[20日 ロイター] - <為替> ニューヨーク外為市場ではユーロが対ドルで約4カ月ぶりの高値を更新。新型コロナウイルス禍で打撃を受けた経済の立て直しに向け、欧州連合(EU)が総額7500億ユーロの復興基金案で近く合意するとの期待が追い風となった。
ユーロ/ドル (EUR=EBS)は一時、約4カ月ぶりの高値となる1.14675ドルに上昇。終盤の取引では0.12%高の1.1441ドルで推移した。
OANDAのシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏は、EUの復興基金が主要な注目材料だとし、「進展の兆しがリスク選好度押し上げに寄与し、ユーロは最近の高値近辺で推移している」と述べた。
復興基金案を巡るEU首脳会議の議論はなお続いており、アナリストは復興基金が小規模となれば、ユーロが今後下げ足を速める可能性があると予想する。
新型コロナワクチン開発を巡る明るいニュースも材料視され、豪ドルやニュージーランドドルなどの買いが膨らんだ。豪ドル/米ドル
英医学誌ランセットによると、製薬大手アストラゼネカ (L:AZN)とオックスフォード大学が共同開発中のコロナワクチンの初期臨床試験(治験)結果が公表され、安全性と免疫効果が確認された。[nL3N2ER3GP]
ムニューシン米財務長官によると、トランプ大統領と共和党指導部は1兆ドル規模の新たなコロナ経済対策を打ち出す方針を固めた。しかし、米議会で民主・共和の攻防が見込まれる中、安全資産とされるドルへの追い風となる可能性がある。[nL3N2ER3V9]
ドル指数
ドル/円
<債券> 米金融・債券市場では長期債利回りがやや低下した。米株式相場の上昇や今週の国債入札などが意識されている。
終盤の取引で10年債 (US10YT=RR)利回りは1ベーシスポイント(bp)低下の0.6184%。米国の新型コロナウイルス感染拡大を巡る懸念と、ワクチン開発への期待の狭間で、債券市場のリスク選好度は行きつ戻りつしている。
アクションエコノミクス(サンフランシスコ)のシニアエコノミスト、キム・ルパート氏は「米株価が上昇し、特にナスダック総合が大きく上げたことで、国債に対する需要がいくらか低減した」と述べた。
米財務省は22日に170億ドルの20年債、23日に140億ドルの10年物インフレ連動債(TIPS)の入札を実施する。
USバンク・ウエルスマネジメント(ミネアポリス)の債券調査部門責任者、ビル・メーツ氏は、今年これまでの国債入札は順調にこなされ、利回りが大きく変動することも、ボラティリティーが高まることもなかったと指摘。「今後も国債入札が市場の波乱要因になる公算は小さいとみられる」と述べた。
今週は政府の次回の新型ウイルス対策を巡る議会討議も注目されている。
2年債 (US2YT=RR)利回りは0.1492%。上昇したものの、上昇幅は1bp以下にとどまった。2年債と10年債の利回り格差
<株式> 米国株式市場は上昇して取引を終えた。ハイテク株が買われ、ナスダック総合が終値ベースで最高値を更新した。新型コロナウイルスの新規感染者数は増加しているものの、新型コロナ感染症ワクチンの有望な治験結果が追い風となった。
アマゾン・ドット・コム (O:AMZN)とマイクロソフト (O:MSFT)が買われ、ナスダック総合とS&P総合500種の最大の押し上げ要因となった。
米国では50州のうち42州で新型コロナウイルス感染者数が増加。感染による死者数は週末に累計14万人を超えた。こうした中、この日は新型ウイルスワクチン開発で有望な結果が示されたとのニュースが相次いだ。
有望な結果が示されたのは、英製薬大手アストラゼネカ (L:AZN)と英オックスフォード大学、中国カンシノ・バイオロジクス(康希諾生物) (HK:6185)と人民解放軍の軍事科学院、米製薬ファイザー (N:PFE)と独バイオ医薬のビオンテック (O:BNTX)がそれぞれ開発を進めるワクチン。 [nL3N2ER3GP][nL3N2ER38U][nL3N2ER36W]
ノバポイント(アトランタ)の最高投資責任者(CIO)、ジョセフ・スロカ氏は「コロナワクチンの開発を巡るニュースはプラスのものであれマイナスのものであれ、市場のリスク選好度を左右する要因になっている。1年前は通商問題が相場の動意だった」と指摘。この先数週間で、米政府の次回コロナ対策の規模を巡るリスク検証が始まるとの見方を示した。
S&P500総合500種の11部門のうち、一般消費財 (SPLRCS)とハイテク (SPLRCT)が最も大きく上昇した。
第2・四半期決算の発表は続いており、リフィニティブのデータによると、S&P総合500種構成銘柄のうち約48社がでこれまでに決算を発表し、このうち77.1%が予想を上回った。
個別銘柄では、石油サービス会社ハリバートン (N:HAL)が2.5%高。第2・四半期決算は原油価格の急落と北米のシェールオイル掘削需要の急減を受け21億ドルの減損を計上したことで3四半期連続で赤字となったものの、調整後の1株損益は0.05ドルの利益と予想外の黒字となった。[nL3N2ER352]
石油・天然ガス生産会社ノーブル・エナジー (O:NBL)は5.4%高。米石油大手シェブロン (N:CVX)がこの日、同社を約50億ドルで買収すると発表した。シェブロンは2.2%安。[nL3N2ER3D6]
電気自動車(EV)大手テスラ (O:TSLA)は9.5%高の1643ドルと、終値として過去最高値を更新した。
IBM (N:IBM)は取引終了後の時間外取引で約5%上昇。第2・四半期の利益と売上高が予想を上回ったことが買い材料となった。
一方、製薬モデルナ (O:MRNA)は12.8%安。新型ウイルスワクチン開発で競合社から前向きなニュースが相次いだことで売られた。
<金先物> 週明け20日のニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、根強い先行き不透明感を背景に安全資産としての買いが集まり、続伸した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前週末比7.40ドル(0.41%)高の1オンス=1817.40ドル。
米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センター(CSSE)の18日時点の集計によると、新型コロナウイルスによる世界の死者は60万人を超え、感染者数の累計は1400万人を突破。1日当たりの新規感染者数は過去最多を連日更新しており、依然として抑制不能の状態が続いている。
コロナ危機の長期化を背景に世界経済の回復ペースが遅れるとの懸念がくすぶる中、金塊は各国政府・中央銀行による財政出動や金融緩和で市場に流入した資金の受け皿として引き続き選好されやすく、20日も未明からじりじりと上げ幅を拡大。外国為替市場で一時ドル売り・ユーロ買いが加速し、ドル建てで取引される商品の割安感が強まったことも支援材料となり、午後にかけてプラス圏を維持した。
<米原油先物> 週明け20日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、新型コロナウイルスのワクチン開発に期待が広がる中で買われ、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は、前週末比0.22ドル(0.54%)高の1バレル=40.81ドル。9月物は0.17ドル高の40.92ドルだった。
ワクチン開発への期待を背景に、米景気先行きに対する警戒感が後退し、原油が買われた。また、外国為替市場では、対ユーロでドル安が進行。ドル建てで取引される原油などの商品の割安感につながり、原油を支えた。一方で、米国南部や西部を中心に新型コロナの新規感染者が急増を続ける中、相場の上値は重かった。
ドル/円 NY終値 107.24/107.27
始値 107.14
高値 107.33
安値 107.04
ユーロ/ドル NY終値 1.1444/1.1448
始値 1.1451 (EUR=)
高値 1.1464
安値 1.1403
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 98*15.50 1.3116% (US30YT=RR)
前営業日終値 98*02.00 1.3290%
10年債(指標銘柄) 17時05分 100*03.50 0.6135% (US10YT=RR)
前営業日終値 99*31.00 0.6280%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*27.25 0.2803% (US5YT=RR)
前営業日終値 99*27.00 0.2820%
2年債(指標銘柄) 15時55分 99*30.50 0.1492% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*30.63 0.1470%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 26680.87 +8.92 +0.03 (DJI)
前営業日終値 26671.95
ナスダック総合 10767.09 +263.90 +2.51 (IXIC)
前営業日終値 10503.19
S&P総合500種 3251.84 +27.11 +0.84 (SPX)
前営業日終値 3224.73
COMEX金 8月限 1817.4 +7.4
前営業日終値 1810.0
COMEX銀 9月限 2019.2 +42.8
前営業日終値 1976.4
北海ブレント 9月限 43.28 +0.14 (LCOc1)<0#LCO:>
前営業日終値 43.14
米WTI先物 8月限 40.81 +0.22 (CLc1)<0#CL:>
前営業日終値 40.59
CRB商品指数 140.6907 ‐0.1364 (TRCCRB)
前営業日終値 140.8271 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200720T221100+0000