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貴金属・エネルギー - 週次レビューと展望

発行済 2022-01-23 21:34
© Reuters
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執筆:Barani Krishnan

Investing.com -- 先週末、1990年代に連邦準備制度理事会(FRB)の伝説的人物であるAlan Greenspan元議長が行ったスピーチを参考にして、根拠なき熱狂が資産価値を過度に高めることについて書いたが、今年の最初の2週間で事実よりも期待感から2桁の利益を上げた原油市場に光を当ててみた。

1月は米国は急落し、金融危機が発生した2008年10月以来の最悪の月となった。金曜日の原油価格は、米国株式市場に同調して当初は5%も下落したが、その後は戻して1%の下落に留まり、週次ベースでは5週連続の上昇となった。Alan Greenspan元議長とは別に、今週、John Maynard Keynesの「市場は、人々が耐え続けられるよりも長い間不合理に動き続ける」という名言を思い出した。原油の不合理さがどこまで続くかを見守る必要がありそうだ。

今週は、金の動きを見てみよう。金のロングの人にとっては、少し合理的すぎるようである。時間をかけて得た利益は、市場の高揚感の中でみられる急騰よりも定着する可能性が高いので、それは良い傾向である。

すでに一部では、2022年は「大インフレの年」と呼ばれているが、金は過去40年間で最も速いペースで増大する物価上昇圧力から投資家を守り、投資ポートフォリオをさらに輝かせる資産になるかもしれない。

しかしながら、インフレに見合った動きは期待できない。

むしろ2022年の金は、1月初めからの動きと同様に、2歩進んで1歩下がるというような動きを示しながら徐々に値上がりしていく可能性が高い。

映画に例えれば、炎のような予告編ではなく、スロー・モーションのような映像だ。最近の金の動きは、近年と比べてこのような特徴がある。

インフレ・ヘッジとして金を購入し、2年前に記録的な高値を付けた上昇ペースの再来を期待する人は、控えめに言っても失望するかもしれない。

1月の初めから、金はインフレの名の下に、わずか13ドル(0.6%)しか上昇していない。

2022年の金の動きは、昨年の急激な下落に比べれば、ほとんどよちよち歩きのようなもので、3.6%の下落で3年ぶりの年間下落となり、2015年以来の大きな落ち込みとなった。

2020年と比較すると、その差はさらに劇的である。この年は、3月につけた安値1,485ドルから8月には史上最高値の2,121ドル強まで上昇し、過去10年間で最も輝かしい年となった。もちろん8月以降は下落することが数ヶ月続いたが、12月には再び反発がみられた。

米国債利回りの2年ぶりの高値や、それに伴う米ドルの上昇など、金にとっては「双子の悪」のような圧力を受けながらも、1800ドル台で推移しており、目立たないが、安定性は言及するに値する。

12月に消費者物価指数は年率7%という40年ぶりの高水準となったインフレに対処するため、FRBは今年中に一連の利上げに踏み切ると予想されているにもかかわらず、金は底堅さをみせている。利上げは一般的にはドルに有利で、金には不利に働く。

また金は先週、重要なレジスタンスである1,830ドルを突破し、2か月ぶりに1,848ドルを超える高値を記録した。

11月初旬からの6週間、1,830ドル台での推移は金の強気派にとって難攻不落の要塞のような安定化を示した。

現在、金のロングが次の大台である1900ドルを目指す上で、クリアすべきレジスタンス・ポイントはあと3つしかないようにみえる。そのポイントとは、1860ドル、1880ドル、1899ドルである。

そのポイントへの到達が早くなるのか、それとも徐々に近づいていくのだろうか。

今後の動向に注目したい。

金価格およびテクニカル分析による見通し

ニューヨークのComexで最も活発に取引されている金先物の2月限は、金曜日の取引で10.80ドル(0.6%)減の1,831.80ドルとなった。

しかし、週次ベースでは0.8%上昇した。

また、金は木曜日に2ヶ月ぶりの高値である1848.50ドルを記録している。

SK Charting.comのチーフ・テクニカル・ストラテジストであるSunil Kumar Dixit氏によると、今週の値動きは、日足、週足、月足チャートの強気のストキャスティック・シグナルに支えられ、金が1,830~1,835ドルの壁を超えて1,848ドルのレベルを試す強い勢いを示したとのことだ。

また、金のRelative Strength Indexも強い方に位置していたという。

マイナス面としては、金曜日にドルが反発したことが金の上値は重くなり、週の終値は1834ドル(高値1848ドルから14ドル下落)となったが、週の安値1805ドルを29ドル上回った。

「今週1週間は、日足チャートに弱気の反転トップがみられることから、弱気のコンソリデーションにより、横ばいでの推移が予想される。それはメイン・トレンドを変えるものではないが、フィボナッチ38.2%レベルの1825ドルと日足ボリンジャーバンド中央の1816ドルに向けて短期的な調整が始まる可能性がある」とみる。

Dixit氏は重要なこととして、金が上昇トレンドを維持するためには、週足終値が1825ドルを超えることが重要であり、失敗するとフィボナッチ50%レベルの1797ドルまで調整が拡大する可能性があると警戒を促す。

原油市場の動向

原油価格は、一時的に急落したものの、大引け前にはロングの押し目買いが入って緩和され、5週連続の上昇となった。

先週はじめは過去3週間で積み上がった米国のガソリン在庫への懸念や、コロナウイルスの大流行以来、株式市場が週単位で最悪の暴落に見舞われたことがきっかけとなり急落した。一部では、1バレル90ドル近辺の価格が最終的に原油にさらなる逆風をもたらす可能性を示唆しているとみていたが、原油のロング派の大半は、このまま上昇を続けることを確度を持って考えていたようだ。

オンライン取引プラットフォーム「OANDA」のアナリスト、 Craig Elam氏は、「原油は90ドルを目指す途中ですでに抵抗線にぶつかり、勢いを失っている」と指摘。「これは大きな心理的ハードルとなっており、ひとたび90ドルを超えれば、人々は原油価格が3桁になるまでの日数をカウントダウンすることになる」とバレル100ドルの予測を指して語った。「これは大きな問題だ」と警戒する。

エネルギー情報局のデータによると、米国のガソリン在庫は先週600万バレル近く増加し、世界的な原油価格の上昇とは対照的に季節的に需要が低迷する中、3週間で2,400万バレルという記録的な量に在庫が膨れ上がったことが木曜日に明らかになった。

このデータによると、アメリカの主要な燃料であるガソリンの需要が、2021年の年末に向けての休暇旅行が終わった後、減少していることを示唆している。

コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大によって通勤や日常のガソリン需要が減っている間に、米国の製油所では、不足していた原油をガソリンに変えていたようだ。

米国の原油自体の備蓄量は、前週455万バレル減少した後、先週は51万5000バレル増加し、8週間ぶりに増加に転じた。原油の備蓄量は過去3週間で約600万バレルしか減少しておらず、現在のガソリン市場の在庫を説明するには不十分である。

一方、トラック、バス、列車、船舶用のディーゼル燃料やジェット機用の燃料として精製される石油留分の在庫は、前週の254万バレルの増加の後、先週は143万1,000バレル減少した。

株式市場は先週、2020年3月に発生したコロナウイルスの大流行以来、最悪の打撃を受けた。投資家たちは、2年間のパンデミックで肥大化した株価のバリュエーションを全面的に引き下げようとした。また、40年ぶりの高水準となっているインフレに対抗するために戦っているFRBが、パンデミック時代の最初の切迫した利上げを行うのではないかとの懸念からも、この暴落は引き起こされている。

原油価格およびテクニカル分析による見通し

米国の原油指標であるWest Texas Intermediateは、41セント(0.5%)安の85.14ドルとなった。金曜日のセッションの前に、WTIは4ドル(5%)以上下落した。水曜日には、7年ぶりの高値となる87.91ドルに達していた。今週も1%以上の上昇を続けており、過去5週間で約20%の累積で上昇している。

ロンドンで取引されている原油の世界的な指標であるブレント原油は、49セント(約0.6%)安の87.89ドルで取引された。ブレント原油は木曜日に7年ぶりの高値となる89.48ドルを記録した後、今週は2%の上昇、過去5週間では約20%の上昇を維持している。

SK Charting社のDixit氏は、WTIが数年来の高値である85.40ドルを突破し、2014年11月以来のピークである87ドルを試した後、個人トレーダーによる利益確定が行われ、週次の取引が85.14ドルになったと指摘している。

「週明けには、熱気を帯びたモメンタムがやや冷え込み、82ドルに向けて価格が調整される可能性があり、調整の延長線上には80ドルと78ドルの水平サポート・エリア、76.50ドルの週足ボリンジャー・バンドの中央に到達する可能性がある」とDixit氏は述べた。

そうでなければ、85.50ドルを超えて強気の姿勢を維持したまま、87ドルを回復し、89ドル、そして待望の90ドルの心理的高値に向かって上昇する可能性がある、と同氏は付け加えた。

免責事項:Barani Krishnan氏は、同氏が執筆した商品や証券のポジションを保有していない。

 

 

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