[16日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 反発して取引を終えた。中国が発表した景気刺激策を好感した。合意のないまま欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)が避けられるとの楽観論も相場を後押しした。
中国政府が消費活性化のため、2019-20年に可処分所得を増やす計画を発表した。アジアへのエクスポージャーが大きな金融機関を中心に、FTSE100種総合株価指数を押し上げた。
ドイツが景気後退に備え、財政均衡ルールを撤廃して新たな借り入れを検討しているとの報道もあり、FTSE350種金融株指数 (FTNMX8770)は1.63%上昇。香港での抗議活動を嫌気し、下落していたが6日ぶりにプラスに転じた。
スプレデックスのアナリスト、コナー・キャンベル氏は「中央銀行が介入して、世界経済が景気後退に陥ることを防いでくれるとの希望的観測から、市場は一律に上昇した」と述べた。
中型株で構成するFTSE250種 (FTMC)は0.97%上昇。合意なしのブレグジットに反対する政治家の動きに勢いが出て、ポンドが上昇したことで買われた。
一方、金・銀生産のフレスニロ (L:FRES)は1.1%下落した。金価格が利益確定売りで値下がりしたことを受けた。
ロンドン証券取引所はこの日、システム障害により取引開始がほぼ2時間遅れた。8年ぶりに長時間の取引停止だった。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。ドイツによる景気刺激策への期待感が市場心理を明るくし、売り込まれてきた銀行株が買われた。
ドイツの連立政権が、景気後退に陥った際に備えて財政均衡ルールを撤廃し、新たな借り入れを行う用意があるとシュピーゲル誌が報じた。米中貿易摩擦の影響で不況になるとの警戒感から低迷していたドイツのクセトラDAX指数 (GDAXI)は1.31%上昇した。
INTL・FCストーンのストラテジスト、ユセフ・アバシ氏は「景気後退入り目前となり、ドイツが実際に財政による景気刺激を実行すると、市場が確信を持ち始めたようだ」と語った。
STOXX欧州600種銀行株指数 (SX7P)は2.38%上昇。債券利回りの低下で今月は8%近く値下がりしていたが、この日は4カ月半ぶりの大幅な上昇率となった。全業種が上昇。中国の景気刺激策も後押しした。
STOXX欧州600種指数 (STOXX)は週間では0.52%の低下で3週連続のマイナスだった。貿易摩擦を背景に世界の景気後退懸念が強まったことが響いた。
STOXX欧州600種テクノロジー株指数 (SX8P)は1.68%の上昇。米半導体大手エヌビディア (O:NVDA)などの好決算を受けて、半導体メーカーが軒並み上昇した。オーストリアに拠点を置く半導体メーカーのAMS (S:AMS)やドイツの半導体大手インフィニオン・テクノロジーズ (DE:IFXGn)、欧州の半導体大手STマイクロエレクトロニクス (MI:STM)が1.2-2.0%上昇した。
欧州の主要市場が1%を超えて上昇する中で、FTSE100種総合株価指数は0.71%の上昇にとどまった。ロンドン証券取引所のシステム障害で取引がほぼ2時間停止した。
<ユーロ圏債券> 独連邦債利回りが当初の下げから上昇に転じた。ドイツが景気後退に備え財政均衡ルールを撤廃し、新たな借り入れを行う用意をしていると独シュピーゲル誌が報じたことが背景。
独財務省はシュピーゲル誌の報道を否定しているが、欧州で規模が最大のドイツ経済が景気後退(リセッション)に陥る恐れがあるとの懸念が出ている中でこうした報道が出たことで、独連邦債のほか、他のユーロ圏国債に売りが出た。
独10年債 (DE10YT=RR)利回りは一時はマイナス0.727%と、過去最低水準を更新したが、その後はマイナス0.658%と、4ベーシスポイント(bp)を超えて上昇した。独30年債 (DE30YT=RR)利回りは一時マイナス0.313%と過去最低水準を更新したが、その後は上昇に転じた。独5年債 (DE5YT=RR)利回りも上昇した。
売りは他のユーロ圏国債にも広がり、イタリア10年債 (IT10YT=RR)やフランス10年債 (FR10YT=RR)などの利回りも上昇した。
国債利回りは極めて低い水準にとどまるとの見方が大勢となっているものの、この日の取り引きで利回りが上向いたことで、財政拡大の兆候に市場が敏感になっていることが裏付けられた。
一部ではこれまでに市場で出ていた景気後退リスクに関する懸念は行き過ぎていたとの見方も出ている。クレインワート・ハンブロスの首席市場ストラテジスト、ファハド・カマル氏は「米債券市場で長短金利が逆転したものの、『直ちに』リセッション入りするとは考えていない」と述べた。
週間では、独10年債利回りは5週連続の低下、イタリア10年債利回りの低下幅は2018年半ば以来の大きさとなるほか、スペイン10年債 (ES10YT=RR)利回りの週初からの低下幅は23bpと、年初来最大となる見通し。
前日は、欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁がECBが9月の理事会で一連の景気刺激策を発表するとの見方を示したとの報道を受け、ユーロ圏国債利回りは低下。 この日の取引でも影響は継続していた。
INGのシニア金利ストラテジスト、アントワーヌ・ブーベ氏は、「前日のレーン氏の発言で独10年債利回りはマイナス0.70%の節目を突破した。われわれはこの水準がECB預金金利の新たな実質的な最低ラインと考えているため、ここまでの低下には意味がある」と述べた。
<為替> 欧州終盤 アジア市場終盤 コード
ユーロ/ドル 1.1090 1.1084 (EUR=)
ドル/円 106.34 106.16
ユーロ/円 117.92 117.67 (EURJPY=)
<株式指数> 終値 前日比 % 前営業日終値 コード
STOXX欧州600種 369.63 +4.54 +1.24 365.09 (STOXX)
FTSEユーロファースト300種 1456.14 +17.68 +1.23 1438.46 (FTEU3)
DJユーロSTOXX50種 3329.08 +46.30 +1.41 3282.78 (STOXX50E)
FTSE100種 7117.15 +50.14 +0.71 7067.01 (FTSE)
クセトラDAX 11562.74 +150.07 +1.31 11412.67 (GDAXI)
CAC40種 5300.79 +63.86 +1.22 5236.93 (FCHI)
<金現物> 午後 コード
値決め 1515.25
<金利・債券>
米東部時間14時53分
*先物 清算値 前日比 前営業日終盤 コード
3カ月物ユーロ 100.42 0.00 100.42 (FEIc1)
独連邦債2年物 112.59 0.00 112.59 (FGBSc1)
独連邦債5年物 136.02 -0.08 136.10 (FGBMc1)
独連邦債10年物 178.60 -0.46 179.06 (FGBLc1)
独連邦債30年物 223.56 -2.30 225.86 (FGBXc1)
*現物利回り 現在値 前日比 前営業日終盤 コード
独連邦債2年物 -0.905 +0.001 -0.907 (DE2YT=RR)
独連邦債5年物 -0.926 +0.006 -0.897 (DE5YT=RR)
独連邦債10年物 -0.688 +0.020 -0.702 (DE10YT=RR)
独連邦債30年物 -0.224 +0.040 -0.258 (DE30YT=RR) OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20190816T191409+0000