方が広がっていた。多くの強気筋は、気温が急上昇してアメリカ人がエアコンを最大にせざるを得なくなるこの夏までに、2008年の高値である13ドル以上になると予想しているのである。その頃、欧州の液化天然ガスの需給環境に不測の事態が発生すれば、上昇に拍車がかかる可能性がある。

しかし、今は目先の変動の方が心配なようだ。天然ガス先物は5月に13%上昇し、4月と3月の28%上昇に続いているが、短期的に貯蔵量が改善されれば、まだ逆転する可能性がある。

「後発組は、価格が上にブレイクし、週次および月次単位で9ドル以上に落ち着くと確証を得る大きな価格変動の前にこの市場に参入してきた」とskcharting.comのチーフ・テクニカル・ストラテジストのSunil Kumar Dixit氏は述べている。

「これが実現すると、次の大きな価格変動のレンジは、11ドルから13ドルに拡張することが期待される。一時的な調整局面が生じることも否定できないが、長期的な視野を持つ人にとっては、魅力的なエントリーのタイミングであり続けるだろう。」

しかし同氏は、ヘンリーハブの日足と週足のレンジは、今後も不安定であると警告している。

「短期的には、9ドルを試し、さらに上昇を続けるためには、8.60ドルを上回る必要がある。8.60ドルを上回って引けなかった場合、天然ガスは7.60ドルや6.50ドルまで押し下げられるかもしれない。」

ヒューストンの天然ガス市場コンサルタント会社Gelber & Associatesもこの見解に同調した。

Investing.comが確認したところによると、Gelber & Associatesのアナリストは、「高値更新を目指すか、先週初めに試した6.50ドルの安値に急落するか、どちらかを選ぶには、より決定的なシグナルが必要だ」と、水曜日に顧客に送った電子メールで述べている。

同社の分析メモは、米国エネルギー情報局による5月8日の週の天然ガス貯蔵量データの更新を前に発表された。

天然ガス貯蔵量 (10億立方フィート)

出所:Gelber & Associates

Investing.comが追跡しているアナリストのコンセンサスによると、米国の公益事業者は先週、ほぼ通常通りの870億立方フィート(87bcf)の天然ガスを貯蔵所に追加したようだ。

これは、前年同期の71bcfの積み増しや、5年間(2017-2021年)の平均注入量87bcfと比較しても良好な水準である。

5月1日の前週は、76bcfのガスを貯蔵に追加していた。

アナリストが予想する5月8日の週の注入量によって貯蔵量は1兆730億立方フィート(1.73tcf)になるとみている。これは、5年平均を約15.3%、前年同週を17.2%下回っている。

Gelberのアナリストは、今後数週間に予定されている貯蔵量をさらに先読みしているという。

「今週の84Bcfの注入予想は、5年平均と比較すると低めの水準だが、今後3週間は、この時期の平均的な100Bcf以上の貯蔵量増加と一致すると予測される」とみている。

「今月末の貯蔵量不足にほとんど変化がないが、市場は今春に価格を上昇させた300Bcf程度の貯蔵量の減少可能性を気にする必要がある。」

ロイター傘下のデータ・プロバイダーであるRefinitivによると、過去30年間の平年の「total degree days(TDD)」が64であったのに対して、先週のTDDは72日であった。

TDDは、家庭や企業の冷暖房需要を予測するために用いられ、1日の平均気温が華氏65度(摂氏18度)を何度下回ったか、あるいは上回ったかを測定するものである。

気象予報会社であるNatGasWeatherは水曜日に、最新の測定値から「南部と東部でかなり暑い米国の気象パターンが、今後数日間で定着しようとしている」と語った。

「テキサス州とその周辺の州は、今後数日間は通常より暑く、最高気温は華氏90度台から100度台前半となり、シーズン初期の強い冷房需要が見込まれる」と、NatGasWeather は naturalgasintel.com によるコメントで述べている。

NatGasWeatherによれば、このような状況は、先週南部で発生した同様の暑さに続くものであり、「ひどく不調な」生産と相まって、5月8日の週の貯蔵量に影響を与え、既に高まっている供給懸念に拍車をかける可能性があるとのことである。

電力会社は来冬の使用に向けて地下貯蔵庫への天然ガス注入を開始したが、供給量は歴史的な水準と比較して著しく少ないままである。昨冬の後半は需要が旺盛で、貯蔵量は枯渇していた。

免責事項:Barani Krishnanは、あらゆる市場の分析に多様性を持たせるために、自身以外の様々な見解を用いている。中立性を保つため、時には逆張りの見解や市場の変動要因を提示することもある。同氏は執筆しているコモディティおよび証券のポジションは保有していない。

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