[日本インタビュ新聞社] - ■全市場・全銘柄ベースでも低PER・高配当株が多数
今週の当コラムは、「全員勝ち組化」を先取りして「究極のバリュー株」にスポットライトを当てることにした。「究極のバリュー株」とは、日経平均株価もTOPIXも最高値追いが期待される相場環境下で、なおPBRが1倍を割れ、PERが市場平均を下回り、配当利回りが3%以上をキープしている銘柄である。この超出遅れのバリュー株は、日経平均株価の構成銘柄にも東証プライム市場にもスタンダード市場にもグロース市場にもまだ数多く残っており、こうした銘柄のキャッチアップは株価がさらに上値を追ううえでは不可欠となるからでもある。今週週明けは、決算期の迫ったETF(上場投資信託)の分配金捻出のために1兆円超の売り需要の発生が観測され、株価下押し要因として懸念されているが、押したところは買いチャンスとして臨みたい。
■日経225構成銘柄でさえも32銘柄がスクリーニング条件クリアで適格
日経平均株価の構成銘柄のうち、株価がPBR1倍を割れ、PERが日経225採用銘柄平均の17.2倍を下回り、配当利回りが3%超となっている出遅れ株は32銘柄がスクリーニングされた。このうちクラスター(塊)として目立つのは化学株、石油株、鉄鋼株、自動車株、金融株、海運株などのオールドエコノミー株である。鉄鋼株では日本製鉄<5401>(東証プライム)がPBR0.7倍、PER10.8倍、配当利回り4.62%、神戸製鋼所<5406>(東証プライム)が同じく0.8倍、6.6倍、4.47%、JFEホールディングス<5411>(東証プライム)が0.6倍、6.8倍、4.64%となっている。自動車株も最大の円安メリット株だけに、足元で業界を揺るがせている認証不正や独占禁止法違反の下請け問題をどう乗り切るかがポイントとなる。日産自動車<7201>(東証プライム)のPBR0.4倍、PER5.5倍、配当利回り4.45%以下、三菱自動車<7211>(東証プライム)、マツダ<7261>(東証プライム)と続き、ホンダ<7267>(東証プライム)は、これに加えて5000億円規模の株式売り出し問題の消化が課題になる。
金融株では、メガバンク2行がすでにPBR1倍をクリアしたが、この一角のみずほフィナンシャルグループ<8411>(東証プライム)は、なおPBR0.9倍、PER11.9倍、配当利回り3.28%にとどまる。このほかりそなホールディングス<8308>(東証プライム)、三井住友トラスト・ホールディングス<8309>(東証プライム)と続き、地銀株では、しずおかフィナンシャルグループ<5831>(東証プライム)、ふくおかフィナンシャルグループ<8354>(東証プライム)が該当する。逆行高特性のある海運大手では日本郵船<9101>(東証プライム)と商船三井<9104>(東証プライム)が条件をクリアし、地政学リスクや原油価格動向に感応するINPEX<1605>(東証プライム)、出光興産<5019>(東証プライム)、ENEOSホールディングス<5020>(東証プライム)も低PBR・PER、高配当利回りセグメントである。
■福証単独上場の地銀株3行に少数派ながらグロース市場銘柄も浮上
また全市場・全銘柄ベースの低PBRランキングの上位にランクされる銘柄でも、低PER・高配当利回り株は数多い。そのなかで目立つのが福証単独上場の地銀株で、PBR0.2倍でランキング5位の南日本銀行<8554>(福証)はPER7倍、配当利回り3,52%で、第6位の宮崎太陽銀行<8560>(福証)は、PER11倍、配当利回り3.43%、第15位の筑邦銀行<8398>(福証)が10倍、3.33%となっており、先々台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県で建設を進めている半導体製造工場やインバウンド関連投資の経済波及効果も期待される。このほか地銀株ではPBR0.25倍でランキング第21位の東和銀行<8558>(東証プライム)はPER16倍で、配当利回りは4.35%と東証プライム市場の配当利回りランキングの第245位だが、銀行株で2番目の高配当利回り株となる。
東証グロース市場でも低PBRランキングの上位銘柄で低PER・高配当銘柄が、少数派ながら存在する。オールドエコノミー業界の住宅関連株に多く、今12月期第2四半期業績を上方修正したグランディーズ<3261>(東証グロ-ス)は、PBR0.81倍、PER16倍、配当利回りは3.19%となり、業績伸び悩みのproperty technologies<5527>(東証グロース)は同じく0.6倍、7倍、4.55%、前期業績の下方修正・減配から今期増益転換・増配予想のフォーライフ<3477>(東証グロース)は、0.7倍、5倍、2.89%となっており、3銘柄との値ごろ妙味がある。神戸天然物化学<6568>(東証グロース)も、同様に0.7倍、10倍で、配当利回りは連続増配を予定し2.51%に高まる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)