[ 15日 ロイター] - <為替> 主要6通貨に対するドル指数が小幅上昇。新型コロナウイルス感染の第2波を巡る警戒感が漂う中、朝方発表された低調な米指標を背景に安全資産としてのドルに逃避買いが入った。
ドル指数 (=USD)は0.13%上昇し、100.4。週足では0.66%上昇した。
ドル/円
新型コロナ感染拡大防止に向けた外出制限が響き、4月の米小売売上高は前月比16.4%減と、統計を開始した1992年以来の大幅なマイナスを2カ月連続で更新した。先週発表された4月の米雇用統計も非農業部門就業者数が前月比2050万人減と、減少幅が過去最大になっており、一段の景気低迷が示唆された。
また、ロックダウン(都市封鎖)措置の緩和に伴い、ドイツでは新型コロナ感染症による死者と感染者が増加。感染の第2波を巡る懸念につながり、景気の早期回復期待への冷水となった。
TDセキュリティーズの為替戦略グローバル主任のマーク・マコーミック氏は「市場ではようやくV字回復はないという見方が世界的に浸透しつつあるようだ」と指摘。「われわれが追跡する国全てが今後数年の国内総生産(GDP)見通し下方修正を想定している」と述べた。
ユーロ/ドル (EUR=)は0.08%高の1.081ドル。ポンド/ドル
<債券> 国債が売られ利回りがやや上昇した。市場では、新型コロナウイルス感染拡大抑制策を緩和し、経済活動を再開させるための公衆衛生上の措置が注目されており、著しく悪化している経済指標はあまり重視されていない。
終盤の取引で10年債 (US10YT=RR)利回りは2.5ベーシスポイント(bp)上昇の0.6444%。今週の変動幅のほぼ中間に位置していることについて、アクション・エコノミクスのシニアエコノミスト、キム・ルパート氏は、米経済指標が軒並み悪化しているにもかかわらず、米国債に対する信頼が失われていないことを示していると述べた。
この日発表の米経済指標では、4月の小売売上高が前月比16.4%減。新型コロナ感染拡大防止に向けた外出制限が響き、1992年の統計開始以来の大幅なマイナスを2カ月連続で更新した。このほか、4月の鉱工業生産統計では製造業生産指数が13.7%低下し、過去最大の落ち込みとなった。
米国では4月は非農業部門雇用者数が前月から2050万人減少し、1930年代の大恐慌以降で最大の落ち込みを記録。連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は13日に行った講演で、新型コロナの感染拡大に伴い米経済は「長期」にわたり成長が低迷する恐れがあると警告した。
ただ、ジャニー・モンゴメリー・スコットの首席債券ストラテジスト、ガイ・レバス氏は、市場では経済指標の悪化はそれほど重要視されていないと指摘。「経済活動がこれほどの規模で停止された時に、この先の見通しを占う枠組みは存在しない」と述べた。
同氏はまた、今週実施された10年債と30年債の入札で利回りが若干押し上げられた可能性があるが、20日に予定されている20年債の入札で債券相場に一段の影響が及ぶかもしれないと指摘した。
2年債 (US2YT=RR)利回りは0.1511%と上昇幅は1bp未満にとどまった。2年債と10年債の利回り格差 (US2US10=RR)は49bpと、前日終盤から2bp拡大した。
<株式> 上昇し、ダウ平均株価 (DJI)は60ドル高で引けた。指数はプラス圏とマイナス圏を行き来するなど、全般的に不安定な取引に終始。新型コロナウイルスに絡む制限措置の緩和で経済活動再開への期待が広がる一方、米中の通商関係を巡る懸念やさえない経済指標が上値を抑えた。
4月の小売売上高は前月比16.4%減と、統計を開始した1992年以来の大幅なマイナスを2カ月連続で更新した。新型コロナ感染拡大防止に向けた外出制限が響いた。第2・四半期の米経済成長は1930年代の大恐慌(グレート・ディプレッション)以降で最大の縮小となる見通し。
米商務省は15日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]への半導体輸出規制を強化すると明らかにした。輸出規則を変更し、すでに禁輸措置対象に指定されている同社が米国の技術やソフトを利用した半導体を間接的に取得できないようにする。
これに対し、中国はすぐさま反応。中国共産党系メディアの環球時報は、中国がアップル (O:AAPL)、シスコシステムズ (O:CSCO)、クアルコム (O:QCOM)、ボーイング (N:BA)を含む米国企業を「信頼できない実体リスト」に加える用意があると報じた。
S&P総合500種指数 (SPX)は一時1.3%値下がりした。
ハンティングトン・ナショナルバンク(オハイオ州)の最高投資責任者(CIO)、ジョン・オーガスティン氏は、大半の州が少なくとも部分的な経済再開を認めているとした上で、「足元の指標が最も悪く、今後は徐々に好転する可能性がある」と述べた。
フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数) (SOX)は2.2%安。一方、小型株指数のラッセル2000指数 (RUT)は1.6%高。
個別銘柄では医薬品のソレント・セラピューティクス (O:SRNE)が158%暴騰。初期段階の治験で同社が開発する抗体候補に新型コロナの潜在的な感染抑制効果が見られたと明らかにした。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.41対1の比率で上回った。ナスダックでは1.69対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は113億6000万株。直近20営業日の平均は113億9000万株。
<金先物> 景気低迷の長期化や米中対立激化への懸念を背景に、4営業日続伸した。中心限月6月物の清算値は前日比15.40ドル(0.88%)高の1オンス=1756.30ドル。清算値としては4月14日以来約1カ月ぶりの高値となった。
4月の米小売売上高は前月比16.4%の減少と、過去最大の減少幅を2カ月連続で更新。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の縮小や失業急増が響いた。5月のニューヨーク州製造業景況指数はマイナス48.5。過去最低だった前月(マイナス78.2)から改善したものの、ゼロを大幅に下回る状態が続いている。
また、米商務省はこの日、中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対する輸出禁止措置を強化すると発表。トランプ大統領は今週、中国との断交の可能性に言及しており、米中対立激化への懸念も広がっている。他の貴金属の急伸も眺め、金相場は引けにかけて堅調に推移した。
金塊現物相場は午後2時39分現在、11.280ドル高の1743.220ドル。
<米原油先物> 経済活動再開による需要増などで需給が改善するとの期待から、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値は前日比1.87ドル(6.79%)高の1バレル=29.43ドルと、中心限月ベースで2カ月ぶり高値となった。前週末比では約19%高と大幅に上昇した。
7月物は1.64ドル高の29.52ドルだった。
国際エネルギー機関(IEA)は前日、2020年の石油需要を日量860万バレル減とし、従来予想ほどは落ち込まないとの見通しを示した。欧米では新型コロナウイルスの感染拡大を受けた行動制限を解除する動きが継続。石油需要増加への期待が広がり、価格を押し上げた。
石油輸出国機構(OPEC)の加盟、非加盟国による「OPECプラス」が6月以降も減産を継続するとの期待も原油先物買いを誘った。
米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが発表した1週間の米国内石油掘削リグの稼働数は、258基と前週から減少し、需給改善期待につながった。
ドル/円 NY終値 107.02/107.05
始値 106.99
高値 107.37
安値 106.86
ユーロ/ドル NY終値 1.0815/1.0817
始値 1.0809 (EUR=)
高値 1.0849
安値 1.079
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 98*05.00 1.3247% (US30YT=RR)
前営業日終値 98*27.50 1.2960%
10年債(指標銘柄) 17時05分 99*26.00 0.6444% (US10YT=RR)
前営業日終値 100*02.00 0.6190%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*10.00 0.3113% (US5YT=RR)
前営業日終値 100*11.75 0.3000%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*30.38 0.1511% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*30.50 0.1490%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 23685.42 +60.08 +0.25 (DJI)
前営業日終値 23625.34
ナスダック総合 9014.56 +70.84 +0.79 (IXIC)
前営業日終値 8943.72
S&P総合500種 2863.70 +11.20 +0.39 (SPX)
前営業日終値 2852.50
COMEX金 6月限 1756.3 +15.4
前営業日終値 1740.9
COMEX銀 7月限 1707.0 +91.4
前営業日終値 1615.6
北海ブレント 7月限 32.50 +1.37 (LCOc1)<0#LCO:>
前営業日終値 31.13
米WTI先物 6月限 29.43 +1.87 (CLc1)<0#CL:>
前営業日終値 27.56
CRB商品指数 124.7466 +1.6218 (TRCCRB)
前営業日終値 123.1248 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200515T214053+0000