[17日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 小幅に続伸して取引を終えた。米中通商合意への期待が相場を下支えした。一方、ジョンソン英首相が英国の欧州連合(EU)離脱交渉について強硬姿勢を示したことで合意なきEU離脱への不安が再浮上し、国内経済に左右されやすい銘柄が売られた。
米中が合意に至るとの期待から通商政策に左右されやすい銘柄が買われた。英石油大手のBP (L:BP)やロイヤル・ダッチ・シェル (L:RDSa)、金融大手HSBC (L:HSBA)の値上がりが目立った。
先週の総選挙でジョンソン首相率いる与党・保守党が過半数を大きく上回る議席を確保したことを受け、ジョンソン氏はEU離脱後の移行期間について、2020年を超えての延長を阻止する構えを示した。
国内経済に左右されやすいFTSE350種住宅建設株指数 (FTNMX3720)は2.41%下落した。
英日用品のユニリーバ (L:ULVR)は7.2%安だった。19年の売り上げ見通しを引き下げたことが嫌気された。
医療サービスのNMCヘルス (L:NMC)は32.4%急落。時価総額の3分の1近くが吹き飛んだ。空売り専門の投資会社、米マディ・ウォーターズ・キャピタルがNMCヘルス株を空売りすると発言したことが嫌気された。
国内銘柄が多い中型株で構成するFTSE250種指数 (FTMC)は1.05%下落した。個別銘柄では米航空機大手ボーイング (N:BA)のサプライヤーである航空部品メーカーのシニア (L:SNR)が11.1%下落した。ボーイングが旅客機「737MAX」の生産を停止すると発表したことが売り材料だった。ボーイングの他のサプライヤーや航空会社も株価が下がった。英航空会社ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の親会社IAG (L:ICAG)とエンジンメーカーのロールスロイス (L:RR)はともに2%を超える値下がりだった。
<欧州株式市場> 5営業日ぶりに反落して取引を終えた。軟調な売り上げ見通しを示した英日用品のユニリーバ (L:ULVR)が売られた。英国の欧州連合(EU)離脱が混乱するとの不安も相場の重しだった。
ユニリーバは7.2%下落した。西アフリカの市況が厳しいほか、南アジア市場が鈍化していることで2019年の売り上げが予想を下回る伸びとなると述べた。STOXX欧州600種日用品・家庭用品株指数 (SXQP)は2.60%下落し、部門別で最も大幅に値下がりした。
ジョンソン英首相はEU離脱後の移行期間について、2020年以降への延長を阻止する構えを示した。キャピタル・エコノミクスの市場エコノミスト、シモーナ・ガンバリーニ氏は「条件で合意するまでの期間が短いことを踏まえると、合意なき離脱の可能性がなくなっていないことを投資家は心配しているのだろう」と指摘した。
英銀行大手のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS) (L:RBS)やバークレイズ (L:BARC)、ロイズ (L:LLOY)などが値を下げた。
一方、欧州航空機大手のエアバス (PA:AIR)は1.8%上昇した。競合の米ボーイング (N:BA)が旅客機「737MAX」の生産を1月から停止すると発表したことが材料視された。フランスの航空機エンジンメーカーのサフラン (PA:SAF)は1.5%安となった。
<ユーロ圏債券> 国債利回りが低下。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)や米中通商協議を巡って不透明感が意識される中、国債など安全とみられる資産が買われた。
ジョンソン英首相は、欧州連合(EU)離脱後の移行期間について、2020年以降への延長を阻止する法案の成立を目指す考えを示した。EUに来年末までの包括的な貿易協定締結を迫る狙いがある。
DZ銀のストラテジストは、先行き不透明感から国債買いが入ったと指摘。英国の20年末の交渉打ち切り方針についてはまだ時間的な余裕があるとした。
大半の国債利回りが1ー2ベーシスポイント(bp)低下。ドイツ10年債利回り (DE10YT=RR)はマイナス0.285%。英10年債利回り (GB10YT=RR)は5bp低下し0.777%。
米中通商協議を巡っても不透明感が根強いという。両国は第一段階の協定で合意したものの、複数の中国当局者によると、協定文書の文言が依然としてデリケートな問題となっており、文言を巡って再び関係が緊張することがないよう配慮が必要だという。
前出のストラテジストは「詳細に悪魔が潜んでいることはよくある。大枠で合意していても、詳細を詰める作業は思いの外、骨が折れるかもしれない」と述べた。
金融当局者の発言では、欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのミュラー・エストニア中銀総裁が、インフレ目標に柔軟性を持たせる必要があるとした上で、目標の上限に幅を持たせるバンドの設定を検討することもあり得るとの認識を示した。またレーン・フィンランド中銀総裁は、予想インフレ率が明確に2%近くまで戻り、コアインフレへの影響が目に見えるようになるまで、ECBの金融緩和政策は続くと述べた。
<為替> 欧州終盤 アジア市場終盤 コード
ユーロ/ドル 1.1146 1.1141 (EUR=)
ドル/円 109.51 109.57
ユーロ/円 122.07 122.09
<株式指数> 終値 前日比 % 前営業日終値 コード
STOXX欧州600種 414.92 -2.83 -0.68 417.75 (STOXX)
FTSEユーロファースト300種 1619.69 -8.94 -0.55 1628.63 (FTEU3)
ユーロSTOXX50種 3745.28 -27.46 -0.73 3772.74 (STOXX50E)
FTSE100種 7525.28 +6.23 +0.08 7519.05 (FTSE)
クセトラDAX 13287.8 -119.83 -0.89 13407.66 (GDAXI)
CAC40種 5968.26 -23.40 -0.39 5991.66 (FCHI)
<金現物> 午後 コード
値決め 1475.8
<金利・債券>
米東部時間14時21分
*先物 清算値 前日比 前営業日終盤 コード
3カ月物ユーロ 100.40 0.00 100.40 (FEIc1)
独連邦債2年物 111.98 +0.02 111.96 (FGBSc1)
独連邦債5年物 134.10 +0.06 134.04 (FGBMc1)
独連邦債10年物 172.13 +0.21 171.92 (FGBLc1)
独連邦債30年物 203.70 +0.88 202.82 (FGBXc1)
*現物利回り 現在値 前日比 前営業日終盤 コード
独連邦債2年物 -0.628 -0.011 -0.629 (DE2YT=RR)
独連邦債5年物 -0.546 -0.015 -0.532 (DE5YT=RR)
独連邦債10年物 -0.287 -0.020 -0.272 (DE10YT=RR)
独連邦債30年物 0.222 -0.028 0.219 (DE30YT=RR) OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20191217T195219+0000