[ニューヨーク 21日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、英国の欧州連合(EU)離脱の先行きが再び不透明になったことでドル相場は上向いた。
英国とEUは前週、新たな離脱協定案で合意したが、英議会下院のバーコウ議長はこの日、新たなEU離脱協定案の承認に向けた採決をこの日のうちに実施することを拒否した。
英国のEU離脱を巡り楽観的な見方が出ていたことを背景に英ポンドとユーロが上昇し、ドルは下落していたが、バーコウ議長の発言で離脱協定案が期限の31日までに承認されるか疑問が出てきたことから、ドル相場は上昇に転じた。
英ポンドは対ドルで一時5カ月半ぶりに1.30ドル台に乗せていたが、ニューヨーク取引終盤の取引では0.02%安の1.297ドル。BNPパリバ(ニューヨーク)の北米外為戦略部門責任者、ダニエル・カツジブ氏は「英国のEU離脱は為替相場の変動に大きく作用している」と述べた。
主要6通貨に対するドル指数 (DXY)は0.05%高。ただ月初からは2.05%低い水準にある。
ドルは対ユーロでは1.115ドル近辺で推移したが、対円では108.58円に上昇した。
カナダドルは対米ドルで0.31%上昇。この日に実施された総選挙で、トルドー首相率いる与党・自由党が政権を維持できるか注目されている。
ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツの首席市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「カナダでは今夕にも判明する選挙結果が注目されている。接戦が予想されるため、大きな動きは手控えられている」と指摘。「自由党が政権を維持、もしくは自由党が新民主党(NDP)と連立を組む可能性が出てくれば、カナダドルはやや下押しされるとの見方が大勢となっている。一方、最大野党の保守党が政権を取れば、カナダドルはやや上昇する可能性がある」と述べた。ただ、いずれの場合でも変動幅は50─100ベーシスポイント(bp)程度になるとの見方を示した。
ドル/円 NY終値 108.59/108.62
始値 108.58
高値 108.64
安値 108.46
ユーロ/ドル NY終値 1.1148/1.1150
始値 1.1161
高値 1.1174
安値 1.1140