2019年もほぼ3分の1が終了しているが、株式市場は米国内・世界全体ともに堅調だ。主要指数の大部分は2週間以内に最高水準に達する見込みだ。
しかし、クリスマス後に始まった回復は減速している。そしてより重要なのは、市場を盛り返す力のある燃料価格が、昨年のピークをまだ上回っていないということだ。加えて、政治的な懸念が市場に下げ圧力をかけている。
2011年以来最悪の四半期となった2018年第4四半期の株式市場だったが、1月には割安となった銘柄に買いが殺到した。1月以来株式市場は続伸しているが、勢いは衰えつつある。
ヨーロッパ市場もおおむね同様に高値を付けている。
ドイツ株価指数は16%高、英FTSE100種総合株価指数は11%高、日経平均株価は10.4%高、インドS&P BSE SENSEXは8.5%高となっている。原油大手ペトロブラスの寄与率が高いブラジルボベスパ指数も7.6%高となっている。
もし米中貿易協議が無事締結し、貿易戦争が終焉を迎えることになれば、上海総合指数は今年30%の上昇が期待できる。昨年には25%もの下落を記録した上海総合指数だが、今年のパフォーマンスには期待できそうだ。
2017年以降空騒ぎを続ける米国市場
トランプ氏が2016年の大統領選に勝利し、その後2017年に大型減税を行ったのち、米国株価は40%上昇した。今後新たな動きに期待するなら、同程度の大胆な起爆剤が必要だ。
しかし残念なことに、起爆剤は底を尽きたようだ。2017年以降米国株式市場は空騒ぎを続けており、大きな進歩はない。ダウは2018年1月のピークから0.7%安、同年10月3日のピークから1.5%安となっている。S&Pは2018年1月のピークから1.1%高、52週ぶりの高値を記録した9月21日から1.2%安となっている。ナスダックは2018年3月のピークから5.4%高、同じく52週ぶりの高値となった8月30日から1.7%安となっている。
各指数は昨年秋の高値を上回っているが、テクニカル的な要因はなお下げ圧力を与えるだろう。
では、2017年の大型減税に匹敵するような好材料はどんなものだろうか?
- 低金利 10年国債利回りは昨年末の2.69%から2.5%に低下している。FRBは、米国と世界経済に対する懸念により、今年は利上げはないだろうと述べた。しかし、好調な小売売上高を見る限り、米国経済はFRBが思っているよりも堅調だと言えそうだ。FRBに対し、利上げ圧力が働くとの見方もある。
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米中貿易協議 すでに市場価格に影響を及ぼしているが、「合意検証」の機関の設立など、大きな好材料になりそうだ。
- NY株式市場や機関投資家を活気づける大型合併の波 低金利により資金調達が容易となるだろう。加えて、莫大な自社株買いにより市場が支えられる見通しだ。
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大型IPO ウーバー(NYSE:UBER)に続いて他のテクノロジー企業がIPOするかもしれない。
一方、大きな向かい風として以下の4点が挙げられる。
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ブレグジットは英国内を混乱させ、ヨーロッパ全土を圧迫している。
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原油・ガソリン価格上昇 サウジは国内経済活性化のため、原油価格を80ドル以上まで押し上げようとしている。加えて、トランプ政権はテロ抑止を目指し、イラン産原油を全面禁輸とすることを発表。5月2日以降、日本、中国、インド等8か国はイランから原油を輸入できなくなる。この報道を受け、原油価格は22日2.5%高となった。WTI原油は年初来45%高、ブレント原油は37%高となっている。カリフォルニアガソリン価格は4ドルを上回っている。米国のガソリン小売価格は25%高の1ガロンあたり2.85ドルを付けた。
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ドルはまちまち 今年は比較的安定しているものの、ドル高の動きにより他国にとっては米国からの輸入価格が上昇し、米国企業は減収するとみられる。重要なのは原油が米ドルで価格設定されており、米ドルが値上がりすれば原油輸入国を圧迫しうることだ。
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2020年の大統領選 2016年の大統領選が終わった後すぐ、次回の2020年の選挙に向けて各陣営が動き出した。ロシア捜査に対し、トランプ大統領が大きく動揺していたとするモラー報告書に注目が集まっている。