日経平均は3日続伸。
7.13円高の27686.05円(出来高概算6億8172万株)で前場の取引を終えている。
1日の米株式市場でダウ平均は79.75ドル安(−0.24%)と続落。
中国が「ゼロコロナ」政策を緩和するとの思惑で上昇したアジア、欧州市場の流れを引き継ぎ買いが先行。
ただ、10月ISM製造業景況指数やJOLT求人件数などの経済指標が予想を上回ったことで利上げ観測が強まり長期金利が上昇に転じると下落に転じた。
ナスダック総合指数も−0.88%と続落。
米国株安を引き継いで日経平均は116.62円安からスタート。
ただ、ナスダック100先物が堅調に推移していた中、日本時間明日未明3時頃に結果公表を控える米連邦公開市場委員会(FOMC)を直前に持ち高を傾ける向きは限られ、寄り付き直後から下げ渋ぶる展開に。
アジア市況も堅調な中、日経平均は前場中ごろには前日比プラス圏に浮上、そのまま前引けまで堅調推移が続いた。
個別では、業績予想を上方修正したソニーG (TYO:6758)、日本製鉄 (TYO:5401)、ニチレイ (TYO:2871)、横河電機 (TYO:6841)、市場予想を上回る7−9月期営業益となったTDK (TYO:6762)が大幅に上昇。
直近、好決算が確認されたばかりの三井物産 (TYO:8031)、双日 (TYO:2768)、NTN (TYO:6472)、東邦チタニウム (TYO:5727)、JVCKW (TYO:6632)なども大幅高。
冶金工 (TYO:5480)、スミダ (TYO:6817)は前日のストップ高に続いて本日も2ケタ上昇率で急伸。
一方、花王 (TYO:4452)が大幅な減益決算を受けて急落。
CTC (TYO:4739)も減益決算が嫌気されて大幅安。
業績予想を下方修正した住友化学 (TYO:4005)、業績予想を上方修正も市場予想に届かなかった日本酸素HD (TYO:4091)
も大きく下落。
直近の決算を嫌気した売りが続いたLITALICO (TYO:7366)、サイバー (TYO:4751)
なども急落した。
セクターでは鉱業、鉄鋼、石油・石炭が上昇率上位となった一方、化学、精密機器、電気・ガスが下落率上位となった。
東証プライム市場の値上がり銘柄は全体53%、対して値下がり銘柄は42%となっている。
日経平均は前日終値を挟んだ水準で一進一退も、寄り付きから下げ渋る底堅い展開で、前日に超えた75日移動平均線上を維持している。
祝日明けの週末には日足一目均衡表の雲上限を突破して上放れが期待できそうな状況だ。
一方、外部環境を巡る不透明感は一向に晴れてこない。
米連邦準備制度理事会(FRB)の年内の利上げペース減速に対する期待は根強いものの、前日に発表された米9月労働省雇用動態調査(JOLTS)での求人件数は前月比43.7万件増の1072万件で、減少を予想する市場予想(975万件)に反して増加した。
また、労働市場の逼迫緩和を示唆する結果として株式市場で好感された8月分については、1028万件へと速報値(1005.3万件)から上方修正された。
失業者1人に対する求人件数は約1.9件と、8月の約1.7件から増加した。
こうした結果を受けて、債券市場ではFRBの利上げペース減速期待がさらに後退。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場は、2023年5月には再び政策金利が5%を超えることを織り込んできている。
一方、株式市場の方は日米ともに引き続き底堅く、利上げペース減速期待は根強いようだ。
しかし、やはり市場が期待するようなFRBのハト派化への転換はやや後ろ倒しになったと考えられる。
今回の9月JOLTSの結果を受けて、今週末の米10月雇用統計に対する注目度は一段と高まった。
FRBもこの結果を確認する前に過度に市場に対してハト派的な見解を示すことは考えにくい。
12月FOMCに向けて利上げ幅縮小の議論を開始したといった程度の、事前の報道で伝えられている範疇に収まるだろう。
ほか、企業業績の悪化も気掛かり。
円安効果もあり、日本企業の業績は相対的に堅調で、株価の反応もまずまずといった印象だが、前日に発表されたトヨタ自 (TYO:7203)の決算は市場予想を下回った。
生産台数の下振れなどの事前報道で目線は切り下がっていたはずだが、原材料費高騰の影響の大きさや先行き不透明感が嫌気され、株価は前日に続き本日も下落している。
10月31日に業績予想を下方修正した村田製 (TYO:6981)も、前日に続き続落しており、あく抜けには至っていない。
半導体関連については、市況が急速に調整している一方、アドバンテスト (TYO:6857)など堅調な業績を受けて直後の株価が買いで反応しているケースもある。
悪材料一辺倒であってくれた方が材料出尽くしであく抜けにも繋がりやすいと思われるが、強弱材料が混在している分、逆に底入れ時期が遠のいているようで素直に喜べない。
加えて、安川電機 (TYO:6506)やファナック (TYO:6954)の業績下方修正もあり、製造業は全体的にパッとしない株価推移のものも多い印象。
一方で、リオープンの進展でインバウンド需要の期待が高まっている内需関連の銘柄は、先週こそは利益確定売りで調整したものの、今週は再び強い動きを見せている銘柄が多く見られる。
ANA (TYO:9202)、JR西 (TYO:9021)などの代表的な銘柄のチャートはしっかりとした基調を維持している。
グローバル経済がこの先も減速傾向にあることが予想される中、今後のFOMCの結果次第でもあるが、次四半期決算シーズン頃までは、現在の「製造業売り・サービス業買い」の物色動向が続く可能性が高いと見ておいた方がよさそうだ。
(仲村幸浩)
7.13円高の27686.05円(出来高概算6億8172万株)で前場の取引を終えている。
1日の米株式市場でダウ平均は79.75ドル安(−0.24%)と続落。
中国が「ゼロコロナ」政策を緩和するとの思惑で上昇したアジア、欧州市場の流れを引き継ぎ買いが先行。
ただ、10月ISM製造業景況指数やJOLT求人件数などの経済指標が予想を上回ったことで利上げ観測が強まり長期金利が上昇に転じると下落に転じた。
ナスダック総合指数も−0.88%と続落。
米国株安を引き継いで日経平均は116.62円安からスタート。
ただ、ナスダック100先物が堅調に推移していた中、日本時間明日未明3時頃に結果公表を控える米連邦公開市場委員会(FOMC)を直前に持ち高を傾ける向きは限られ、寄り付き直後から下げ渋ぶる展開に。
アジア市況も堅調な中、日経平均は前場中ごろには前日比プラス圏に浮上、そのまま前引けまで堅調推移が続いた。
個別では、業績予想を上方修正したソニーG (TYO:6758)、日本製鉄 (TYO:5401)、ニチレイ (TYO:2871)、横河電機 (TYO:6841)、市場予想を上回る7−9月期営業益となったTDK (TYO:6762)が大幅に上昇。
直近、好決算が確認されたばかりの三井物産 (TYO:8031)、双日 (TYO:2768)、NTN (TYO:6472)、東邦チタニウム (TYO:5727)、JVCKW (TYO:6632)なども大幅高。
冶金工 (TYO:5480)、スミダ (TYO:6817)は前日のストップ高に続いて本日も2ケタ上昇率で急伸。
一方、花王 (TYO:4452)が大幅な減益決算を受けて急落。
CTC (TYO:4739)も減益決算が嫌気されて大幅安。
業績予想を下方修正した住友化学 (TYO:4005)、業績予想を上方修正も市場予想に届かなかった日本酸素HD (TYO:4091)
も大きく下落。
直近の決算を嫌気した売りが続いたLITALICO (TYO:7366)、サイバー (TYO:4751)
なども急落した。
セクターでは鉱業、鉄鋼、石油・石炭が上昇率上位となった一方、化学、精密機器、電気・ガスが下落率上位となった。
東証プライム市場の値上がり銘柄は全体53%、対して値下がり銘柄は42%となっている。
日経平均は前日終値を挟んだ水準で一進一退も、寄り付きから下げ渋る底堅い展開で、前日に超えた75日移動平均線上を維持している。
祝日明けの週末には日足一目均衡表の雲上限を突破して上放れが期待できそうな状況だ。
一方、外部環境を巡る不透明感は一向に晴れてこない。
米連邦準備制度理事会(FRB)の年内の利上げペース減速に対する期待は根強いものの、前日に発表された米9月労働省雇用動態調査(JOLTS)での求人件数は前月比43.7万件増の1072万件で、減少を予想する市場予想(975万件)に反して増加した。
また、労働市場の逼迫緩和を示唆する結果として株式市場で好感された8月分については、1028万件へと速報値(1005.3万件)から上方修正された。
失業者1人に対する求人件数は約1.9件と、8月の約1.7件から増加した。
こうした結果を受けて、債券市場ではFRBの利上げペース減速期待がさらに後退。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場は、2023年5月には再び政策金利が5%を超えることを織り込んできている。
一方、株式市場の方は日米ともに引き続き底堅く、利上げペース減速期待は根強いようだ。
しかし、やはり市場が期待するようなFRBのハト派化への転換はやや後ろ倒しになったと考えられる。
今回の9月JOLTSの結果を受けて、今週末の米10月雇用統計に対する注目度は一段と高まった。
FRBもこの結果を確認する前に過度に市場に対してハト派的な見解を示すことは考えにくい。
12月FOMCに向けて利上げ幅縮小の議論を開始したといった程度の、事前の報道で伝えられている範疇に収まるだろう。
ほか、企業業績の悪化も気掛かり。
円安効果もあり、日本企業の業績は相対的に堅調で、株価の反応もまずまずといった印象だが、前日に発表されたトヨタ自 (TYO:7203)の決算は市場予想を下回った。
生産台数の下振れなどの事前報道で目線は切り下がっていたはずだが、原材料費高騰の影響の大きさや先行き不透明感が嫌気され、株価は前日に続き本日も下落している。
10月31日に業績予想を下方修正した村田製 (TYO:6981)も、前日に続き続落しており、あく抜けには至っていない。
半導体関連については、市況が急速に調整している一方、アドバンテスト (TYO:6857)など堅調な業績を受けて直後の株価が買いで反応しているケースもある。
悪材料一辺倒であってくれた方が材料出尽くしであく抜けにも繋がりやすいと思われるが、強弱材料が混在している分、逆に底入れ時期が遠のいているようで素直に喜べない。
加えて、安川電機 (TYO:6506)やファナック (TYO:6954)の業績下方修正もあり、製造業は全体的にパッとしない株価推移のものも多い印象。
一方で、リオープンの進展でインバウンド需要の期待が高まっている内需関連の銘柄は、先週こそは利益確定売りで調整したものの、今週は再び強い動きを見せている銘柄が多く見られる。
ANA (TYO:9202)、JR西 (TYO:9021)などの代表的な銘柄のチャートはしっかりとした基調を維持している。
グローバル経済がこの先も減速傾向にあることが予想される中、今後のFOMCの結果次第でもあるが、次四半期決算シーズン頃までは、現在の「製造業売り・サービス業買い」の物色動向が続く可能性が高いと見ておいた方がよさそうだ。
(仲村幸浩)