[ムンバイ 6日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行)は6日、主要政策金利を据え置いた。景気支援とインフレ率のさらなる上昇の回避を念頭に、緩和的な金融政策スタンスを維持した。
インドの今年3月末までの年間成長率は11年ぶり低水準の5%と予想されている。急速に感染が拡大する新型コロナウイルスも世界経済の成長率を押し下げる見込み。
インド中銀のダス総裁は政策決定後の記者会見で「新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、世界経済の下振れリスクが増している。新型ウイルスの影響はまだ全体像が不透明で、事態はまだ進行中だ」と述べた。
金利の据え置きは全会一致で決定。据え置きはロイターのエコノミスト調査でも予想されていた。
中銀は「将来の行動に政策の余地があることを認識しているが、インフレ率は上昇基調にある」と指摘し、目先のインフレ見通しを上方修正した。
12月のインフレ率は、主に食品価格の上昇で7.35%に上昇し、5年5カ月ぶりの高水準だった。
一方で成長率は鈍化しており、ノムラによると10─12月期は4.3%にとどまったもよう。過去6年余りでの最低水準だった7─9月期の4.5%からさらに鈍化することになる。
インド中銀は昨年、計135ベーシスポイント(bp)の利下げを実施。ただ12月はインフレに対する懸念を背景に予想外に政策金利を据え置いた。
1─3月期のインフレ率は6.5%と予想。12月時点では、今年度(3月末まで)下期のインフレ率を5.1─4.7%と予想していた。
来年度上期のインフレ率予想は5.4─5%。以前は4─3.8%を見込んでいた。インド中銀の中期的なインフレ目標は4%。
最近は製造業部門の強さを示す指標も発表されているものの、インド中銀は国内の経済活動について「低迷が続いており、最近改善が見られたわずかな指標も、まだ広範囲に勢いが増すには至っていない」との見解を示した。
ソシエテ・ジェネラルのインド担当エコノミストは「インド経済は典型的なスタグフレーションの兆しを見せているため、インド中銀の決定は驚きではない。経済の弱さが続くなか、インフレ高進が利下げカードの邪魔をしている」と述べた。
金利据え置き決定を受けてインドの株式市場 (NSEI) (BSESN)は上昇、10年債とインドルピーはほぼ横ばいで推移している。
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