[30日 ロイター] - <為替> 年末を迎え薄商いの中、ドルが軟調に推移。リスク選好の改善に伴い安全資産としてのドル買いが後退した。
米中通商交渉を巡っては、ナバロ米大統領補佐官(通商製造政策局長)が30日、米中による第1段階の通商合意書の署名式が間もなく行われるという見通しを示した。
主要6通貨に対するドル指数 (DXY)は0.18%安の96.743。先週末は3月以来の大幅な値下がりとなり、年初来の伸びは0.6%程度に縮小した。ドル指数は昨年、約4.4%値上がりしている。
アクション・エコノミクスのアナリストは、商いが極端に細る中、値動きの荒い展開になったとした上で「ドル指数は約半年ぶりの水準にまで値下がりしている。米中の第1段階合意に関するニュースでドルが売られた」と指摘した。
米中合意署名への期待に加え、世界経済に対する見通しの改善が米国債といった安全とみられる資産全般への買いを阻み、米10年債利回り (US10YT=RR)は上昇した。
オフショア人民元 は値上がりし6.974元と今月13日以来の高値を付けた。リスク選好の上向きでユーロ/ドル (EUR=)は一時1.121ドルと4カ月半ぶり高値。ドル/円 は0.56%安の108.80円。
<債券> 10年債利回りが上昇し、2年債と10年債の利回り差が1年2カ月ぶりの高水準となった。年末を控えた投資家のポジション調整を受けた。
終盤の10年債利回り (US10YT=RR)は1.90%で推移。12月上旬の1.69%や9月3日に付けた3年ぶり低水準の1.43%から上昇し、直近では1.95%を付けていた。
2年債と10年債の利回り差は34ベーシスポイント(bp)に広がり、2018年10月以来の高水準になった。
ニューヨーク連銀はこの日、レポオペを実施。FHNフィナンシャルの金利ストラテジスト、ジム・ボーゲル氏は、レポオペが短期債を支えたとの見方を示した。
元日の休場を控え、商いは低調だった。
<株式> 下落して取引を終えた。年末を迎え利益確定売りが優勢となり、主要3株価指数の1日あたりの下落率は約4週間ぶりの大きさとなった。
この日は、ナバロ米大統領補佐官(通商製造政策局長)が米中による第1段階の通商合意書の署名式が間もなく行われるという見通しを表明。これに先立ち、香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストは関係者の話として、中国の劉鶴副首相が第1段階の合意書に署名するため今週ワシントンを訪問すると報じた。
ただ米国株への影響は限定的。プルデンシャル・ファイナンシャルのチーフ市場ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は「トレーダーやポートフォリオマネジャーの多くは目標を達成しており、自身のパフォーマンスを危険に晒したくない。そのため、年末に一部利益確定売りが出るのは珍しいことではない」と述べた。
セクター別では通信サービス (SPLRCL)が1%安と値下がりトップ。情報技術 (SPLRCT)が0.6%安となり、指数の重しとなった。
年間では情報技術が47.5%高、通信サービスが30.6%高となり、S&P500の上昇に寄与した。
チャールズ・シュワブのトレーディング・デリバティブ部門バイスプレジデント、ランディー・フレデリック氏は、上昇率が大きなセクターほど下落リスクが高いため、そのようなセクターから利益確定売りが出るのは当然との見方を示した。
あすの米株市場は通常取引で、元日は休場となる。
個別銘柄では、中国の電気自動車(EV)メーカー、上海蔚来汽車(NIO)の米上場株 (N:NIO)が53.7%高。堅調な需要を背景に四半期決算が予想を上回った。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.43対1の比率で上回った。ナスダックでも1.52対1で値下がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は約61億2000万株。直近20営業日の平均68億9000万株を下回った。
<金先物> 年末要因の持ち高調整が商いの中心となる中、小幅ながら5営業日続伸した。中心限月2月物の清算値は前週末比0.50ドル(0.03%)高の1オンス=1518. 60ドル。
相場は早朝にかけてジリ安で推移した後、買い戻しが入り、小高い水準に切り返した。市場関係者が引き続き注目する米中通商問題をめぐっては、香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストがこの日、貿易協議「第1段階」合意文書への署名のため、中国の劉鶴副首相が今週ワシントンを訪れると報道。また、ナバロ米大統領補佐官も「(署名が)来週中くらいに行われるのではないか」と述べたと報じられたが、土壇場で交渉が決裂する可能性への警戒感がくすぶった。加えて、ドル相場下落も金の買い材料となった。
このほか、イラク駐留米軍基地への攻撃に対する報復として、イランを後ろ盾とするイスラム教シーア派組織「カタイブ・ヒズボラ」の拠点5カ所を空爆したとの米政府発表も地政学的リスクと受け止められ、安全資産とされる金塊買いを支えた。 金塊現物相場は午後1時半現在、2.560ドル高の1515.900ドル。
<米原油先物> 中東をめぐる地政学的リスクの高まりや米中貿易摩擦の緩和期待などを背景に買いが先行したものの、利益確定の売りに押され、ほぼ横ばいとなった。
米国産標準油種 WTIの中心限月2月物の清算値は、前週末比0.04ドル(0.06%)安の1バレル =61.68ドル。3月物の清算値は0.09ドル安の61.44ドル。米国防総省は29日、イラクとシリアで、イランを後ろ盾とするイスラム教シーア派組織「カタイブ・ヒズボラ」の拠点5カ所を空爆したと発表。ロイター通信は、リビア国営石油会社(NOC)が、同国最大級の製油所を併設する西部ザウィヤの原油積み出し港の近くでミサイルが着弾したことを受けて、同港を閉鎖し、職員を避難させることを検討していると伝えた。中東情勢の緊迫化への懸念から原油買いが活発化。米中貿易協議の進展期待も強地合いを支え、相場は一時62.34ドルまで上昇した。
ただ、高値圏では利益確定の売りが台頭。米株価の下落もリスク資産である原油売りにつながり、終盤は前週末清算値近辺でもみ合い商状となった。
ドル/円 NY終値 108.86/108.89
始値 109.14
高値 109.22
安値 108.76
ユーロ/ドル NY終値 1.1197/1.1201
始値 1.119 (EUR=)
高値 1.1222
安値 1.1182
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 100*27.50 2.3348% (US30YT=RR)
前営業日終値 101*12.50 2.3100%
10年債(指標銘柄) 17時05分 98*25.00 1.8858% (US10YT=RR)
前営業日終値 98*28.50 1.8730%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*11.25 1.6764% (US5YT=RR)
前営業日終値 100*11.00 1.6780%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*03.38 1.5712% (US2YT=RR)
前営業日終値 100*02.25 1.5890%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 28462.14 -183.12 -0.64 (DJI)
前営業日終値 28645.26
ナスダック総合 8945.99 -60.62 -0.67 (IXIC)
前営業日終値 9006.62
S&P総合500種 3221.29 -18.73 -0.58 (SPX)
前営業日終値 3240.02
COMEX金 2月限 1518.6 +0.5
前営業日終値 1518.1
COMEX銀 3月限 1800.1 +5.8
前営業日終値 1794.3
北海ブレント 2月限 68.44 +0.28 (LCOc1)
前営業日終値 68.16
米WTI先物 2月限 61.68 ‐0.04 (CLc1)
前営業日終値 61.72
CRB商品指数 186.8457 ‐0.3336 (TRCCRB)
前営業日終値 187.1793 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20191230T223030+0000