[20日 ロイター] - <為替> 円が対ドルで約10カ月ぶりの安値を付けた。日本発のマイナスの経済ニュースに対する懸念などが重しとなり円の下落が続いている。
円は対ドルで0.62%安の112.04円と、昨年4月以来の安値を記録。円は過去2営業日で約2%下落し、2日間の下落率としては2017年9月以来の大きさに。
スコシアバンクの外為ストラテジストは「日本国内で新型コロナウイルスの感染拡大を巡る懸念が広がる中、円は安全通貨としての魅力を失っている。円は今週に入り大きく下落しているが、オーバーナイトの取引で一段と軟調となった」と述べた。
中国を発生源とする新型ウイルスを巡っては、中国当局は感染拡大ペースの鈍化を報告。ただ、検疫のため横浜港に停泊し、新型ウイルスの集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船していた80代の男性と女性が1人ずつ死亡したことを受け、当初の想定よりもウイルスの感染力が強い恐れがあると警戒感が高まっている。[nL4N2AK0Y7][nL4N2AK1Z7]
このほか、内閣府が17日に発表した19年10─12月期国民所得統計1次速報によると、実質国内総生産(GDP)は前期比マイナス1.6%、年率換算でマイナス6.3%となった。5四半期ぶりのマイナス成長となり、減少幅は2014年4─6月期以来の大きさとなった。[nL4N2AH02X]
バノックバーン・グローバル・フォレックスのストラテジストは「中国との関係、新型ウイルスに対するエクスポージャー、日本の国内的な問題が相まって、日本経済は2四半期連続でマイナス成長に陥るとの懸念が出ている」と述べた。
主要6通貨に対するドル指数は0.30%高の99.864と、100に迫った。同指数は過去約3年間は100に乗せていない。
こうした中、連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長は、米経済が失速する兆しは出ていないと述べ、新型ウイルスを巡る懸念は示さなかった。[nL4N2AK48V]
豪ドルは約11年ぶりの安値を更新。1月の失業率が求職者数の増加を背景に5.3%と、19年3月以来の低水準だった前月の5.1%から上昇したことが売りを誘った。[nL4N2AK0B8]
英ポンドは対ドルで3カ月ぶり安値を付けた。
<債券> 安全資産である米債への買いが強まり、利回りが低下した。30年債利回りは2%を下回り、2019年9月以来の低水準を付けた。
終盤の30年債利回り (US30YT=RR)は5.1ベーシスポイント(bp)低下の1.965%。一方、10年債利回り (US10YT=RR)は5bp低下の1.520%。中国での新型コロナウイルスの感染者数増加と感染拡大に伴う経済的影響を懸念し、米国株が下落。米債利回りも連動して低下した。
米経済指標が予想を上回ったにも関わらず、安全資産への買いが続いた。[nL4N2AK484]
<株式> 情報技術(IT)株主導で反落して取引を終えた。中国や他国での新型コロナウイルスの新たな感染状況を受け、ウイルスの流行や世界経済への影響を巡る懸念が高まった。
S&P総合500種 (SPX)は午前の取引終盤に一時、急激に下げ幅を拡大し1%超値下がりする局面があった。一部の市場関係者は、中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報が、北京の病院で新たに36人の感染が確認されたと伝えたことが背景にあるとみている。これを受け、北京で新型ウイルスの感染が広がる可能性が懸念された。
新型ウイルスを巡っては、横浜港に停泊し、集団感染が確認されたクルーズ船の乗客から2人の死者が出たほか、韓国で新たに31人の感染が確認され、投資家はすでに神経質になっていた。新型ウイルスの感染力が想定以上に高いという研究結果も発表された。[nL4N2AK4T9]
専門家は、投資家は一部の大型IT株に利食い売りを出して、小型株など別のセクターに買いを入れているようだと指摘。小型株で構成するラッセル2000指数 (RUT)は0.2%高。
S&Pの情報技術株指数 (SPLRCT)は1%下落。同指数は今年のS&P500種の上げを主導してきており、昨年12月31日以降では依然として10%超上昇している。この日は、マイクロソフト (O:MSFT)、アップル (O:AAPL)、アマゾン・ドット・コム (O:AMZN)がいずれも下落し、S&Pの下げを主導した。
オンライン証券のイー・トレード・フィナンシャル (O:ETFC)は21.8%の大幅高となった。金融大手モルガン・スタンレー (N:MS)が20日、同社を約130億ドルで買収すると発表したことが背景。米金融機関による買収案件としては2008─09年の世界的な金融危機以降で最大規模となる。[nL4N2AK4GJ]
メディア大手のバイアコムCBS (O:VIAC)は17.9%急落。合併完了後初の四半期決算で、売上高と利益が予想を下回った。[nL4N2AK4T3]
<金先物> 新型コロナウイルスの感染拡大への懸念がくすぶる中、「質への逃避」の金が買われ、6営業日続伸。中心限月4月物の清算値は前日比8.70ドル(0.54%)高の1オンス=1620.50ドルと、清算値ベースで2013年2月以来約7年ぶりの高値となった。高値圏では利益確定の売りが出たが限定的だった。
<米原油先物> 需給引き締まり観測などを背景に買われ、続伸した。この日納会を迎えた米国産標準油種WTIの3月物の清算値は前日比0.49ドル(0.92%)高の1バレル=53.78ドルだった。4月物は0.39ドル高の53.88ドルとなった。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間統計では、原油在庫が前週比40万バレ ル増と、市場予想(ロイター調査)の250万バレル増よりも小幅な積み増しとなり、原油が買われた。ガソリン在庫も市場予想の40万バレル増に反して200万バ レル減となった。ディスティレート(留出油)は60万バレル減で、予想は150万バレ ル減だった。
ただ、新型コロナウイルスの感染拡大に対する警戒感は根強く、午後にかけて米株式相場が下げ幅を拡大。つれて原油も上げ幅を削った。対ユーロでのドル高もドル建てで取引される原油などの商品の割高感につながり、原油の上値を抑えた。
ドル/円 NY終値 112.11/112.14
始値 111.84
高値 112.21
安値 111.71
ユーロ/ドル NY終値 1.0783/1.0787
始値 1.0795 (EUR=)
高値 1.0820
安値 1.0784
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 100*27.00 1.9626% (US30YT=RR)
前営業日終値 99*20.50 2.0160%
10年債(指標銘柄) 17時04分 99*26.50 1.5186% (US10YT=RR)
前営業日終値 99*11.50 1.5700%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*01.75 1.3635% (US5YT=RR)
前営業日終値 99*26.75 1.4090%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*31.00 1.3912% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*28.88 1.4260%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 29219.98 -128.05 -0.44 (DJI)
前営業日終値 29348.03
ナスダック総合 9750.97 -66.22 -0.67 (IXIC)
前営業日終値 9817.18
S&P総合500種 3373.23 -12.92 -0.38 (SPX)
前営業日終値 3386.15
COMEX金 4月限 1620.5 +8.7
前営業日終値 1611.8
COMEX銀 3月限 1831.9 +0.8
前営業日終値 1831.1
北海ブレント 4月限 59.31 +0.19 (LCOc1)
前営業日終値 59.12
米WTI先物 4月限 53.88 +0.39 (CLc1)
前営業日終値 53.49
CRB商品指数 174.7268 ‐0.7718 (TRCCRB)
前営業日終値 175.4986
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