[ロンドン 14日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)は14日公表した月報で、今年の世界の石油需要は日量946万バレル減少するとし、先月に予想した906万バレルから減少幅が拡大した。
2021年の見通しについては、「リスクは依然として高く、特に新型コロナウイルス流行の動向や治療法に関連し、リスクは下向き傾いている」と分析。「在宅勤務や遠隔会議の利用が増加していることから、輸送燃料が19年水準まで完全回復することに制限が生じているとみられる」と指摘し、来年は予想よりも需要回復が遅れるという見方を示した。
OPECは来年の原油消費について日量662万バレルとし、先月予想から37万バレル引き下げた。
需要の落ち込みで石油在庫は積み上がっている。OPECによると、先進国の在庫は7月に450万バレル減少したが、新型コロナ流行前にOEPCが望ましい水準としていた5年平均を上回る2億6060万バレルにとどまった。
原油先物価格 (LCOc1)は月報発表後、1バレル=40ドルを下回る水準で取引されており、多くのOPEC加盟国が予算均衡化に必要とする水準を下回る。月初からは約15%下落している。
OPECとその他の産油国で構成する「OPECプラス」が5月に開始した日量970万バレルの協調減産は8月から770万バレルに縮小。これを受け、8月のOPEC生産量は日量76万バレル増加の2405万バレルになった。ロイターの試算によると、減産枠の順守率は103%で、7月の97%から上昇した。
17日には、OPECプラスの合同閣僚監視委員会(JMMC)が会合を開く。一部の代表団は今月の価格下落に懸念の声を上げているが、合意の調整を検討している兆しは見られていない。
また、月報では今年と来年のOPEC原油需要が予想を下回ると予想。OPEC以外の供給が増加していることや世界の需要見通しが低下していることが要因だという。
今年のOPEC原油需要は日量平均2260万バレルで、従来予想から70万バレル減少。これの水準は、OPECが8月生産量を維持した場合、市場が供給過剰になることを示している。来年の予想は日量110万バレル引き下げた。