● 市場は英ポンドに注目ーイングランド銀行は英ポンドを救えるか?
現在は英ポンドに注目が集まっている。木曜日にイングランド銀行(英中央銀行)によってインフレ報告書がリリースされ、次に政策金利発表を控えている。
イングランド銀行は、金利を変更すると見られており、英国経済の見通しやそれに対する見解は、英ポンドに大きな影響を与えると考えられる。
火曜日では、ドルに対し英ポンドは2ヶ月ぶり安値になっている。
イングランド銀行によるインフレ報告書によって、8月の安値を抜けていくか、それともここから上昇していくかを決めるだろう。
GBP/USDが継続的に下落していることを基に、投資家は最悪のケースに備えている。
下にある表は、9月の政策金利で据え置きを発表した以降の経済指標である。イギリス経済自体は良いことが分かる。失業率は低く、 インフレ(消費者物価指数)は中央銀行の目標より良く、平均所得は上昇している。
前回のインフレ報告書がリリースされた時には、イングランド銀行は利上げを行ったが、英ポンドは下落した。なぜなら、イングランド銀行は今後の金融引き締めの計画がないことを明確にしたからだ。
カーニー英中銀総裁は、もしイギリスはEU離脱(ブレクジット)を巡り合意に至らなかった場合、金利の引き下げする必要性を示している。
2ヶ月が経ったが、イギリスは未だにEU離脱合意に近づいていない。10月の合意期限に間に合わず、カーニー総裁は英ポンドの下降リスクを心配している。
結果的に、トレーダーは中銀が英ポンドを救うことを頼りにしていない。なぜなら、イギリス経済はEU離脱(ブレクジット)によって左右されることは明白だからだ。もし、イングランド銀行が英国経済の見通しついて下方修正したり、カーニー英中銀総裁がプレスコンファレンスで金融緩和について指し示したら、GBP/USDは1.23まで下落し、EUR/GBPは90セントに向かっていくだろう。
しかし、イングランド銀行は最近の経済指標の悪化について触れず、インフレの上昇に焦点を当てるのならば、英ポンドはショートカバーが進み、すぐさまトレンドが反転し、GBP/USDは1.2850以上まで上昇するだろう。
● ドル高が進んでいる
米ドルは、豪ドル、NZドル以外の主要通貨で上昇している。予想を上回っていた 消費者信頼感指数はドルの上昇を支えていた。しかし、上昇の要因はその経済指標の発表の前から起こっていた。米国債利回りの上昇、ユーロ圏の経済指標や、イングランド銀行懸念が EUR、 GBP、JPYの上昇を妨げていた事などが挙げられる。火曜日の米国株の回復があったが、後半の動きは18年ぶりの高水準であった消費者信頼感指数が要因ではないと考えられる。指標によって消費者は労働市場や経済に楽観的だと判断できるが、今回の株式の深い下落によって楽観は縮小していくだろう。
今週発表されることが予定されている非農業部門雇用者数増減については、エコノミストは「嵐の後の強い反発」を期待している。強い雇用統計の数字への期待は、ドルの上昇を招くだろう。特にその上昇は日本円やスイス・フランに対してである。
現在USD/JPYは3週間ぶりに20日の移動平均線の上で終値を迎えている。次に上昇が止まる水準は113.50だろう。また、日本銀行の政策金利発表の後で大きな発表がある事は期待されていない。
● ユーロは上値重い
ユーロ圏の経済指標の弱含みや、メルケル独首相が2021年に首相を辞任することを決めたことにより、 ユーロの上昇を難しくしている。
事業環境、工業信頼感、サービス業景況感など広い範囲でユーロ圏経済が低迷しているだけではなく、第3四半期のGDPの成長率も予期せず停滞している。
エコノミストは、安定した0.4%のGDP成長率を期待していたが、7月から9月では0.2%に留まった。 ドイツ CPIを参照するとインフレは上昇しているが、このGDPの成長の鈍化はユーロが売られる原因になるだろう。水曜日のドイツの小売売上高 やユーロ圏 CPIが予想を上回らなかったら、 EUR/USDは8月の1.13の安値に向けて下落するだろう。
● 中国の経済刺激策ー豪ドル上昇
豪ドルは、火曜日の第3四半期の消費者物価指数の発表の前に、8日ぶりの高値に達した。
オーストラリアの{{ecl-22||建築許可件数}}が予想より弱いことや人民元が下落を続けている中、投資家は中国の景気刺激策によって経済を下支えされることを望んでいる。(オーストラリアと中国は経済的な結びつきが強いため)
自動車産業に対する刺激策では、中国は自動車購入時にかかる自動車購入税を現行の10%から5%へとする減税が提案されている。この減税は今週はじめに所得税の減税や、法人税の減税が発表されたことに続いてアナウンスされた。
中国は成長率の低迷を止めるのにあらゆる手段を講じてきた。中国の減税策はどれほど有効なのかは予測はつかないが、投資家にとって中国の減税のアナウンスは、 AUD とNZDにとって良いニュースとして捉えているようだ。
豪ドルが弱いくインフレの予想の上で、消費者信頼感指数(CPI)の上昇が見込まれ、豪ドルを支えるとみられる。
一方で、NZドルは企業信頼感やナショナル銀行自己活動 での改善が見られないため、依然として弱いままであると推測される。
オーストラリアのCPIのほか、中国のPMIも今週に予定されている。
USD/CADは、ポロズ加中銀総裁の良い経済の見通しのコメントによってやや下落している。ポロズ加中銀総裁は、経済は好調であると発言した一方で、ウィルキンス加中銀副総裁は、賃金は今後加速することを述べている。
カナダGDP(8月)は水曜日に発表される予定である。カナダ銀行のタカ派の姿勢にもかかわらず、不調な小売売上高によって、GDPの成長率の加速は妨げられるだろう。