[ニューヨーク 8日 ロイター] - 米国株式市場は上昇して取引を終えた。トランプ米大統領の発言を受け、米・イランの対立が中東での全面的な紛争につながるとの懸念が緩和した。ただ、バグダッドでの爆発報道を受けて終盤に上値を大幅に削る展開となった。
トランプ大統領は8日、米軍による革命防衛隊のソレイマニ司令官殺害に対するイランの報復攻撃で米国人の死傷者は出なかったと明らかにした。また必ずしも軍事力を行使する必要はないと述べ、危機打開に向けた姿勢をにじませた。[nL4N29D3XE]
イラン外相による事態の激化や戦争を求めていないとのツイートや、トランプ氏の「万事順調だ!」とのツイートも、懸念緩和につながった。[nL4N29D073]
S&P総合500種 (SPX)とナスダック総合 (IXIC)はともに取引時間中の最高値を更新したが、ダウ工業株30種 (DJI)を含めた主要株価3指数はいずれも取引終盤に上げ幅を縮小。バグダッドで爆発音が聞かれたとの報道が背景で、引け後、イラク軍は、バグダッドの厳重な警備が敷かれている旧米軍管理区域(グリーンゾーン)内に2発のロケットが落下したと明らかにした。負傷者は出ていないという。[nL4N29D4BR]
インデペンデント・アドバイザー・アライアンスのクリス・ザッカレリ最高投資責任者(CIO)は「報復姿勢の後退を示唆するトランプ政権の控えめなトーンはポジティブな材料だが、市場は中東での緊張の高まりを示す新たなニュースに即座に反応するだろう」と指摘した。
ナスダックは終値ベースでも最高値を更新。S&P総合500種の主要セクターはほとんどが上昇したが、S&Pエネルギー株指数 (SPNY)は原油価格の下落に伴い1.7%安となった。
個別銘柄では航空機大手ボーイング (N:BA)が1.8%安。ウクライナ国際航空のボーイング737型機が8日、イランの首都テヘランのエマームホメイニ空港を離陸した直後に墜落した。イランの報道やウクライナ指導者らによると、乗員乗客176人全員が死亡した。[nL4N29D1A7]
ドラッグストアチェーン大手のウォルグリーン・ブーツ・アライアンス (O:WBA)は5.8%安。四半期利益が予想を下回った。同業CVSヘルス (N:CVS)も1.3%下落した。
住宅建設のレナー (N:LEN)は0.8%高で終了。四半期利益や、2020年の住宅販売見通しが市場予想を上回った。
この日発表された経済指標も市場を支援。12月のADP全米雇用報告は、民間部門雇用者数が20万2000人増となり、ロイターがまとめたエコノミスト予想(16万人増)を上回った。[nL4N29D3IF]
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.51対1の比率で上回った。
米取引所の合算出来高は77億8000万株。直近20営業日の平均は70億1000万株。
終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード
ダウ工業株30種 28745.09 +161.41 +0.56 28556.14 28866.18 28522.51 (DJI)
前営業日終値 28583.68
ナスダック総合 9129.24 +60.66 +0.67 9068.03 9168.89 9059.38 (IXIC)
前営業日終値 9068.58
S&P総合500種 3253.05 +15.87 +0.49 3238.59 3267.07 3236.67 (SPX)
前営業日終値 3237.18
ダウ輸送株20種 10983.64 +96.08 +0.88 (DJT)
ダウ公共株15種 868.91 +0.31 +0.04 (DJU)
フィラデルフィア半導体 1867.59 +0.31 +0.02 (SOX)
VIX指数 13.45 -0.34 -2.47 (VIX)
S&P一般消費財 994.37 +1.50 +0.15 (SPLRCD)
S&P素材 374.25 +1.84 +0.49 (SPLRCM)
S&P工業 699.78 +1.60 +0.23 (SPLRCI)
S&P主要消費財 640.26 +2.87 +0.45 (SPLRCS)
S&P金融 509.56 +2.74 +0.54 (SPSY)
S&P不動産 237.40 +1.00 +0.42
S&Pエネルギー 453.36 -8.03 -1.74 (SPNY)
S&Pヘルスケア 1192.03 +7.62 +0.64 (SPXHC)
S&P通信サービス 186.44 +1.27 +0.68 (SPLRCL)
S&P情報技術 1641.38 +16.79 +1.03 (SPLRCT)
S&P公益事業 324.33 -0.01 0.00 (SPLRCU)
NYSE出来高 9.54億株
シカゴ日経先物3月限 ドル建て 23540 + 390 大阪比
シカゴ日経先物3月限 円建て 23520 + 370 大阪比
(S&Pセクター別指数は関連コンテンツでご覧ください; リフィニティブデータに基づく暫定値です。前日比が一致しない場合があります)