[マニラ 7日 ロイター] - フィリピン統計局が発表した第3・四半期の同国の国内総生産(GDP)は前年同期比6.2%増と、ロイターがまとめたアナリストの予想中央値(6.0%増)を上回った。
政府支出の拡大が背景。第2・四半期は5.5%増だった。市場では年内の追加利下げの必要はなくなったとの見方が広がっている。
季節調整済み前期比では1.6%増だった。
今年の予算の承認が遅れたために滞っていた歳出計画の実施を政府が急いだため、公共支出は第2・四半期の7.3%増から9.6%増に伸びが拡大。
経済の60%弱を占める内需も5.9%増と、前期の5.5%増から加速した。
農業生産も前期の0.8%増から大幅に回復して3.1%増え、予想を上回る経済成長に寄与した。
一方、貿易戦争のリスクを背景に、輸出の伸びは前期の4.8%から0.2%に急減速。輸入の伸びはゼロだった。
9月の輸出は6カ月ぶりに減少に転じた。一部の主要貿易相手国の需要が低迷したことが背景。
フィリピン経済はアジア諸国の中でも際立って高成長が続いているが、米中貿易摩擦などの不透明要因があり、今年の経済成長目標である6─7%の達成が危ぶまれている。
ペルニア国家経済開発庁長官は、経済成長目標の下限を達成するには第4・四半期に少なくとも6.7%の成長が必要になるとの見方を示した。
ただ、景気の拡大が持続しないのではないかとの見方もある。
キャピタル・エコノミクスのアジア担当エコノミスト、アレックス・ホームズ氏は「第3・四半期の統計は力強い内容となったが、持続的な回復が始まったとは考えていない」と指摘。「プラス面を挙げれば、消費が引き続き、まずまずのペースで拡大するだろう。インフレ率の急激な鈍化で消費者の購買力が高まることが一因だ」と述べた。
GDPの発表に対し、マニラ市場の主要株価指数PSEi (PSI)や通貨ペソ
フィリピン中銀は今年3回の利下げを実施。ジョクノ総裁は年内の利下げはないとの見通しを示している。
キャピタル・エコノミクスは、来年50ベーシスポイント(bp)の追加利下げがあると予想している。
中銀は11月14日と12月12日に政策決定会合を開く。
*内容を追加しました。