[26日 ロイター] - <為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが幅広い通貨に対して下落した。過去最多となった米新規失業保険申請件数を受け、米政府や連邦準備理事会(FRB)が新たな経済刺激措置を打ち出すとの見方が広がった。
米労働省が26日に発表した21日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比300万1000件増の328万3000件と、過去最多となった。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための厳しい対策によって経済活動が急停止し、レイオフが急増した。
プルデンシャル・ファイナンシャル(米ニュージャージー州)のチーフ・マーケット・ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は「過去最多の数値となり、市場の冷や水となった。同水準の数値が3─4週間続けば、一段の財政支援が必要になる」と述べた。
パウエルFRB議長はこの日、米経済は「おそらく景気後退(リセッション)」入りするとした上で、経済活動の完全な再開は新型コロナウイルスの制御にかかっているという認識を示した。
もっとも米国株は3日続伸。投資家は新たな経済刺激策の可能性を注視しているという。
米上院は25日、新型コロナウイルスに対処する2兆ドル規模の経済対策法案を全会一致で可決した。法案は下院に送付され、27日に採決の予定。ペロシ下院議長は、法案の迅速な可決を望むとし、今後も、危機対応に必要ならば、議会がさらなる法案を可決することを期待すると述べた。
ユーロ (EUR=)は対ドルで1.42%高の1.1034ドル。円は対ドルで1.57%高の109.44円となった。
ポンド
<債券> 過去最多となった米新規失業保険申請件数を受け国債利回りが低下した。ただ経済指標の悪化はすでに織り込み済みで利回り低下は小幅にとどまった。
米労働省が26日に発表した21日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比300万1000件増の328万3000件と、過去最多となった。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための厳しい対策によって経済活動が急停止し、レイオフが急増した。
10年債利回り (US10YT=RR)は2.9ベーシスポイント(bp)低下の0.830%。30年債利回り (US30YT=RR)はほぼ横ばいの1.418%。2年債利回り (US2YT=RR)は3.9bp低下の0.287%だった。
エバーコアISIのマクロ調査アナリスト、スタン・シプリー氏は「新規失業保険申請件数は悲惨な内容だった。来週の新規失業保険申請件数や4月の雇用統計もおそらく悪い数値が出てくるだろう。好転するには数カ月かかる」と述べた。
3カ月物財務省短期証券 (US3MT=RR)と10年債の金利差は約4bp縮小し86bp。イールドカーブのフラット化は将来的な経済成長への期待低下を示唆する。
3カ月物財務省短期証券の利回りはマイナス0.058%、1カ月物 (US1MT=RR)はマイナス0.117%に低下し、それぞれ過去最低水準となった。
財務省がこの日実施した320億ドルの7年債入札は堅調な需要を集めた。応札倍率は2.76倍と、平均の2.45倍を上回った。ただ直接・間接入札者が落札しない分を吸収する役割を担うプライマリーディーラーの落札比率は28.6%と平均値を上回った。
アクション・エコノミクスのアナリスト、キム・ルパート氏は「市場の混乱やボラティリティーを考慮すると入札は非常に堅調だった。米連邦準備理事会(FRB)による支援策と安全性や利回りに対する持続的な需要が支えになった」と述べた。
<株式> 3日続伸し、主要3指数はそろって5%を超えて上昇して終了した。朝方発表の週間新規失業保険申請件数は急増したものの、市場の最悪の予想ほどには増えなかったことに加え、2兆ドル規模の新型コロナウイルス対策法案が間もなく成立するとの期待が相場の支援要因となった。
ダウ工業株30種 (DJI)は23日の安値から21%上昇し、強気相場に入った。3日間の上昇率としては1931年以来の大きさ。
米労働省が26日に発表した21日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比300万1000件増の328万3000件と、過去最多となった。新型コロナの感染拡大を抑えるための厳しい対策によって経済活動が急停止し、レイオフが急増した。
ダウとS&P総合500種 (SPX)の3日続伸は2月中旬以来。S&Pは今週に入って約17%上げているが、2月19日に付けた最高値からはなお22%低い水準にある。
チャールズ・シュワブのトレーディング・デリバティブ担当バイスプレジデント、ランディー・フレデリック氏は「大幅高の後も買いが続くのは、1カ月ほど見られなかった光景なので心強い」とし、「底打ちが保証されたわけではないが、底打ちのプロセスを示唆するものだ」と述べた。
議会上院を通過した景気刺激策に総額580億ドルの航空業界支援策が盛り込まれていることで、ボーイング (N:BA)が14%上昇。過去4営業日で90%以上上げている。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、23日に発表した大規模緩和策に加え、市場の信用強化に向け「積極的に」行動する用意がFRBにあると述べた。
「恐怖指数」として知られるシカゴ・オプション取引所のボラティリティー指数(VIX)は2.9ポイント低下したが、61.0と引き続き高い水準にある。
セクター別では公益事業株 (SPLRCU)が最も上げ、8.4%上昇した。
<金先物> 米雇用関連指標の悪化やドル安などを手掛かりに買いが優勢となり、反発した。中心限月4月物の清算値は前日比17.80ドル(1.09%)高の1オンス=1651.20ドル。
米労働省が早朝に発表した21日までの1週間の新規失業保険申請件数は、新型コロナウイルス感染拡大が直撃し、328万3000件と前週(28万2000件)から劇的に増加。現行方式で最多だった1982年10月(69万5000件)を大幅に上回り、歴史的な高水準となった。雇用情勢の急激な悪化が示されたとして金塊は買われ、相場は朝方に一時1672.50ドルまで上昇。外国為替市場で、ドルがユーロなど主要通貨に対して軟化したこともドル建て商品の割安感につながった。
しかし、週間新規失業保険申請件数をめぐっては、一部で400万人前後の増加を見込む向きがあったほか、2兆ドル規模の大型経済対策案の成立期待が支えとなり、この日は米株価が大幅続伸。このため、金塊はあと上げ幅の一部を縮小した。
<米原油先物> 需要減観測が重しとなり、4営業日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月5月物の清算値は前日比1.89ドル(7.72%)安の1バレル=22.60ドルとなった。6月物は1.45ドル安の25.71ドルだった。
国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長はこの日の電話会見で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出制限で、世界の石油需要が日量2000万バレル(20%)減少する可能性があると警告した。
さらに、米エネルギー省が26日までに、戦略石油備蓄(SPR)向けの原油買い入れ計画の取り下げを表明し、需要減観測がさらに強まった。同省が議会に要求していた買い入れのための予算30億ドルが、上院が25日に可決した総額2兆ドル超の経済対策に盛り込まれなかった。
ドル/円 NY終値 109.58/109.61
始値 109.96
高値 110.08
安値 109.22
ユーロ/ドル NY終値 1.1028/1.1032
始値 1.0951 (EUR=)
高値 1.1058
安値 1.0928
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 113*19.00 1.4388% (US30YT=RR)
前営業日終値 114*02.00 1.4210%
10年債(指標銘柄) 17時05分 106*05.50 0.8479% (US10YT=RR)
前営業日終値 106*03.00 0.8560%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*27.75 0.5269% (US5YT=RR)
前営業日終値 99*25.50 0.5420%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*04.88 0.2986% (US2YT=RR)
前営業日終値 100*03.13 0.3260%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 22552.17 +1,351.62 +6.38 (DJI)
前営業日終値 21200.55
ナスダック総合 7797.54 +413.24 +5.60 (IXIC)
前営業日終値 7384.30
S&P総合500種 2630.07 +154.51 +6.24 (SPX)
前営業日終値 2475.56
COMEX金 4月限 1651.2 +17.8
前営業日終値 1633.4
COMEX銀 5月限 1467.6 ‐19.7
前営業日終値 1487.3
北海ブレント 5月限 26.34 ‐1.05 (LCOc1)<0#LCO:>
前営業日終値 27.39
米WTI先物 5月限 22.60 ‐1.89 (CLc1)<0#CL:>
前営業日終値 24.49
CRB商品指数 126.3466 ‐3.2505 (TRCCRB)
前営業日終値 129.5971 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200326T220227+0000