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先週、株式市場は大きく下落し、先行き不透明感が強い状況
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ダウ工業株30種平均指数構成企業の約半数が決算報告をするなど、決算シーズンが本格化
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今週発表される主な経済指標
このところの株式市場の高位なボラティリティは、今後も衰えることはないだろう。今週は、米国で最も注目されている超大型ハイテク企業何社かの決算と、2022年最初のFRBによる公開市場委員会が行われる。
また、Dow Jones、S&P 500、NASDAQ、Russell 2000のすべての主要指数が日次ベースでも週次ベースでも下落しており、S&PとNASDAQの週次パフォーマンスは2020年にパンデミックが始まって以来最も大きな下落となり、ダウ工業株は2020年10月以来の最悪の週次パフォーマンスを記録した。
テクノロジー} と一般消費財セクターが市場の下落を牽引。また、FAANGの旗手であるNetflix (NASDAQ:NFLX)は、木曜日の軟調な市場決算を発表したことで、投資家の失望を誘い、金曜日に大きく低下した。
ストリーミング・エンターテインメントの巨人であるNetflixの株価は金曜日の寄り付きから安く、そのまま下落基調を続け、金曜日は21.79%下落して先週の取引を終えた。かつてのハイテク業界の寵児は、アナリストの期待に応えたものの、見通しは弱いものとなったことで、同社株は、競合他社に後塵を拝していることを認めたことで、投資家の売り圧力に拍車をかける展開となった。
また最近、標準プランの価格を13.99ドルから15.49ドルに引き上げたが、同社の市場シェアの割合はさらに大きくなっている。
この急落は、Netflixの1日あたりの損失としては、2012年7月5日に株価が4分の1にまで下落して以来、最悪のものとなった。週次では、2012年7月27日に株価が28%低下して以来、最悪のパフォーマンスである。
株価はサポートを割れ、今後は長期的に横ばいで推移する可能性がある。2016年以降の長期上昇トレンド・ラインが今度はサポートになるだろう。
NASDAQ 100は金曜日に2.8%の下落となり、米国の主要な指標の中で最も低下が目立った。週次では7.51%の下落となり、小型株で構成されるRussell 2000の8.07%の下落に次いで、週次ベースでは2番目に悪いパフォーマンスとなった。一方、SPXは4.73%の下落に留まり、「アウトパフォーム」した。ダウ工業株30種平均は4.58%低下。
これまで歴史上最も緩和的な金融政策の恩恵を受けてきた株式市場を再評価することの難しさから、今回の金融政策の引き締めを受けて、投資家はリフレ・トレードの両方からポジションを外している。ダウに上場しているバリュー株の優良企業は影響を受けていないが、開放経済に依存しているRussell 2000に上場している米国企業が最も下落圧力を受けている。
また、これまで述べてきたように、テクノロジー・セクターは、将来の成長への期待が株価上昇の原動力となっているため、金利上昇の最初の犠牲者となる傾向がある。そのため、株価のベースとなっている通貨の価値が上昇すると、株式を購入するためのコストが上昇し、投資妙味が低下するのだ。
FRBが景気刺激策を縮小し、金利を上昇させると、経済的に敏感なセクターがアウトパフォームすることが予想される。エネルギーセクターが年初来で12.52%上昇している理由の一つだ。実際、今年に入ってから唯一プラスで推移しているセクターとなっている。しかし、エネルギー産業は景気敏感な産業ではあるが、エネルギー株の価格は、世界経済の回復というよりも、石油の供給と生産の混乱に左右される側面が強い。
また週次ベースでは、景気敏感セクターがアウトパフォームし、テクノロジー・セクターが出遅れてた。この状況は過去1ヶ月間、3ヶ月間にも及んでいる。
これはすべて教科書通りの動きだ。FRBが利上げを行うのは、インフレが進行し、物価が上昇して需要が高まり、その結果、雇用が増えて給料が上昇したときである。景気の過熱は、生産の加速を伴う傾向があり、エネルギー、素材、産業製品の需要を押し上げる。金融機関は、ローンやクレジットの利益率が高いため、金利上昇の恩恵を受ける。したがって、特定のセクターがこの環境から恩恵を受けるのは自然なことといえる。
これまで見向きもされなかった景気敏感バリュー株に投資家が資金を移すことで、経済が停滞していた時期に優れたパフォーマンスを発揮し、バリュエーションを伸ばしていたテクノロジー株は崩れていく傾向にある。
そのため、今週の米連邦準備制度理事会(FRB)の会合は非常に重要となる。投資家は、市場動向に関する示唆を得られるような追加的な政策の手掛かりを探している。現在、ほとんどのエコノミストは、3月に25bpsの利上げを予想している。
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また今週は、トレーダーは木曜日に発表される米国のGDPにも注目し、自分のポートフォリオが経済の流れと同期しているかどうかを確認するだろう。また、FRBが注視している金曜日に発表を控える個人消費支出の内容だ。こちらも市場参加者の注目を集めるだろう。
今週のもう一つの大きなテーマは超大型株企業の決算発表で、ダウ工業株30種平均指数構成銘柄30社の約半数を占める企業が決算発表を行う。発表を控える企業には3M (NYSE:MMM)、IBM (NYSE:IBM)、Intel (NASDAQ:INTC)、Boeing (NYSE:BA)、Caterpillar (NYSE:CAT)、American Express (NYSE:AXP)などが挙げられる。
時価総額の大きいMicrosoft (NASDAQ:MSFT)とApple (NASDAQ:AAPL)は、それぞれ火曜日と木曜日に決算を発表する。Tesla (NASDAQ:TSLA)は水曜日に発表を控える。
また、投資家は今後の金利の先行指標である米国債利回りにも注目している。先週、米国10年際債の利回りは週半ばに1.9%に一時達したが、その後金曜日には1.76%まで低下している。
テクニカル面では、ボラティリティはかなり大きい状況だ。今のところ、利回りは3月のピークがサポートとして維持されており、引き続き上昇することを示唆している。金利が上昇すれば、テクノロジー株には引き続き下押し圧力がかかり、景気敏感株は下支えされるとみている。
米ドル} も、不安定な1週間となった。
米ドルは、売り手が買い手を上回るパターンである、ディセンディング・トライアングルに戻ったところで取引を終えた。
ドル高にもかかわらず、金は前週から反発した。
金は、対称型トライアングルの中で推移しており、買い手と売り手の両方がほぼ同じくらい存在することを示している。
ビットコインのメルトダウンは続き、暗号資産は週に18.5%下落した。
ビットコインは「価値の貯蔵庫」と考えられているが、今はそういう状況にない。BTC/USDは現在、 予想価格である3万ドルに向けて半分ほど下落している。29,000ドルを割る可能性も高まっており、下落基調は続く見通しだ。
原油は生産中断による報道に左右されたが、週次では一時4.88%上昇していたが、最後は1.57%の上昇で引けた。
テクニカル面では、WTIが5週連続で上昇したものの、ローソク・チャートは振れ幅が大きく、10月のピークを下回って取引を終えた。このローソク足は、方向感の喪失と恐怖を示している。10月の高値を下回って引けたことは強気派を不安にさせるものだろう。
今週の予定
米国東部時間で記載
月曜日
3:30: ドイツ – 製造業PMI: 前回の57.4から57.0への下落を予想.
4:30: 英国 – 製造業 PMI: 前回の57.9から57.7への下落を予想
4:30: 英国 – サービス業 PMI: 前回の53.6から53.9への上昇を予想
19:30: 豪州 – 消費者物価指数: 前回の0.8%から1.0%への上昇を予想
火曜日
4:00: ドイツ – Ifo 企業景況感指数: 94.7での横ばいを予想.
10:00: 米国 – CB 消費者信頼感指数: 前回の115.8から111.8への下落を予想.
水曜日
10:00: 米国 – 新築住宅販売件数: 前回の744千件から760千件への上昇を予想.
10:00: カナダ – BoC 金融政策レポート、政策金利
10:30: 米国 – 原油在庫: 前週は0.515Mバレルに上昇.
14:00: 米国 – 政策金利発表
14:30: 米国 – FOMC定例記者会見
木曜日
8:30: 米国 – コア耐久財受注: 前回の0.8%から0.4%への下落を予想.
8:30: 米国 – GDP: 前回の5.4%から2.3%.0への下落を予想.
10:00: 米国 – 住宅販売留保指数: 前回の-2.2%から0.3%への改善を予想.
金曜日
4:00: ドイツ – GDP: 前回の1.7%から-0.2%への下落を予想.
土曜日
20:00: 中国 – 製造業 PMI: 前回は50.3を記録.
20:45: 中国 – Caixin 製造業 PMI: 12月は50.9を記録.
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