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失業者が増加する一方、FRBの資金供給策を受け米国株上昇
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米国は新型コロナウイルスの流行で世界の中心
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決算シーズンの到来
決算シーズンが迫る一方、市場は新型コロナウイルスが米国内および世界の経済成長に与える影響を良く理解していない。9日の米株式市場は弱気相場から反発し、S&P500やダウ平均株価、ナスダック総合、ラッセル2000は値を上げて取引を終えた。
乱高下と非合理的な期待
米株式指数がこれほど大幅に乱高下するとは、我々も予想していなかった。
先週の株式市場は値を上げて取引を終えた。FRBによる2.3兆ドルの資金供給策やニューヨークやイタリア、スペインにおける新型ウイルス新規感染者数の減少が好感された。
11日、米国における新型ウイルスによる死亡者数がイタリアを抜き世界1位となった。世界における新型ウイルス感染者数は1777666人、死亡者数は108867人となっている。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、今後の米株式市場の見通しは不透明であるとのこと。同紙は「FRBは2.3兆ドルの金融資金供給策以上の余力を残している」としたものの、「FRBの独立性という観点ではリスクがある」と述べた。さらに、FRBが金融市場を下支えしていることから、バブル市場を招く可能性があると記した。
FRBによる前例のない景気刺激策が、新型ウイルスによる経済への影響を相殺できるか分からない。一方で、失業者数が増加しているのは明らかである。先週の米失業保険新規申請件数を含めると、過去3週間で1680万人が失業している。これは、米労働人口の10分の1に相当する。
失業者の増加をよそに、先週のS&P500は46年ぶりに12%高となった。さらに、一部の投資家は企業業績が悪化した場合でも、同指数が上昇すると見ている。
そのようなことが実際に起こるとは考えにくい。しかし、結局のところ、株式市場を正確に予想することは不可能である。
実際、我々は3月3日以来一貫して、株式市場に対して弱気な見通しを示してきた。先週の4月5日にも、株式市場が値を下げると記事の中で述べた。
しかし、先週のS&P500は値を上げて取引を終えた。我々の見解は誤りであった。
S&P500は下方ではなく上方にブレイクした。当初下降フラッグに見えたチャートは、大きなV字ボトムを形成していたのだ。
テクニカル的には、現在の同指数は強気相場となっている。
また、9日のろうそく足は長い上ヒゲを伴っており、上昇圧力が弱まっていることが示唆される。さらに、上昇トレンドからの転換を示すイブニングスターを形成する可能性もある。
もしそうなった場合、さらなる上昇のための調整局面という見方が強まり、同指数は2700台から2630のレンジでテストするだろう。
3月3日から23日までの間、同指数は約29%安となった。その後、23日から9日までで24.6%高となっており、強気相場となっている。
一方、米ドルは弱気相場へ突入した可能性がある。
ドルは上昇を続けることができず、上昇トレンドラインを下回って下落した。その際、強気相場から弱気相場へ転じたことを示すイブニングスターを形成している。
一方、金先物は2012年10月ぶりに1700ドルを超えて取引を終えた。
我々は先週、金が過去最高値を記録する可能性があると述べた。また、Sprott社のPeter Grosskopf氏は、2000ドルまで上昇すると述べた。
先週の原油市場は値を下げたものの、OPECなどの産油国で協調減産に踏み切ることで合意に達した。
新型コロナウイルスの流行やサウジロシア間のシェア争いなどを受け、原油は供給過剰に陥った。減産合意に対してメキシコは難色を示していたが、日量10万バレルの減産で合意に達した。トランプ大統領はメキシコが減産できない分を肩代わりする可能性を示唆している。
アナリストは、現在の価格が底値になると見ている。