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日経平均は反落、 日米長期金利は早々に上昇再開、売買代金の減少が気掛かり

発行済 2023-09-26 12:14
更新済 2023-09-26 12:30
© Reuters.
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*12:14JST 日経平均は反落、 日米長期金利は早々に上昇再開、売買代金の減少が気掛かり  日経平均は反落。
298.77円安の32379.85円(出来高概算6億2155万株)で前場の取引を終えている。


 25日の米株式市場でダウ平均は43.04ドル高(+0.12%)、ナスダック総合指数は+0.45%とそれぞれ5日ぶり反発。
10年債利回りが高値を更新するなか売りが先行。
政府機関閉鎖リスクの高まりも重しとなった。
一方、シカゴ連銀総裁が経済のソフトランディング(軟着陸)の可能性を指摘すると終盤にかけて買い戻しが強まり、プラス圏を回復した。
米株高に加えて為替の円安が一段と進行するなかではあったが、米長期金利の上昇を背景としたハイテク株の下落が重しになり、日経平均は38.57円安からスタート。
前日に上昇した反動で戻り待ちの売りが出やすかったことも影響し、日経平均は一時300円を超える下げ幅を見せた。
その後はいったん下げ渋ったが、時間外取引の米株価指数先物が上げ幅を縮めたことが嫌気され、日経平均はこの日の安値圏で前場を終えている。


 個別では、米長期金利の上昇を背景に東エレク (TYO:8035)、スクリン (TYO:7735)、イビデン (TYO:4062)、芝浦 (TYO:6590)、太陽誘電 (TYO:6976)、TDK (TYO:6762)などのハイテクや、インフォマート (TYO:2492)、SREHD (TYO:2980)、ラクスル (TYO:4384)などのグロース(成長)株が大きく下落。
為替の円安にもかかわらず日産自 (TYO:7201)、豊田自動織機 (TYO:6201)、武蔵精密工業<
7220>などの輸送用機器も安い。
ほか、東京製鐵 (TYO:5423)、神戸製鋼所 (TYO:5406)の鉄鋼、三井金 (TYO:5706)、住友鉱 (TYO:5713)の非鉄金属、三井物産 (TYO:8031)、三菱商事 (TYO:8058)の商社なども軟調。
上半期が営業減益で着地したあさひ (TYO:3333)は大きく下落している。


 一方、国内長期金利の上昇を受けてT&DHD (TYO:8795)、かんぽ生命保険 (TYO:7181)の保険、西日本フィナンシャルHD (TYO:7189)、千葉興業銀行 (TYO:8337)の地銀など金融セクターが大きく上昇。
東海東京 (TYO:8616)は中間配当の増配が、日本取引所グループ (TYO:8697)は業績・配当予想の上方修正が、いよぎんHD (TYO:5830)は上半期業績の上方修正がそれぞれ好感された。
ほか、四国電力 (TYO:9507)、関西電力 (TYO:9503)の電気・ガス、商船三井 (TYO:9104)、郵船 (TYO:9101)の海運、三菱製紙 (TYO:3864)、日本製紙 (TYO:3863)のパルプ・紙などバリュー
(割安)セクターが堅調。
あすか製薬HD (TYO:4886)は政策保有株縮減に伴う売却益計上が材料視された。
東証スタンダードでは配当方針変更に伴う増配を発表したオーテック (TYO:1736)、業績予想を上方修正したラサ商事 (TYO:3023)や大光 (TYO:3160)、中期経営計画を発表したfonfun (TYO:2323)などが急伸。


 セクターでは電気機器、輸送用機器、機械が下落率上位に並んでいる一方、保険、電気・ガス、海運が上昇率上位に並んでいる。
東証プライム市場の値下がり銘柄が全体の68%、対して値上がり銘柄は28%となっている。


 本日の日経平均は反落し、前日の上昇分をほぼ吐き出す格好となっている。
米10年債利回りは25日、一時4.56%まで上昇、終値ベースでも4.53%と節目の4.5%を上回り、2007年10月以来の高水準を記録している。
先週末に一服したと思われた米長期金利の上昇が早々に再開したことで、前日に買い戻しが入ったハイテク・グロース(成長)株が再び売られ、日経平均の重しとして働いている。


 日本の10年債利回りも26日、0.745%と21日に付けた2013年9月以来の水準を回復している。
先週末の取引終了後に行われた日本銀行の植田和男総裁の会見では、マイナス金利政策の解除に関して踏み込んだ発言がなかったこともあり、金融引き締め懸念が後退したとの見方が一時強まった。
これを受け、週明け前日の東京市場ではハイテク・グロース株が買い戻される一方で銀行セクターを中心に景気敏感・バリュー(割安)株の一角に利益確定売りが広がった。
しかし、こうした流れは一日にして反転している。


 そもそも、先週末の植田総裁の会見については、各種メディアが多方面で「金融引き締め懸念は後退」との解釈を報じていたが、個人的には、会見中の植田総裁は歯切れの悪さが目立った印象で、政策の先行き不透明感を強める内容に見受けられた。
また、植田総裁は会見内で「(物価上昇率について)下がり方がすこしゆっくりめかなという雰囲気はある」と、物価高が想定より長引いていることを認めるような発言もしていた。
内容としては今後のデータ次第では十分に政策変更が前倒しされる可能性も感じさせるような内容だったと思われる。


 実際、日本の10年債利回りが再び高値を回復してきているほか、米長期金利の上昇ペースに対する為替の円安ペースは緩やかなものになっている。
財務省による為替介入への思惑が当然に影響しているだろうが、日銀の追加政策修正観測の高まりも依然として根強いと見受けられる。


 やや気掛かりなのはドル円が1ドル=149円目前に迫る水準にまで上昇(円安・ドル高)しているにもかかわらず、自動車をはじめとした輸送用機器セクターが本日軟調に推移していることだ。
10月下旬以降の中間決算で上方修正が特に期待されるセクターだが、足元で円安との連動性が薄れてきているのは、円安による業績上振れを大方織り込み切った動きとも考えられ、この先は注意深く見守りたい。


 ほか、売買代金の減少も気になる。
前日の東証プライム市場の売買代金は3兆1000億円台と、9月11日以来の水準に減少した。
今週27日には配当・株主優待の権利付き最終売買日を迎えるにもかかわらず、本日も前引け時点での東証プライムの売買代金は1兆5000億円台と低調だ。


 前週に日米の金融政策イベントを通過し、やや手掛かり材料難であるほか、前週までに配当権利取りの動きが一巡していたとも考えられるが、それらを差し引いてもこの売買代金の減少ぶりは気になる。
日米の長期金利の上昇が続くなか、投資家心理が悪化していると推察され、今後の金利動向からは一段と目が離せなくなった。

(仲村幸浩)

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