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日経平均は大幅反落、米株安受けて売り優勢の展開、外部要因も注視必要か?

発行済 2022-10-17 12:19
更新済 2022-10-17 12:30
© Reuters.
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 日経平均は大幅反落。
387.76円安の26703.00円(出来高概算5億4463万株)で前場の取引を終えている。


 前週末14日の米株式市場のNYダウは403.89ドル安(-1.34%)と大幅反落。
10月ミシガン大消費者信頼感指数や同指数の期待インフレ率が予想を上回ると連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げ観測がさらに強まった。
長期金利上昇とともに売りが再燃、週末でポジションを手仕舞う売りも散見され、引けにかけ下げ幅を拡大した。
ナスダックも3.08%安と大幅に反落、主要株価指数がそろって下落した米株市場を受けて、日経平均は前週末比305.74円安の26785.02円と大幅反落でスタート。
その後は、軟調もみ合い展開となっている。


 個別では、東エレク (TYO:8035)やレーザーテック (TYO:6920)、アドバンテ (TYO:6857)などの一部の半導体関連株が下落、トヨタ自 (TYO:7203)やファーストリテ (TYO:9983)、ソフトバンクG (TYO:9984)などの大型株も軟調に推移。
ソニーG (TYO:6758)やメルカリ (TYO:4385)、任天堂 (TYO:7974)などのグロース株、日本電産 (TYO:6594)やベイカレント (TYO:6532)、キーエンス (TYO:6861)、SHIFT (TYO:3697)
なども大幅に下落した。
ほか、6-8月期の収益失速をネガティブ視されたクリレスHD (TYO:3387)、第1四半期大幅減益決算をマイナス視されたパソナグループ (TYO:2168)などが急落、サーバーワークス (TYO:4434)、Sansan (TYO:4443)、ジンズホールディングス (TYO:3046)などが東証プライム市場の値下がり率上位に顔を出した。


 一方、日本郵船 (TYO:9101)や川崎汽船 (TYO:9107)、商船三井 (TYO:9104)などの海運株は大幅に上昇。
引き続き水際対策の緩和を好感されてANA (TYO:9202)やJAL (TYO:9201)などの空運株が堅調に推移、JR東 (TYO:9020)やJR東海 (TYO:9022)などの陸運、ソシオネクスト (TYO:6526)や三菱UFJ (TYO:8306)も上昇した。
ほか、上半期営業益下振れも通期予想は上方修正した北の達人 (TYO:2930)、23年2月期業績予想の上方修正を発表したテラスカイ (TYO:3915)などが大幅に上昇した。
セラク (TYO:6199)、RPAホールディングス (TYO:6572)、サインポスト (TYO:3996)などが東証プライム市場の値上がり率上位に顔を出した。


 セクターでは鉱業、医薬品、卸売が下落率上位となった一方、海運、空運、電気・ガスが上昇率上位となった。
東証プライムの値上がり銘柄は全体の19%、対して値下がり銘柄は78%となっている。


 本日の日経平均株価は、大きく下落してスタートした後軟調もみ合い展開となっている。
10月ミシガン大消費者信頼感指数や同指数の期待インフレ率が予想を上回ったことで国内の投資家心理も悪化、売りが先行した。
ナスダックの下落率は3%を超えており、東京市場でハイテク株や半導体関連株の重しに、押し目買いも限定的となっている。
そのほか、中国・香港市場は軟調に推移、米株先物はやや堅調に推移しているが、東京市場は軟調な展開が続いている。


 新興市場でも売り優勢の展開が続いている。
マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は下落してスタートした後マイナス圏での軟調もみ合い展開となっている。
米長期金利が4%を超えて推移したことからバリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株も厳しい展開が続いている。
ただ、個別材料株などに幕間つなぎの物色が向かっており、前引け時点で東証マザーズ指数が0.55%安と日経平均株価よりも下げ幅は限定的、東証グロース市場Core指数が1.66%安で時価総額上位銘柄が下落をけん引した。


 さて、前週13日に発表された米9月消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.2%上昇と8月からは減速したものの予想の8.1%上昇を上回った。
食品・エネルギーを除いたコア指数は前年同月比6.6%上昇と8月から大きく加速し、予想の6.5%上昇も上回った。

住居費だけでなく、食品や医療の分野でも強い伸びが見られた。
また、14日の米10月ミシガン大学消費者信頼感指数における期待インフレ率は1年先が5.1%と9月から大幅に上昇、5−10年先も2.9%と9月から上昇した。
依然としてインフレ長期化に対する警戒感から米長期金利の上昇は続いて4%をつけた。


 14日のブルームバーグでは、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁が経済には冷え込みの兆候が見られるとした上で、景気に抑制的な水準への利上げ継続を「全面的に支持する」と語り、同総裁は政策金利を4.5-5%に引き上げることが「最もあり得る結果」だと示唆した。


 一方、カンザスシティー連銀のジョージ総裁は、過度に急速な利上げを行うことには慎重姿勢を示している。
急速過ぎる利上げは「最終的に自己破壊を招きかねないやり方で金融市場と経済を混乱させる」可能性があると述べている。
また、米セントルイス連銀のブラード総裁は15日に、11、12両月の年内残り2回の連邦公開市場委員会
(FOMC)会合について利上げ幅を予想するには時期尚早だとしつつも、両会合で0.75ポイントずつの利上げを決める可能性を残す趣旨の発言を行ったようだ。
今後のFRB高官のタカ派発言に警戒しながら、11月・12月のFOMCでの利上げ幅には注目が集まろう。


 そのほか、中国では中国共産党第20回党大会が16日に開幕、習近平国家主席が今後の施政方針を示す活動報告を行った。
台湾問題に関して、国家統一に向けて「歴史の車輪は前に進んでいる」と主張し、武力行使の放棄は決して約束しないと語っている。
ウクライナ情勢では、ロシアが核兵器を使用すればほぼ確実にウクライナの同盟国、およびNATO加盟国の「物理的な対応」が引き起こされるとの見方を北大西洋条約機構(NATO)高官が示した。
各国の経済状況を注視するだけでなく、台湾情勢やウクライナ情勢などの地政学リスクも引き続き注視していく必要がありそうだ。


 前週の当欄で筆者は年末にかけて一旦の反発が起こる可能性も考えながら来年以降大きく下落する可能性があることを示唆した。
ただ、世界的に様々なリスクが散見されるなか、年末にかけて一旦の反発があったとしてもそこまで大きいものでない可能性がありそうだ。
また、引き続き、来年以降大きく下落する可能性を念頭に相場を見守っているが、11月・12月のFOMCやそのほかのリスク次第では年末にかけてじりじり下がっていく展開も想定しておきたい。
さて、後場の日経平均は、軟調もみ合い展開が続くか。
米株先物の動向を注視しつつ、新興株に幕間つなぎの物色が継続して向かうか注目しておきたい。

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