[7日 ロイター] - 東南アジア株式市場は軒並み下落。米国が中国企業運営のアプリに関わる取引の禁止方針を打ち出したことで緊張が高まり、相場を圧迫した。
マニラ市場の主要株価指数PSEi (PSI)は0.96%安の5846.02で終了。フィリピン国内の新型コロナウイルス感染者数が急増し、東南アジア最多になったことが一段の打撃となった。
シンガポール市場のストレーツ・タイムズ指数(STI) (STI)は、0.53%安の2545.51で引けた。
ジャカルタ市場の総合株価指数 (JKSE)、クアラルンプール市場の総合株価指数KLCI (KLSE)、バンコク市場のSET指数 (SETI)はいずれも0.66%安で終了した。
中国株式市場は下落して引けた。トランプ米大統領が短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」や対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の運営会社との取引を禁止すると発表し、両国の緊張が高まった。
ただ、週間ベースでは上昇。好調な貿易統計などが好感された。
上海総合指数 (SSEC)終値は32.4279ポイント(0.96%)安の3354.0352。一時2.3%下落した。
上海と深センの株式市場に上場する有力企業300銘柄で構成するCSI300指数 (CSI300)終値は54.838ポイント(1.15%)安の4707.926。一時2.6%下落した。
ハイテク株が全面安。深セン証券取引所の新興企業向け市場「創業板(チャイネクスト)」総合指数 (CNT)は2.29%安。上海証券取引所の「科創板(スター・マーケット)」50指数 (STAR50)は3%安。
ただ、一部のアナリストは、米中関係の緊張が「常態化」してきたため、A株市場への影響は限定的だと指摘している。
China Fortune Securitiesのアナリストは「軍事衝突が起きない限り、投資家は米中関係の緊張を過度に懸念する必要はない」と述べた。
週間ベースでは、上海総合指数が1.3%高、CSI300指数は0.3%高。景気回復の兆しや当局の支援策が好感された。
中国の7月の貿易統計は、輸出が今年最大の伸びとなり、一部素材の輸入も過去最高を記録するなど、持続的景気回復に向け一段と勢いを増していることを示した。
中国人民銀行(中央銀行)は6日に公表した第2・四半期の金融政策報告書で、穏健な金融政策を一段と柔軟に、かつ目標を絞った形で運営すると同時に、景気支援に向け潤沢な流動性を維持する方針を示した。
シドニー株式市場は反落。オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)が今年の国内総生産(GDP)見通しを6%減と発表したことが弱材料になった。
米国が中国の字節跳動(バイトダンス)が運営する短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」と、騰訊(テンセント) (HK:0700)が手掛ける対話アプリ「微信(ウィーチャット)」を排除し、両国間の緊張が高まったことも響いた。
IGオーストラリアの市場アナリスト、カイル・ロッダ氏は、米中貿易協議「第1段階」合意の履行検証が15日に行われることを踏まえ、米国の中国アプリ排除によって「貿易摩擦が改めて注意の焦点になった」と分析した。
S&P/ASX200指数は週間では1.3%高となった。
鉱業株指数 (AXMM)は約1.5%安。BHPグループ (AX:BHP)とリオ・ティント (AX:RIO)はそれぞれ1.3%、2.9%、それぞれ下げた。
ヘルスケア株指数 (AXHJ)も下落した。医療品メーカーのフィッシャー・アンド・パイケル・ヘルスケア (AX:FPH)は3%安、睡眠障害治療器具のレスメド (AX:RMD)は3.2%安。
保険大手インシュランス・オーストラリア・グループ(IAG) (AX:IAG)は2%安まで下落。2020年6月通期決算の純利益が前年比60%減となり、21年度の見通しを公表しなかったことが嫌気された。
ソウル株式市場は、7月の米雇用統計の発表を前に小幅続伸で引けた。ただ、トランプ米政権が中国企業運営のアプリ「TikTok(ティックトック)」と「微信(ウィーチャット)」に関連した取引を禁止したことで、市場の地合いは悪化した。
総合株価指数(KOSPI)は週間では4.55%高と、上昇率が6月初旬以来の大きさになった。
米国の追加経済対策をめぐる米議会とトランプ政権の協議は実質的な進展がなかったものの、双方は協議継続に積極姿勢を示した。
投資家の間では、この日発表される米雇用統計も期待されている。市場予想によると、非農業部門の就業者数は158万人増、失業率は10.5%と予想されている
個別銘柄では、大韓航空 (KS:003490)が一時16%高と、2カ月ぶり高値まで上昇した。四半期決算が市場予想より良好だったことが好感された。
海外勢は781億ウォン(約6590万ドル)相当の売り越し。 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20200807T112147+0000