[16日 ロイター] - 国軍のクーデターに対する抗議デモが続くミャンマーで16日、戒厳令が敷かれた6地区の1つであるヤンゴン郊外のラインタヤ地区から市民数千人が脱出した。同区では治安部隊によるデモ弾圧で14日だけで40人以上が死亡し、複数の工場が放火されるなど混乱が広がっている。
ニュースサイトのフロンティア・ミャンマーによると、オートバイや三輪自動車「トゥクトゥク」で同区を逃れる市民が相次いだ。同地区の労組関係者はロイターに「ここはまるで戦闘地帯だ。至る所で発砲している」と述べ、市民の多くは屋外に出るのを恐れていると語った。
人権保護団体フォーティファイ・ライツのマシュー・スミス最高責任者はツイッターに「きょうラインタヤでさらに数十人が殺害された可能性があると聞いている。道路が閉鎖されているため救急車両は同地区に入れない」と投稿した。
ミャンマーの人権団体、政治犯支援協会(AAPP)によると、これまでに治安部隊の弾圧で死亡したデモ参加者は180人を超えた。
ミャンマーではモバイルインターネットが完全に遮断されているため情報の確認が難しくなっており、市民の大多数はWiFiも使えない。国軍の報道官は電話によるコメントの要請に応じていない。
国軍は一方、民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)の議員らが組織した「連邦議会代表委員会(CRPH)」が国連への特使に任命したササ氏を反逆罪で訴追した。不服従運動への参加や制裁を呼び掛けたことを根拠にしている。国軍系テレビが伝えた。
国外にいるササ氏は、訴追されたことを誇りに思うと表明し、国軍の高官らは日々反逆罪を犯していると非難した。
ラインタヤ地区で30以上の工場が14日に放火されたのを受け、中国共産党系の海外向け英語放送、中国国際テレビ(CGTN)は中国系企業に対するさらなる攻撃は許容しないと警告。「当局が職務を果たさず、混乱が広がり続けるならば、中国は自国企業を守るために一段と大胆な措置を取らざるを得なくなるかもしれない」とした。
中国政府は欧米と異なり、ミャンマー国軍による2月1日のクーデターを全く非難していない。