*12:24JST 日経平均は反落、軟調に推移する株式を横目にビットコインは好調
日経平均は反落。
227.45円安の27106.34円(出来高概算6億3380万株)で前場の取引を終えている。
前週末17日の米国株式市場のダウ平均は384.57ドル安(-1.19%)と反落。
シリコンバレー銀の親会社SVBファイナンシャル・グループがニューヨークで連邦破産法11条の適用を申請したとの報道を受け、金融システムへの不安が再燃し、売りが先行。
また、複数銀行の預金支援を受け昨日大きく上昇していた地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)が再び下落に転じたことも一段の警戒感につながった。
この日はトリプルウィッチングで先物やオプション満了に絡んだ売りも加速した可能性があり、マイナス圏で終了。
ナスダック総合指数も反落、主要株価指数がそろって下落した米株市場を受けて、本日の日経平均は前週末比80.06円安の27253.73円と反落でスタート、その後は軟調もみ合い展開となっている。
個別では、東エレク (TYO:8035)やレーザーテック (TYO:6920)、アドバンテ (TYO:6857)などの半導体関連株が軟調に推移、郵船 (TYO:9101)や川崎汽船 (TYO:9107)、商船三井 (TYO:9104)などの海運株、JAL (TYO:9201)やANA (TYO:9202)などの空運株、なども大幅下落。
トヨタ自 (TYO:7203)、日本製鉄 (TYO:5401)、ファーストリテ (TYO:9983)、メルカリ (TYO:4385)、任天堂 (TYO:7974)なども下落した。
ほか、第3四半期営業減益をネガティブ視されたサツドラHD (TYO:3544)、フォークリフト向けエンジンでの不正を発表した豊田自動織機 (TYO:6201)などが急落、HEROZ (TYO:4382)、プロレド・パートナーズ (TYO:7034)、アイル (TYO:3854)などが東証プライム市場の値下り率上位に顔を出した。
一方、日本電産 (TYO:6594)、ソニーG (TYO:6758)も上昇。
そのほか、上半期営業利益は一転して前年同期比倍増となったLink-U (TYO:4446)が急反発、第3四半期決算発表以降買い優勢の展開が続いているサンリオ (TYO:8136)が急伸、ニッカトー (TYO:5367)、フェイスネットワーク (TYO:3489)、冨士ダイス (TYO:6167)などが東証プライム市場の値上がり率上位に顔を出した。
セクターでは海運業、倉庫運輸関連、空運業が下落率上位となった一方、石油・石炭、非鉄金属が上昇した。
東証プライムの値上がり銘柄は全体の10%、対して値下がり銘柄は88%となっている。
本日の日経平均は、米株安の流れを受けて売りが先行。
スイスの金融大手クレディ・スイスについて、同じくスイスの金融大手であるUBSが買収することで合意したと発表したことなどが下支え要因として意識されている。
ただ、21-22日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催予定で、明日春分の日は東京市場が休場となるなか、売り手優位の状況が続いている。
新興市場も軟調な展開が続いている。
マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は下落してスタートした後、朝方に下げ幅を大きく広げた。
その後も売り優勢の展開が続いてマイナス圏での軟調な展開が続いている。
世界的な金融システム不安がくすぶっていることは国内の個人投資家心理を悪化させており、流動性リスクの大きい新興株も神経質な動きを強いられている。
前引け時点での東証マザーズ指数は3.16%安、東証グロース市場Core指数は4.76%安で時価総額上位銘柄が下落をけん引している。
さて、本日20日、スイスの銀行大手UBSグループは同業クレディ・スイス・グループを買収することに同意した。
買収は30億スイス・フラン(約4300億円)規模の株式交換になり、合意には広範囲な政府保証と流動性供給が含まれるという。
ただ、クレディ・スイスの株式時価総額は17日終値時点で約74億フラン、買収額はこの半分未満となった。
UBSによる買収合意を受けてクレディ・スイス・グループが発行していた劣後債の一種である「AT1債」約160億スイス・フラン(約2兆2800億円)相当が無価値になったという。
2750億ドル(約36兆円)規模の欧州AT1債市場にとって過去最大の損失となり、他社が発行したAT1債にも不安が広がるかに焦点があたっているようだ。
ブルームバーグのデータによると、クレディ・スイスのAT1債を保有している数多くの資産運用会社には、パシフィック・インベストメント・マネジメント、インベスコ、ブルーベイ・ファンズ・マネジメントが含まれているもよう。
これらの投資運用会社に影響が広がっているか注目が集まろう。
また、クレディ・スイスの破綻はなくなったが、世界的な金融システム不安の高まりは拭えていない。
クレディ・スイスの混乱は「氷山の一角」にすぎないと、JPモルガンのボブ・ミシェル氏は語っていた。
JPモルガン・アセット・マネジメントの最高投資責任者は、2008年以来最大のアメリカの銀行の破綻を受けてクレディ・スイスが混乱に陥り、「世界の銀行セクターを襲う伝染病が始まったばかりだ。
」とも述べている。
一度始まった大きな金融不安の影響は簡単には払しょくできそうにないだろう。
一方、安全資産として金価格は上昇している。
さらに、ビットコインも前週から上げ幅を大きく広げている。
13日に277万円台で始まった価格は現時点で370万円台まで急騰している。
アメリカでFRBによる利上げシナリオが低下したことに加えて、世界的な金融不安が背景となっている。
ビットコインは過去に、ナスダックと連動する動きを多々見せていたが、ここにきて全く異なる動きをみせている。
ここにきて銀行システムに対するアンチテーゼとして生まれたビットコインに資金が流れていることは当たり前といっても過言ではない。
月曜日の当欄を担当している筆者は株式に加えて暗号資産も調査しているが、引き続きビットコイン価格が株式よりも相対的に強く動くと想定している。
世界的な金融不安を早急に払しょくすることが難しいなか、投資家はポートフォリオを一旦見つめなおす必要がありそうだ。
ビットコインを中心とする暗号資産は投資家から少し嫌われている側面もあったが、これを機にビットコイン中心に調査し、ポートフォリオに組み込むか一考する必要があるだろう。
明日からは米国でFOMCが開催される。
後場の日経平均は、外部環境の不透明感が続くなか明日は祝日で休場となるため、軟調な展開が続くか。
(山本泰三)
227.45円安の27106.34円(出来高概算6億3380万株)で前場の取引を終えている。
前週末17日の米国株式市場のダウ平均は384.57ドル安(-1.19%)と反落。
シリコンバレー銀の親会社SVBファイナンシャル・グループがニューヨークで連邦破産法11条の適用を申請したとの報道を受け、金融システムへの不安が再燃し、売りが先行。
また、複数銀行の預金支援を受け昨日大きく上昇していた地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)が再び下落に転じたことも一段の警戒感につながった。
この日はトリプルウィッチングで先物やオプション満了に絡んだ売りも加速した可能性があり、マイナス圏で終了。
ナスダック総合指数も反落、主要株価指数がそろって下落した米株市場を受けて、本日の日経平均は前週末比80.06円安の27253.73円と反落でスタート、その後は軟調もみ合い展開となっている。
個別では、東エレク (TYO:8035)やレーザーテック (TYO:6920)、アドバンテ (TYO:6857)などの半導体関連株が軟調に推移、郵船 (TYO:9101)や川崎汽船 (TYO:9107)、商船三井 (TYO:9104)などの海運株、JAL (TYO:9201)やANA (TYO:9202)などの空運株、なども大幅下落。
トヨタ自 (TYO:7203)、日本製鉄 (TYO:5401)、ファーストリテ (TYO:9983)、メルカリ (TYO:4385)、任天堂 (TYO:7974)なども下落した。
ほか、第3四半期営業減益をネガティブ視されたサツドラHD (TYO:3544)、フォークリフト向けエンジンでの不正を発表した豊田自動織機 (TYO:6201)などが急落、HEROZ (TYO:4382)、プロレド・パートナーズ (TYO:7034)、アイル (TYO:3854)などが東証プライム市場の値下り率上位に顔を出した。
一方、日本電産 (TYO:6594)、ソニーG (TYO:6758)も上昇。
そのほか、上半期営業利益は一転して前年同期比倍増となったLink-U (TYO:4446)が急反発、第3四半期決算発表以降買い優勢の展開が続いているサンリオ (TYO:8136)が急伸、ニッカトー (TYO:5367)、フェイスネットワーク (TYO:3489)、冨士ダイス (TYO:6167)などが東証プライム市場の値上がり率上位に顔を出した。
セクターでは海運業、倉庫運輸関連、空運業が下落率上位となった一方、石油・石炭、非鉄金属が上昇した。
東証プライムの値上がり銘柄は全体の10%、対して値下がり銘柄は88%となっている。
本日の日経平均は、米株安の流れを受けて売りが先行。
スイスの金融大手クレディ・スイスについて、同じくスイスの金融大手であるUBSが買収することで合意したと発表したことなどが下支え要因として意識されている。
ただ、21-22日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催予定で、明日春分の日は東京市場が休場となるなか、売り手優位の状況が続いている。
新興市場も軟調な展開が続いている。
マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は下落してスタートした後、朝方に下げ幅を大きく広げた。
その後も売り優勢の展開が続いてマイナス圏での軟調な展開が続いている。
世界的な金融システム不安がくすぶっていることは国内の個人投資家心理を悪化させており、流動性リスクの大きい新興株も神経質な動きを強いられている。
前引け時点での東証マザーズ指数は3.16%安、東証グロース市場Core指数は4.76%安で時価総額上位銘柄が下落をけん引している。
さて、本日20日、スイスの銀行大手UBSグループは同業クレディ・スイス・グループを買収することに同意した。
買収は30億スイス・フラン(約4300億円)規模の株式交換になり、合意には広範囲な政府保証と流動性供給が含まれるという。
ただ、クレディ・スイスの株式時価総額は17日終値時点で約74億フラン、買収額はこの半分未満となった。
UBSによる買収合意を受けてクレディ・スイス・グループが発行していた劣後債の一種である「AT1債」約160億スイス・フラン(約2兆2800億円)相当が無価値になったという。
2750億ドル(約36兆円)規模の欧州AT1債市場にとって過去最大の損失となり、他社が発行したAT1債にも不安が広がるかに焦点があたっているようだ。
ブルームバーグのデータによると、クレディ・スイスのAT1債を保有している数多くの資産運用会社には、パシフィック・インベストメント・マネジメント、インベスコ、ブルーベイ・ファンズ・マネジメントが含まれているもよう。
これらの投資運用会社に影響が広がっているか注目が集まろう。
また、クレディ・スイスの破綻はなくなったが、世界的な金融システム不安の高まりは拭えていない。
クレディ・スイスの混乱は「氷山の一角」にすぎないと、JPモルガンのボブ・ミシェル氏は語っていた。
JPモルガン・アセット・マネジメントの最高投資責任者は、2008年以来最大のアメリカの銀行の破綻を受けてクレディ・スイスが混乱に陥り、「世界の銀行セクターを襲う伝染病が始まったばかりだ。
」とも述べている。
一度始まった大きな金融不安の影響は簡単には払しょくできそうにないだろう。
一方、安全資産として金価格は上昇している。
さらに、ビットコインも前週から上げ幅を大きく広げている。
13日に277万円台で始まった価格は現時点で370万円台まで急騰している。
アメリカでFRBによる利上げシナリオが低下したことに加えて、世界的な金融不安が背景となっている。
ビットコインは過去に、ナスダックと連動する動きを多々見せていたが、ここにきて全く異なる動きをみせている。
ここにきて銀行システムに対するアンチテーゼとして生まれたビットコインに資金が流れていることは当たり前といっても過言ではない。
月曜日の当欄を担当している筆者は株式に加えて暗号資産も調査しているが、引き続きビットコイン価格が株式よりも相対的に強く動くと想定している。
世界的な金融不安を早急に払しょくすることが難しいなか、投資家はポートフォリオを一旦見つめなおす必要がありそうだ。
ビットコインを中心とする暗号資産は投資家から少し嫌われている側面もあったが、これを機にビットコイン中心に調査し、ポートフォリオに組み込むか一考する必要があるだろう。
明日からは米国でFOMCが開催される。
後場の日経平均は、外部環境の不透明感が続くなか明日は祝日で休場となるため、軟調な展開が続くか。
(山本泰三)