[2日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 反発して取引を終えた。新型コロナウイルスの感染拡大による打撃を抑制するために各国の中央銀行が一段と金融緩和に動くとの見方が広がった。
FTSE100種は前週末、2016年以来の安値を付けた。CMEグループのFEDウオッチによると、短期金利先物は米連邦準備理事会(FRB)が3月17―18日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率を100%と見込んでいる。
オンラインスーパー大手オカド (L:OCDO)とスーパーマーケット大手セインズベリー (L:SBRY)、同モリソンズ (L:MRW)の値上がりが目立った。オカドは「非常に需要が高い」事態を踏まえ早期に注文するよう顧客に呼び掛けた。新型ウイルスによって買い物客が大量買いしている可能性を示唆した。
原油価格は供給が減るとの見方から値上がり。石油大手のBP (L:BP)とロイヤル・ダッチ・シェル (L:RDSa)が買われた。
FTSE350種鉱業株指数 (FTNMX1770)は2.31%、嗜好品株指数 (FTNMX3760)は3.20%それぞれ上昇した。
一方、利下げ観測の高まりに伴い銀行株指数 (FTNMX8350)は1.47%下落した。旅行・娯楽関連株指数 (FTNMX5750)は2.00%安。投資家は新型ウイルスの影響で旅行業が大打撃を受けるとの見方を示している。
<欧州株式市場> 不安定な相場展開の末、反発して取引を終えた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け主要な中央銀行が政策を一段と緩和するとの見方が相場を支えた。
新型ウイルスの影響で中国の2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は軟調だった。中国での新規感染者数の伸びは鈍化したものの、統計を受け利下げ期待が高まった。トレーダーは米連邦準備理事会(FRB)が早ければ今月にも、政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き下げるとみている。欧州中央銀行(ECB)は4月の会合で10bp下げるとみられている。
原油が5%値上がりし、STOXX欧州600種石油・ガス株指数 (SXEP)は1.32%上昇した。
フィンランドの通信機器大手ノキア (HE:NOKIA)は1.4%上昇。スリ最高経営責任者(CEO)が9月に辞任する計画が好感された。
欧州で新型ウイルスの打撃が最も大きいイタリアでは、24時間以内に死亡者数が34人から52人へ増えた。景気への打撃を和らげるために国内総生産(GDP)の0.2%にあたる36億ユーロ(35億ドル)規模の財政刺激策が導入されるとの報道があったにもかかわらずイタリアの主要株価FTSE・MIB指数 (FTMIB)は1.50%下落した。
旅行・娯楽関連株指数 (SXTP)は2.71%下落した。欧州格安航空会社(LCC)最大手ライアンエア (I:RYA)が4.9%安となり、全体を押し下げた。ライアンエアは主要な市場であるイタリア発着の便を向こう3週間、25%減らすとした。新型ウイルスの感染が拡大して以降、予約が減っていることを理由として挙げた。
ルクセンブルグを拠点とする人工衛星オペレーターのSES (PA:SESFd)は30.1%急落。動画・ネットワーク事業の勢いがなくなるとし、2020年のコア利益と売り上げ見通しを引き下げた。
<ユーロ圏債券> 安全資産とされるドイツ国債利回りが6カ月ぶり水準に低下した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、欧州中央銀行(ECB)が早ければ今月の理事会で利下げする可能性が織り込まれている。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は先月28日、声明を発表し、米経済は引き続き底堅いものの、新型ウイルスの感染拡大が経済へのリスクになっており、景気の下支えに向けFRBとして適切に対応すると表明。[nL3N2AS592]
日銀の黒田東彦総裁も2日、談話を発表し、「最近の内外金融資本市場では、新型コロナウイルス感染拡大により、経済の先行きに対する不透明感が強まるもとで、不安定な動きが続いている」と指摘。その上で、日銀として「今後の動向を注視しつつ、適切な金融市場調節や資産買い入れの実施を通じて、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく方針である」とした。[nT9N2AQ00K]
ECBでも理事会メンバーのフランソワ・ビルロワドガロー仏中銀総裁が、新型ウイルスの感染拡大で対応が必要になればECBには景気を下支えする用意があると表明。ただ、現時点で追加措置は不要だとの認識を示した。[nL4N2AV2VJ]
EONIA(ユーロ圏無担保翌日物平均金利)先物市場は、ECBの4月理事会での10ベーシスポイント(bp)利下げが完全に織り込まれた。また、短期市場が織り込む来週の理事会での利下げ確率も90%を超え、1週間前の約10%から急上昇した。[nL4N2AV2UL]
市場は今年2回の10bp利下げを織り込んでおり、先週時点での1回から増加した。
ゴールドマン・サックスのエコノミストは1日、FRBが3月17─18日の次回連邦公開市場委員会(FOMC)を待たずに利下げに動く可能性があるとの見方を示した。[nL4N2AV04K]
ラボバンクの金利部門責任者、リチャード・マグワイア氏は「現在見られる市場の動きは世界金融危機の時と非常に似ている」とし、協調的な政策対応の効果は上がっていると述べた。
ドイツ10年債利回り (DE10YT=RR)は一時マイナス0.667%と半年ぶりの水準まで低下。昨年9月初旬に付けた過去最低まで約10bpに接近した。終盤は3bp低下のマイナス0.64%に戻した。
みずほの金利ストラテジスト、ピーター・マッカラム氏は「今週は、市場がFRBの支援メッセージにどの程度安心できるかにかかっている。リスク資産はより安定化するだろうが、緩和が実際に発表されるまで投資家の不透明感は続くだろう」と述べた。
イタリア国債利回り (IT2YT=RR) (IT10YT=RR)は一時低下したが、その後に反転。イタリアとドイツの10年債利回り格差 (DE10IT10=RR)は184bpと、昨年8月以来の大きさに拡大した。
国家統計局によると、2019年のイタリアの財政赤字の対GDP比率は1.6%と2007年以来の低水準を記録した。欧州連合(EU)が定める上限(3%)の約半分にとどまった。[nL4N2AV3C2]
<為替> 欧州終盤 アジア市場終盤 コード
ユーロ/ドル 1.1161 1.1062 (EUR=)
ドル/円 108.02 108.44
ユーロ/円 120.57 119.98 (EURJPY=)
<株式指数> 終値 前日比 % 前営業日終値 コード
STOXX欧州600種 375.97 +0.32 +0.09 375.65 (STOXX)
FTSEユーロファースト300種 1469.19 +4.71 +0.32 1464.48 (FTEU3)
ユーロSTOXX50種 3338.83 +9.34 +0.28 3329.49 (STOXX50E)
FTSE100種 6654.89 +74.28 +1.13 6580.61 (FTSE)
クセトラDAX 11857.87 -32.48 -0.27 11890.35 (GDAXI)
CAC40種 5333.52 +23.62 +0.45 5309.90 (FCHI)
<金現物> 午後 コード
値決め 1599.65
<金利・債券>
米東部時間15時18分
*先物 清算値 前日比 前営業日終盤 コード
3カ月物ユーロ 100.50 +0.04 100.46 (FEIc1)
独連邦債2年物 112.40 +0.08 112.32 (FGBSc1)
独連邦債5年物 135.87 +0.21 135.66 (FGBMc1)
独連邦債10年物 177.83 +0.37 177.46 (FGBLc1)
独連邦債30年物 221.08 +1.30 219.78 (FGBXc1)
*現物利回り 現在値 前日比 前営業日終盤 コード
独連邦債2年物 -0.814 -0.044 -0.780 (DE2YT=RR)
独連邦債5年物 -0.788 -0.031 -0.785 (DE5YT=RR)
独連邦債10年物 -0.615 -0.014 -0.606 (DE10YT=RR)
連邦債30年物 -0.159 -0.011 -0.148 (DE30YT=RR) OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200302T225244+0000