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米国株式市場が史上最高値を更新するための好材料はまだあるのか?

発行済 2019-04-25 12:25
更新済 2020-09-02 15:05
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2019年もほぼ3分の1が終了しているが、株式市場は米国内・世界全体ともに堅調だ。主要指数の大部分は2週間以内に最高水準に達する見込みだ。

しかし、クリスマス後に始まった回復は減速している。そしてより重要なのは、市場を盛り返す力のある燃料価格が、昨年のピークをまだ上回っていないということだ。加えて、政治的な懸念が市場に下げ圧力をかけている。

2011年以来最悪の四半期となった2018年第4四半期の株式市場だったが、1月には割安となった銘柄に買いが殺到した。1月以来株式市場は続伸しているが、勢いは衰えつつある。

SPX Weekly 2016-2019

ヨーロッパ市場もおおむね同様に高値を付けている。

DAX Weekly 2016-2019

ドイツ株価指数は16%高、英FTSE100種総合株価指数は11%高、日経平均株価は10.4%高、インドS&P BSE SENSEXは8.5%高となっている。原油大手ペトロブラスの寄与率が高いブラジルボベスパ指数も7.6%高となっている。

SSEC Weekly 2016-2019

もし米中貿易協議が無事締結し、貿易戦争が終焉を迎えることになれば、上海総合指数は今年30%の上昇が期待できる。昨年には25%もの下落を記録した上海総合指数だが、今年のパフォーマンスには期待できそうだ。

2017年以降空騒ぎを続ける米国市場

トランプ氏が2016年の大統領選に勝利し、その後2017年に大型減税を行ったのち、米国株価は40%上昇した。今後新たな動きに期待するなら、同程度の大胆な起爆剤が必要だ。

しかし残念なことに、起爆剤は底を尽きたようだ。2017年以降米国株式市場は空騒ぎを続けており、大きな進歩はない。ダウは2018年1月のピークから0.7%安、同年10月3日のピークから1.5%安となっている。S&Pは2018年1月のピークから1.1%高、52週ぶりの高値を記録した9月21日から1.2%安となっている。ナスダックは2018年3月のピークから5.4%高、同じく52週ぶりの高値となった8月30日から1.7%安となっている。

各指数は昨年秋の高値を上回っているが、テクニカル的な要因はなお下げ圧力を与えるだろう。

では、2017年の大型減税に匹敵するような好材料はどんなものだろうか?

  • 低金利  10年国債利回りは昨年末の2.69%から2.5%に低下している。FRBは、米国と世界経済に対する懸念により、今年は利上げはないだろうと述べた。しかし、好調な小売売上高を見る限り、米国経済はFRBが思っているよりも堅調だと言えそうだ。FRBに対し、利上げ圧力が働くとの見方もある。
  • 米中貿易協議 すでに市場価格に影響を及ぼしているが、「合意検証」の機関の設立など、大きな好材料になりそうだ。

  • NY株式市場や機関投資家を活気づける大型合併の波 低金利により資金調達が容易となるだろう。加えて、莫大な自社株買いにより市場が支えられる見通しだ。
  • 大型IPO ウーバー(NYSE:UBER)に続いて他のテクノロジー企業がIPOするかもしれない。

一方、大きな向かい風として以下の4点が挙げられる。

  • ブレグジットは英国内を混乱させ、ヨーロッパ全土を圧迫している。

  • 原油・ガソリン価格上昇 サウジは国内経済活性化のため、原油価格を80ドル以上まで押し上げようとしている。加えて、トランプ政権はテロ抑止を目指し、イラン産原油を全面禁輸とすることを発表。5月2日以降、日本、中国、インド等8か国はイランから原油を輸入できなくなる。この報道を受け、原油価格は22日2.5%高となった。WTI原油は年初来45%高、ブレント原油は37%高となっている。カリフォルニアガソリン価格は4ドルを上回っている。米国のガソリン小売価格は25%高の1ガロンあたり2.85ドルを付けた。

  • ドルはまちまち 今年は比較的安定しているものの、ドル高の動きにより他国にとっては米国からの輸入価格が上昇し、米国企業は減収するとみられる。重要なのは原油が米ドルで価格設定されており、米ドルが値上がりすれば原油輸入国を圧迫しうることだ。

  • 2020年の大統領選 2016年の大統領選が終わった後すぐ、次回の2020年の選挙に向けて各陣営が動き出した。ロシア捜査に対し、トランプ大統領が大きく動揺していたとするモラー報告書に注目が集まっている。

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