[ロンドン 10日 ロイター] - ワクチンの信頼性に関する国際調査で、政治の分極化やインターネット上の偽情報などによってワクチンの信頼性が世界的に揺らぎやすいことが分かった。
この調査では、2015年から19年にかけての世界149カ国のワクチンに対する信頼性の変遷を分析。ワクチンの安全性への懐疑的な見方は政情不安や宗教的な過激思想によって助長される傾向にあることが分かった。
調査を主導したロンドン大学衛生熱帯医学大学院のハイディ・ラーソン教授は会見で「新型コロナウイルスのような新たな病気の脅威がある場合、人々の姿勢を定期的に観察することが重要だ」と説明。
「総じてみれば、世界的にワクチンへの大いなる信頼があるが、それを当然と考えるべきではない」とし、「ワクチンに対する認識は以前よりはるかに揺れ動きやすい状態にある」と語った。
ラーソン氏らは2019年の調査で、世界の成人28万4000人以上を対象に、ワクチンが重要、安全、効果的と考えるかどうかを質問し、その回答を分析した。調査結果は医学誌ランセットに掲載された。
同氏は、新型コロナワクチンの開発が世界的に急がれる中、政府は国民のワクチンへの信頼度を把握し、懸念に迅速に対応することにとりわけ努めるべきだと主張。「(新型コロナ)ワクチン開発のスピードに関して大きな懸念がある。だが、人々がもっと気にかけているのはワクチンが足りるか、その効果と安全性だ」と述べた。
調査によると、欧州はアフリカなど他地域と比べてワクチンの信頼性は低い。ただ2015年以降、フランスやイタリア、英国など欧州の一部でワクチンの信頼性は高まってきた。
一方、インドネシア、パキスタン、セルビア、アゼルバイジャン、アフガニスタン、ナイジェリアの6カ国では、15年以降にワクチンの信頼性は著しく低下。ラーソン氏はこの傾向について、政情不安と宗教的な過激思想の高まりと関連があるとみている。
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