6日の米国株式は、中国が人民元の安定化に向けた動きを見せたことに加え、急落した株式への買い需要が強まり、反発した。
5日の市場は過去最大の日次下落幅を記録したが、下落分の40%ほど反発する形となった。
S&P500は5日に3%下落し、6日には1.33%反発した。ダウ平均株価は5日に767ポイント下落し、6日に1.22%以上反発した。ナスダック総合指数は5日に3.5%下落した後、1.39%反発した。
6日の反発は、まず中国が1ドル=7元台のレートになっている人民元の大幅な下落は続かないと発表したことを契機とした。同政府は5日、トランプ米大統領による9月1日からの対中国輸入物品10%追加関税の実施に対する報復措置として、人民元の対ドルレートを切り下げていた。
追加関税の表明及び人民元の切り下げに加え、米国による中国の通貨操作国認定により、年前半の通商協議締結は近いとの楽観的な期待は間違いであったことが分かる。現在懸念されるのは貿易戦争が2020年までもつれ込み、市場のボラティリティ―がより高まるのではないかということだ。
ダウ平均株価30銘柄中24銘柄が上昇し、ナスダック総合指数100銘柄中87銘柄が上昇し1.4%高となっている。5日には両インデックスの全株式が下落していた。
アップル (NASDAQ:AAPL)、マイクロソフト (NASDAQ:MSFT)、フェイスブック (NASDAQ:FB)、グーグル親会社のアルファベット (NASDAQ:GOOG)等のテクノロジー銘柄が反発を牽引した。更にナイキ (NYSE:NKE)、ルルレモン・アスレティカ (NASDAQ:LULU)、アルタ・ビューティ (NASDAQ:ULTA)等の消費関連株も上昇した。
一方で、エネルギー株と素材株だけは振るわなかった。
貿易戦争の煽りを受け原油価格は下落した。WTI原油先物は1.94%安の1バレルあたり53.63ドルとなり、8月のリターンは-8.45%となっている。ブレント原油先物は1.45%安の58.94ドルとなり、米中貿易戦争による不安から8月のリターンは-9.6%となっている。
エネルギーセクターの中でも特に不調だったのが、BP (NYSE:BP)、 チェサピーク・エナジー (NYSE:CHK)、ハリバートン・カンパニー (NYSE:HAL)、シュルンベルジェ(NYSE:SLB)だ。
化学セクターも下落した。ダウ・ケミカル (NYSE:DOW)は52週間最安値を記録し、US スチール (NYSE:X)、アルコア (NYSE:AA)も下落した。
5日の急落によって相対力指数等のテクニカル指標も急落し、株式市場の大半が割安状態になり今回の反発が引き起こされた。
しかし7月25日に史上最高値を更新して以来、主要インデックスは下降気味で、特に貿易戦争が過熱する現在先が読めない状況だ。
7日の市場における不安材料は恐らく、市場引け後に報告されたウォルト・ディズニー (NYSE:DIS)決算への失望感だ。
同社は、今年3月に713億ドルで買収した21世紀フォックスの統合にかかるコストが予想よりもかさんでいると発表した。同社株は通常取引で2.6%上昇した後、時間外取引で2.5%の下落となった。
同社映画事業(スタジオ・エンターテイメント)売上高は33%増となり、「アベンジャーズ エンドゲーム」のような大ヒット作に支えらてた。
7日には、プライスライン・ドット・コム・インコーポレイテッド (NASDAQ:BKNG)、リフト (NASDAQ:LYFT)、オーバーストック・ドット・コム (NASDAQ:OSTK)の決算報告が予定されている。
S&P 500における勝者と敗者
航空部品メーカーのトランスダイム・グループ (NYSE:TDG)、ソフトウェアディベロッパーのテイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア (NASDAQ:TTWO)、ファイザー (NYSE:PFE)から2013年にスピンオフした製薬会社のゾエティス等は6日のS&P 500銘柄の中でもトップパフォーマーであった。
インターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス (NYSE:IFF)、農薬メーカーのモザイク (NYSE:MOS)、ジェネリック医薬品メーカーのマイラン (NASDAQ:MYL)は6日のS&P 500銘柄の中でもワーストパフォーマーであった。