[ロンドン 7日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)のエネルギー市場・安全保障局長、貞森恵祐氏は、ロイターとのインタビューで、新型コロナウイルス流行に起因する世界経済の一段の急減速はないとの見通しを示す一方で、原油市場は中国の需要の不透明感から回復が見通しづらいと指摘した。
貞森氏は「かなりの不確実性があるが、今後数カ月に一段の深刻な減速は想定していない。(原油市場)がすぐに力強い成長を回復するとは思えないが、需要に関する見方は3カ月前に比べるとより安定している」と述べた。
新型コロナ感染防止策を受けた需要崩壊で、原油相場 (LCOc1) (CLc1)は春に歴史的水準に急落した。その後、価格は持ち直してきているが、なお1バレル=40ドル付近にとどまっている。
IEAは8月13日に公表した月報で、新型コロナ禍に伴う航空輸送の減少などを理由に2020年の石油需要予測を引き下げた。
北海ブレント先物は先週、6月以降で初めて下落した。市場は、需要や精製マージンの低迷、鈍い経済成長に神経をとがらせている。
貞森氏は「(原油)在庫を取り崩す動きはない。精製は活発化していない。ジェット燃料(の需要低迷)は大きな問題だ」と述べた。
中国はいち早くコロナ危機から脱して経済を再開し、最近数カ月は原油輸入を急拡大させているが、貞森氏は、地政学的緊張が中国の需要に影を落としかねないと指摘。
「中国経済、米国、最近では欧州と中国との関係について非常に多くの不確実性がある。楽観できる状況でなく、それが成長の見通しに影を落としている」と述べた。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20200907T081438+0000