2019年4月30日、マイクロソフト(NASDAQ:MSFT)の時価総額が初めて1兆ドルに到達した。時価総額1兆ドルを達成した米国企業はこれで3社目となった。昨年夏にアップル、秋にはアマゾンが到達した。
また、アップルは2019年5月1日、好調な決算報告と予想を超える業績見通しに後押しされ株価が跳ね上がり、2度目となる1兆ドルの時価総額を達成した。
しかし、この上昇は短命に終わった。午後には株価が下落し、アップルとマイクロソフトはともに1兆ドルを下回った。
ここから導かれる一つ目の結論は至ってシンプルだ。
時価総額が1兆ドルに到達するのは難しいうえに、5月1日のマイクロソフトやアップルのように1兆ドルの時価総額は維持できず一瞬で終わってしまう傾向がある。
アマゾンは2018年10月4日に時価総額1兆ドルを達成したが、その日のうちに値下がりした。
短期的な高値シグナル?
二つ目の結論はもう少し複雑だ。
少なくとも現時点で、時価総額1兆ドル企業株価は短期的な高値を付けており、これを機に市場は株安に転ずるということだ。
アップルとアマゾンは昨年夏季に1兆ドルを突破したが、11月初旬から市場は株安になっていった。
同様に、マイクロソフトとアップルはともに4月30日、5月1日に時価総額1兆ドルとなった。
そして5月1日にS&P 500も史上最高値を付けたが、3日までに2.5%下落しこれらの企業の時価総額も1兆ドルを下回った。
ナスダックとナスダック100も同様にそれぞれ3.2%、3.4%下落。ダウは最高値から3.75%の下落となった。
もちろん、アップルとマイクロソフトが特定の売り要因になるとは限らない。米中貿易戦争やアルゴリズム取引などの複合的な要因が、下落を引き起こしているのだろう。アルゴリズム取引はほとんどの場合、企業のファンダメンタルズを軽視し、株価のモメンタムに焦点を当てている。
しかしアップル、マイクロソフト、アマゾンは例外だ。3社は貿易戦争の影響を受けやすい。
アップル製品はほぼすべてが中国で製造されている。マイクロソフトはサーフェスやゲーム機、その他関連商品を主に中国で生産している。アマゾンはアレクサとキンドル機器を中国をはじめとするアジア地域で生産している。同様に、中国は3社にとって極めて重要な輸出市場だ。
これらの3銘柄は株式市場の方向性を指し示すといっていいだろう。
マイクロソフトとアップルはダウ平均株価の25%を占める。
ここにアマゾンを加えるとナスダック100では30%以上を占めることになる。S&P500では三大株式となっている。
グーグル(NASDAQ:GOOGL)、インテル(NASDAQ:INTC)、シスコ(NASDAQ:CSCO)、そしてフェイスブック(NASDAQ:FB)を加えると、市場総額の半分を占めることになる。
このように、1兆ドル企業の影響力は株式市場において軽視できないものとなっている。