日経平均は小幅に4日続伸。
21.78円高の23352.10円(出来高概算8億6000万株)で前場の取引を終えている。
7日の米株式市場でNYダウは182ドル高と反発し、過去最高値を更新した。
米中が段階的な関税措置の撤廃で合意したと伝わり、買いが先行。
ただ、合意は決定事項でなく「ホワイトハウス内で反対が出ている」との報道もあり、引けにかけて上げ幅を縮小した。
米長期金利の大幅上昇とともに為替相場は1ドル=109.40円台まで円安方向に振れる場面があり、本日の日経平均も米株高や円安を好感して219円高からスタート。
オプション11月限の特別清算指数(SQ)算出に絡んだ売買が買い越しだったことも押し上げ要因になったとみられる。
朝方には一時23591.09円(260.77円高)まで上昇したが、SQ値(市場推計で23637.93円)に届かず失速すると、前引けにかけてマイナスに転じる場面もあった。
東証1部の値上がり銘柄は全体の5割強、対して値下がり銘柄は4割強となっている。
個別では、前日に決算を受けて売られたソフトバンクG (T:9984)が2%超高と反発。
4-9月期決算が市場予想を上回ったテルモ (T:4543)は13%超高と急伸し、この2銘柄で日経平均を約92円押し上げた。
その他売買代金上位では、米長期金利の上昇が買い材料視された三菱UFJ (T:8306)や三井住友 (T:8316)といったメガバンク株、決算を評価した買いが続くトヨタ自 (T:7203)などが堅調で、自社株買い実施を発表したキリンHD (T:2503)は9%超の大幅高。
また、レック (T:7874)などが東証1部上昇率上位に顔を出した。
一方、ファーストリテ (T:9983)、東エレク (T:8035)、キーエンス (T:6861)などが軟調で、任天堂 (T:7974)は小安い。
業績予想を実質的に下方修正した資生堂 (T:4911)が急落し、バンナムHD (T:7832)やルネサス (T:6723)も決算を受けて売りがかさんだ。
また、山田コンサルや三桜工 (T:6584)が東証1部下落率上位に顔を出した。
セクターでは、精密機器、石油・石炭製品、倉庫・運輸関連業などが上昇率上位。
反面、化学、その他製品、空運業などが下落率上位だった。
米株高や円安の流れを引き継ぎ、本日の日経平均は200円を超える上昇でスタート。
中国政府が「米国と追加関税の段階的な撤廃で合意」と発表したことが好感された。
朝方には取引時間の年初来高値を大きく更新したが、その後失速しマイナス転換する場面も見られた。
米中の合意を巡っては「米政権内で猛烈な反対が出ている」とか、「ナバロ米大統領補佐官が、現時点で『第1段階』の合意条件として関税撤廃を含めることに合意はないと語った」といった報道もあり、米政権からの正式なコメントを待ちたいという思惑が広がっているようだ。
SQ通過後の失速に需給面への懸念がくすぶる可能性もある。
このところ外国人投資家の買いは現物株中心だった印象だが、日経平均寄与度が大きいファーストリテの本日の軟調ぶりを見ると、先物にまとまった売りが出ているとみられる。
上に付けたSQ値は目先の上値めどとして意識されやすい。
企業による業績下方修正が相次ぎ、日経平均の予想1株当たり利益(EPS)が縮小するとともに、直近の株高で予想PERは13倍台後半まで上昇。
バリュエーション面でも警戒感が出やすい局面だろう。
米中協議の進展や企業業績の底入れによる「年末高」への期待も根強いため、下値では押し目買いの動きがあるだろうが、日経平均は目先23000円台で日柄調整、個別株物色中心といった展開も想定しておきたい。
(小林大純)